見出し画像

タトウ入れたい

タトウを入れたい。
などと思ったことがあるだろうか?みなさんは。

私は、過去一度だけ心のそこからそう思ったことがある。

当時私は京都で大学生活を過ごしていた。サークルの先輩のご縁で、何の因果か京都の祇園の「クラブ」でボーイのバイトをしたことがある。

祇園のクラブには、そのエリア柄いろんなお客が来る。老舗の反物屋の若。有名カトリック大学の理事長。そして宗教法人として法律で守られた坊主(あえて僧侶とは言わない)

浮世を少し離れたくて来るわけでから、みんな好き勝手なことを言う。特に坊主の立ちが悪い。深夜2時が廻り、ようやく3時の閉店に向かって

「ふう、、」

と思った瞬間、その坊主は1万円を私の手にぐっと握らせ

「あんちゃん、餃子食べたいねん」

は?と思ったがもちろん

「かしこまりました!」

と笑顔でバックヤードへ。こんな時間、餃子なんて売ってるわけないやろと思ってハローベージ(そう、インターネッツというものがなかった)をペラペラしていると、

祇園には24時間やっている餃子屋があるのです。あり得ん・・

マスターに

「何個買ってきたらいいですか?」

ときいたら

「一万円分こうてこい」と

やけくそになって、チャリで飛び出して、餃子屋に買いに行った。

薄暗い店内には「バージニアスリムメンソール」を吸っている若い女子が一人いた。

イメージ、黒木メイサ。

こわごわと声をかけ

「すみません。1万円分餃子焼いてください・・・」

一瞬「はあ???」

という顔をして

「ごめん100個しかないねん それでいい?」

との回答だった。。もちろん

「はい 100個で我慢します。。。。」

訳の分からない回答をした私を前に

「よし、いっちょやったるか!!!」と笑顔で腕をまくり上げた女子の腕には

心から美しいドラゴンのタトウが、もう、こう、天へ昇っていた!!!!

その瞬間、恋をした。

僕もタトウいれたい。。竜と一緒に天空にいきたい!!

餃子100個を確か8000円ぐらいで購入して、店に戻ったら坊主は帰って

いなかった。

そのあと、その坊主のキープボトルである レミー〇ルタン を、マスター許可のもと、バイトみんなで飲んだ。一生分の餃子をアテにして。

あの坊主は、間違えなく、あの竜の呪いで地獄に落ちると思う


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?