藪蚊

黒い蚊がさっきから、ふらりふらりと飛んでいる。
小さいくせに、刺されると無茶苦茶痒いやつだ。
ふらりと、俺の腕に止まった一瞬、針で刺されたような痛みが走った。
慌てて手のひらでパチンと叩いて仕留めた。
ところが、俺の腕にぺしゃんこになっていたのは蚊では無かった。
よく見ると、小さな小さな蝙蝠だった。
ネットで、その形から調べてみると、『ナミチスイコウモリ』とそっくりだった。
人間の血を吸うこともあって、狂犬病の媒介をし、それにより命を落とす事もあると云う。
痛みや痒みは無いが、翌朝一番でぺしゃんこの小さな小さな蝙蝠を持って、病院へ向かった。