すこし困った叔父のはなし。
父の49日法要が終わりました。一昨年母が死に、今年に入って父、母の妹と不幸がつづき、大阪で暮らす叔父(母の弟)は、毎月のように行ったり来たり。
宿代もバカにならないだろうと思い、山の家は広いので、よかったら宿代わりに使ってくださいよ。と言っておいた(口は禍のもと)。
ある晩、その叔父から電話があり、8月1日に行くから泊めてくれという。(父の法要は8月3日、なにゆえに2晩も)
7月31日になり、明日は叔父が来るので、少し掃除でもしておこうと思っていたら,、叔父から電話があり、11時に駅につくという。今日は7月31日ですよ、と伝えると。あ!そうか、1日間違えたのか?じゃあ、今夜はどこかで宿をとるよ。
叔父の頭のなか【】
【先祖の墓を掃除したい、数十年来の念願がかなう。甥が数日は泊めてくれるだろう、この機会をのがしてなるものか。と、墓掃除に必要な道具リストをつくり、半月前からホームセンターなどをまわってリュックいっぱいの道具をそろえてきたぞ。
しかし、自分としたことが!墓掃除のことばかり考えていたら、日にちを1日間違えてしまったぞ!】
お構いはできませんが、泊まるだけでしたら大丈夫ですよと伝える(仕事関係の人だったら、この時点でアウト、失格ですね)。
そうか、すまないな。【くわばらくわばら】
常識のない叔父が、3晩も泊まるのかと思うと、暗澹たる気持ちになる。
駅に迎えに行くと、ちょうど列車が入ってきたところで、改札から大きなリュックを背負った叔父が、やあ!と手をあげて出てくる。(やあじゃねえわ)
その荷物はなんですか?何事もついでさ、先祖の墓掃除をするんだよ。叔父の生まれた家(母の実家)は、鎌倉時代から続く古い家で(家紋は丸に三角、蛇の鱗紋)、先祖は義経の家臣で平家物語にも登場する緒方三郎惟栄という人らしい(叔父のはなし)。
翌日は、叔父の生家(母の実家)の墓掃除に行きました。何十年も人が住んでいない屋敷跡が古い城跡のように残されていて、子供の頃は気づかなかった見事な石垣に目を見張ります。
石垣を登ろうにも指をいれる隙間がない。包丁で切ったような石の面がびっしと揃い、上にいくほど反りかえる武者返しの石積み。おそらく、石垣のプロ集団「穴太衆」(あのうしゅう)の仕事。
屋敷跡の東と西には、石積みのかなり深い堀があり、背後の北側には岩壁がそびえ、南側は断崖、難攻不落の完璧な守りの山城。
古い墓には、五輪塔や役行者の石像、七人衆や十一人組と刻まれた石碑などが並び、なにやらものものしい雰囲気が伝わってくる。
自分は適当に手伝っていたけど、叔父は周辺の草抜きをしたり、植木を剪定したり、持ってきた鍬で木を掘り返して植え替えたり、新品の歯ブラシで墓石をみがいたり、タオルで拭いたり、ひとりで勝手に汗だくになっている。
【やっと念願がかなったぞ!いまこの瞬間がうれしい!】
汗だくになった叔父を見て
え?!そんなに暑いですか?
墓のなか、頭のことでいっぱい、、いやもとい
頭のなか、墓のことでいっぱいなんですか?
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