爺ちゃん

爺ちゃんは、縁側に腰掛けて何をするでも無く、空を眺めて呟いた……

「ああ……暇だなぁ〜」

爺ちゃんは、80歳を過ぎているけど、とても元気で頭もしっかりしているので、暇を持て余していた。
しかし、ある日のこと。

「あっそうだ。ワシは運転免許を持って無かった」

突然に自動車教習所に通い始めた。
家族の反対には耳を貸さず、3ヶ月ほどで免許を取得した。

爺ちゃんは免許証を手に、Vサインを出し、家族に見せびらかして言った。

「心配するな。運転なんかしないから」

その翌日に、取ったばかりの免許を、返納したのだった。

そして、また縁側に腰掛けて、爺ちゃんは呟いた…

「ああ……暇だなぁ……次は、何をして暇を潰すかなぁ……」