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疫病除けのおまじない

こんにちは。メディア事業のIです。

実は私、とある大学院で民俗学という分野を勉強しておりまして、フィールドワークに出かけます(コロナ禍で休止中)。そのときに家々の門口にお札の貼ってある光景をよく見かけます。

たとえば、禅宗のお家であれば立春大吉のお札、日蓮宗であればひげ題目のお札…などなど。私の経験では、田舎へ行けば行くほど、こういうお札を貼っている家が多いように思います。地域によっては宗派に関係なく霊験あらたかな寺社のお札を貼っています。

トゲトゲのハリセンボンとか、ホネガイとか、ひからびた花(おしゃれに言うとドライフラワー)とか…お札以外にもいろんなものをつけている家があります。いわゆる魔除けとして(節分のアレと同じような意味です)。

他人の家の門口を覗くのはちょっと怪しげですが、さながらお札コレクションギャラリーのようで楽しいです。一年ごとに更新されるお札も多いので、同じ場所を歩いても新たな発見があります。

アマビエのお札

新型コロナが日本で流行し始めたころ、「アマビエ」のお札が流行りました。アマビエチャレンジとかいって、twitterで流行りましたよね。

これは熊本県の伝承で、人魚(アマビエ)が「私の姿を絵に描いて人に見せたら疫病退散するわよ」と言ったといい、遠く江戸まで伝わっていたようです。このお札は家の中に飾るものなのでしょうか? 門口に貼っている家を見かけたことはないのですが、飲食店や公共施設の入り口に貼ってある場所をたまに見かけます。

人魚といえばイメージするのは人魚姫。可愛かったり美しかったりするイメージがありますが、これはマスコット化したもの。日本では基本的に妖怪扱いされ、気持ち悪いものでした(「人魚図」とネット検索してみてください)。予言獣でもあります。

角大師のお札

アマビエ札はコロナ禍でリバイバルしましたが、厄病除けのお札でポピュラーなものといえば「角大師」のお札といえます。どこかで見たことありませんか? ガリガリの角の生えた悪魔みたいな絵の描かれたお札です。

都区内ではあまり見かけませんが、栃木の鬼怒川温泉の駅近くの街を歩いていたら、あちこちに貼ってありました。これは佐野厄除け大師のお札でしたが、関東だと川越喜多院や調布深大寺の角大師も有名です。

実はこの角大師、大師と言われているとおり、正体は慈恵大師(良源)というお坊さんです。正月の三日に亡くなられたので、元三大師とも。

大師が疫病退散のために鏡の前で禅定(簡単にいえば精神集中)すると、鏡の中には恐ろしい鬼の姿。それをお弟子さんが写して版木にして刷ったものが角大師のお札のはじまりだといわれています。疫病以外にも様々な厄災から逃れられるとポピュラーなお札です。

角大師のお札を授与しているお寺はけっこうありますので、探してみてください。消しゴムはんこで版木をつくってみるのも面白いかもしれません。

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