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年金受給開始時期を75歳まで遅らせる?

令和2年5月29日、第201回通常国会において、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、令和2年6月5日に公布されました。
その中の1つに、受給開始時期の選択肢の拡大があります。
(令和4(2022)年4月施行予定)

これは、現行70歳の繰下げ受給の上限年齢を75歳に引き上げるというものです。(受給開始時期を60歳から75歳の間で選択可能)。

繰下げ受給は、65歳から支給される本来支給の年金を先延ばし0.7%/月増額して将来受取れる制度です。

受給開始時期

老齢基礎年金が78万円のAさんの場合は、70歳繰下げ受給開始で年額101万7600円(9万2300円/月)になります。
60ヶ月×0.7%=42%
(令和2年度の満額は78万1700円と決定されました)
これまで最大70歳迄の繰下げ受給を、75歳迄繰下げ可能にしたのが今回の改正案です。
上記の例より、75歳繰下げ受給開始で年額143万5200円(11万9600円/月)
120ヶ月×0.7%=84%の増額

企業努力による雇用の延長や多様な働き方で、公的年金の受給開始年齢を先送りし、増額された年金でその後の長い人生を豊かに過ごせるよう、体制を整備しようというものです。

平均寿命が延びている事を考えると(置き換えると長生きするリスク)、終身で受け取れる公的年金は先延ばしにすればするほど年金額は増額するので魅力ですが、年金受給額だけを考えるば、何歳まで生きられるかによって、最終的な損得が大きく変動します。

これからは「人生100年時代(もしかしたらそれ以上)」がやってくると、100歳まで生きるとすれば、75歳から国民年金を受給すると、受取総額は約3728万円。一方、65歳から受給したときの総額は約2805万円で、その差は1000万円近くなので、単純計算なら、受給を遅らせたほうが得でしょう。

一方で、増額の受給開始を待っていて寝たきりになってしまったら、それこそ元も子もないです。充実した生活を送る為にも、健康なうちに年金を受給したいという意見もあります。

単純計算の得か損かではなく、あなたの健康、家族、趣味、仕事等々様々な環境を考えながら繰上げ、繰下げを検討すべきですね。

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