㊹リュートの世界へようこそ!古楽器リュートが奏でるバロックの魂、その美しい感動♬
これまでもリュートについて、Facebookなどに何度か投稿してきました。
そこで今回は、時代を超えて美しく響くリュートの魅力について詳しく書こうと思います。
先ずリュート(Lute)という弦楽器の解説を引用しながらまとめました。
1. 歴史
起源と発展
リュートの原型は古代メソポタミアやエジプトの弦楽器「ウード」に遡ります。ウードはイスラム文化を通じてヨーロッパにもたらされ、中世のスペインで特に影響を受けました。その後、ヨーロッパ独自の改良が加えられ、ルネサンス時代には貴族の間で人気を博しました。
ルネサンス期の黄金時代
16世紀はリュートの全盛期で、歌の伴奏や舞曲、ポリフォニーを演奏するのに最適な楽器として重宝されました。宗教曲から宮廷音楽まで幅広く活躍し、作曲家や演奏家によって独自の技法が発展しました。
バロック期以降
バロック時代に入ると、通奏低音の役割も担うようになりますが、やがてギターやチェンバロといった他の楽器が主流になると、リュートの人気は衰退していきます。それでも、バロック・リュートやテオルボなどの新しい形のリュートも登場し、バロック音楽では独自の位置を保ちました。
2.構造
形状と材質
リュートは涙滴型の共鳴胴(ボディ)と、角度のついたネックが特徴です。多くのリュートは木材で作られ、胴体部分は通常、木の薄片を貼り合わせた「リブ」構造で形成されます。表板には松が使われ、共鳴孔には精巧な「バロック・ローゼット」と呼ばれる装飾が施されています。
弦の数と調弦
ルネサンス・リュートは6〜10コース(弦の対)の弦を持ち、多くのコースは複弦で構成されています。調弦はギターに似ており、ルネサンス期の代表的な調弦は「G-C-F-A-D-G」です。バロック期には低音域を強化するために弦の数が増え、14コースや18コースの大きなリュートも登場しました。
3.奏法
指弾きの技術
リュートは、右手の親指、指先、時には爪を使って弾きます。バロック時代にはアルペッジョ奏法や通奏低音の演奏が重視されましたが、ルネサンス期はポリフォニックな独奏曲も多く、複数の声部を同時に演奏する高度な技術が求められました。
装飾音と即興演奏
リュート音楽には「ディミニューション(音の装飾)」と呼ばれる技法が多用され、即興演奏が重視されました。特に舞曲などでは、基本的なメロディを即興で装飾することが一般的でした。
4. レパートリーと主要な作曲家
ルネサンス音楽
リュートは16世紀に多くの舞曲(パヴァーヌ、ガイヤルドなど)、エア(歌の伴奏)、および独奏曲のための作品が作られました。特に、イギリスのジョン・ダウランド(John Dowland)はリュート音楽の巨匠で、その哀愁に満ちた曲(例:「Flow My Tears」)が有名です。
バロック音楽
バロック期には通奏低音楽器としての役割が重要になり、J.S.バッハもリュートのための組曲を書いています(ただし、これらは「リュート鍵盤」としても演奏されます)。また、シルヴィウス・レオポルド・ヴァイス(Silvius Leopold Weiss)は、バッハと同時代の作曲家であり、リュートのための壮大な作品を数多く残しました。
5. リュートの現代での復興
20世紀後半から古楽の復興運動により、リュートは再び注目を集めました。現代のリュート奏者たちは歴史的な演奏技法を研究し、ルネサンスやバロック期の曲を再現しています。リュートはまた、現代音楽の一部でも使用され、ギターや他の弦楽器とも共演しています。
6. リュートとギターの違い
リュートはギターの祖先とされますが、いくつかの違いがあります。
構造:リュートは弦の数が多く、共鳴胴も薄いため、ギターよりも柔らかく繊細な音が特徴です。
調弦:ギターは標準でE-A-D-G-B-Eに調弦されますが、リュートは時代や曲ごとに調弦が異なり、より多様な表現が可能です。
リュートは歴史的に一度衰退しましたが、その音楽的な魅力は現代でも色褪せることなく、多くの人々に愛されています。独特の音色とポリフォニックな演奏技術は、バロック音楽や古楽を愛する人々にとって、今なお特別な存在なのです。
さて、僕のリュートとの出会いは10年以上前になるだろうか、、、
YouTubeで偶然目にした、あるクラシック・ギターの演奏に魅了されたことがキッカケでした。
現代でもこんないい曲を書く人がいるんだ!
誰だろう?
それで調べていくと、それは、
Silvius Leopold Weiss(シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス:1687-1750)というバロック後期の作曲家でリュート奏者の作品だったのです。
それからヴァイスの音楽に触れるにつれ、感銘を受け、感動して完全にハマってしまったのでした。
更に調べていくと、同時代を生きたJ.S.バッハとも親交があって手紙などが残されているという事や、バッハもリュートに作品を書いているのを知りました。
それからはリュート演奏のCDを買い集め、楽譜を探し、ギターまで新調し、挙句にリュートまで買ってしまうほどその音楽に魅了されてしまったのです。
残念ながら、そのキッカケとなったギャラリーが撮影したと思われる、ヴァイスのクラシック・ギターでの演奏動画(Guitarist:Claudio Faga / Music:Passacaglia)はYouTubeから削除されてしまっているようでもう見つかりませんでした💦
それでも甲乙付け難い素晴らしい演奏はネットに沢山上がっているので幾つかご紹介しておきましょう♬
♬Passacaglia / パッサカリア※ ニ長調
(Luteによる演奏)
https://youtu.be/VD73eDVdU3U?si=leN-cRGqgACkdsBQ
Silvius Weiss Sonata n. 13 D Major Passacaille (Lute: Nigel North)
※パッサカリア (Passacaglia) は、西洋古典音楽における形式の一つで、17世紀のスペインとイタリアに起源を持ち、特にバロック音楽で多用されました。パッサカリアの特徴は、反復する低音または和音進行の上に、変奏が重ねられて展開します。
♬Passacaglia / パッサカリア ニ長調
(Luteによる演奏)
https://youtu.be/ddVqxdZ2WG8
Weiss - Passacaglia en Re mayor
♬Passacaglia / パッサカリア ニ長調
(7弦Guitarによる演奏:原調)
https://youtu.be/yxK0z8diLj8?si=1Lu6JKZ_YRK0ndEX
Marcelo Vidal plays S. L. Weiss, Suite XIII - Passagaille
♬Passacaglia / パッサカリア ニ長調
(Guitar用に移調しての演奏)
https://youtu.be/Rx_xTz2H5Aw?si=RUH3g-gHnfpwQ60S
https://youtube.com/watch?v=Rx_xTz2H5Aw&si=lOwWz9GZd8cz6-s8
♬Capriccio / カプリッチョ ニ長調
(Guitar用に移調しての演奏)
このカプリッチョという曲、たった一本の弦楽器でこれほどまで美しく多声音楽を表現出来ることに感動です!
https://youtu.be/Q6fwNHJ9EBA?si=5E8bGxN4wrjTtqys
Capriccio in D by S.L.Weiss played by Charles Mokotoff guitar
♬Capriccio / カプリッチョ ニ長調
(Guitar用に移調しての演奏)
https://youtu.be/vYrcrrLBMkA?si=J7X-1kkRF5DHdknz
Silvius Leopold Weiss - Capriccio - Horst Klee, Guitar
♬Capriccio / カプリッチョ ニ長調
(Luteによる演奏)
https://youtu.be/w6uYW6h73F0
Sylvius Leopold Weiss Capriccio en Ré M No.25*
♬Fantasia / ファンタジア ハ短調
(Luteによる演奏)
哀愁あるドラマチックな旋律とテンポが変わってからのフーガのように旋律を追いかける奏法など見事としか言えない!
https://youtu.be/xJAFwteVod8?si=LPwaXN5F49gG9vqx
Sylvius Leopold Weiss Fantasia in c minor (baroque lute)
♬Fantasia / ファンタジア ハ短調
(Luteによる演奏)
https://youtu.be/d1JYY_JqQE8?si=x0r5BqzkFAUTKiIG
Fantasia in c minor by S. L. Weiss, performed by Nigel North
♬Fantasia / ファンタジア ハ短調
(Guitar用に移調しての演奏)
https://youtu.be/2foxdUkF8yg?si=owqnW96sty8356pq
Silvius Leopold Weiss - " Fantasie", guitar Asya Selyutina
♬Sonata 34
(Luteによる演奏)
https://youtu.be/t4f5DcR1g94?si=hbG3B3AkrMY3823G
"Sonata 34" Weiss - Performed by C.Rocher - Liuto forte
♬Prelude - Allemande C- major
(Luteによるduet)
https://youtu.be/ayA0hKA6tRI?si=v72mtgCk9xSsPv08
Silvius Leopold Weiss Prelude & Allemande C-dur (LUTEDUO.com version)
最後に、リュートの解説で紹介されているジョン・ダウランドのリュート歌曲「Flow, my tears」を上げておきます。
この曲について調べると、次のような説明が見つかります。
「この曲は同時代のヨーロッパで随一の人気と知名度を誇り、器楽曲版だけでも東欧を除く諸地域で100前後の写本・刊本が残されています。ダウランドの存命中から後世にかけて、多くの音楽家によってオマージュ作品が作曲されました。」
400年を経た今でも、この曲の美しさは変わらず響いています♬
♬Flow, my tears (流れよ、わが涙)
(1600年出版)
https://youtu.be/fm9SwDnyy18?si=VcJNl4guxbOu_pXa
秋の夜長、いにしえの響きに心を委ねてみませんか?🍁😌
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