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2024年6月の記事一覧

小説『雨が降ったってもう泣かない』

 携帯が鳴った瞬間、雷が落ちた。猛烈な雨が花壇の土をえぐる。 「誰……? ばあちゃん!」 「真澄? あんたなの?」 よく聞こえない。俺は電話に怒鳴る。 「そう! 俺!」 もう一度、雷が落ちる。大地が揺れるほどの。雷は近い。俺は窓を離れて、病室を抜け、廊下に走る。 「あんた、まだ入院してるの?」 「そう、大分いいけど」 俺はうつ病持ちで、もう二ヵ月ここにいる。入院した頃は毎日ずっと泣いていた。今でも泣いてるけど。俺、よく泣くんだ。いい年の男にしては。 「ばあちゃんね、コロナウイ