つめたい春

風が吹き荒ぶ
「これ以上進めない」
足を止めた

誰も悪くない 知っている
それでもなぜか周りの人が
敵に見えるのが怖くて

壊したくないと言えば
嘘になるけど
いなくならないで

嵐の夜が終わるまで
隣にいるから
でも暗いから今だけ
手を繋いでいてもいいですか
つめたい春の先にある
柔らかい光を信じたい

未だ咲かぬまま 桜並木も
いずれ花びらが真冬みたいに
景色を白に染める日を待つ

遠くイルカが泣く声
聴こえなくても
それを知っていたい

悲しみだけを抱いては
涙流してた
明日の朝に
世界が逆さまになったなら
いいのに

余裕がなくて歪んだ感情
剣みたいに研がれた言葉
使うほど増える傷

嵐の夜が終わるまで
隣にいるから
何も見えないや
今だけでいいから
僕と手を繋いでいて

嵐の夜の次の日の
快晴を待っている
ねえ、寒いから今こそ
希望を語ってもいいですか
つめたい春の先にある
温かい光を信じたい


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?