フジロックを見た!

闘病期間中に「フジロックを見た!」なんてタイトルの日記をつけられることが、過去の私にとってはひっくり返るほどの衝撃だと思う。

見た!とは書いたが、もちろん配信でだ。
現在入院中の身として、配信をしてくれるということがどれほどありがたいことか。
改めてamazon musicに多大なる感謝をしたい。

今年のフジロックには何と言ってもsyrup16gが出る。かつての私の青春であり、今なお側にあり続けてくれる音楽だ。
彼らが出演するというだけで今年のフジロックは特別なものになることが決定していた。
そしてその通り、3日間を終えた今、特別にワクワクしている。その気持ちが薄れないうちに少しだけ書き残しておこうと思う。

まず、音源と違いすぎるバンドこと家主。
彼らがバンドで演奏する姿が、本当に好きだ。
「僕たちの金なんだ、どう使っても構わないだろう!」と歌うヤコブに、勝手に同調し「僕たちの生活だ、どう使っても構わないだろう!」だな。などとよく分からないことを思った。

シロップ。
五十嵐隆が丸く、可愛らしくなっていることに驚いた。そしてセットリストがベスト盤のようで、それにもまた驚いた。
久々に見るシロップのライブはヒリついていて、笑って見ていて良いのか、強張るべきなのか、身体がわかっていなかった。

それでもこの三人の音楽を聴くと心のどこかにあるノスタルジーが勝手に呼び起こされ、音楽の魅力とは別に心を揺さぶられる感覚がある。昔から聴いているバンドからしか得られない、今からは培うことの出来ないものだと思う。

音楽は、とても良かった。
途中、五十嵐の声が枯れて、絶叫するように歌っていた。必死、という感じで緊張感があり、とても良かった。
対をなす様に、五十嵐のこの日のギターはかなり上手かった。それもかなり良かった。
相変わらず大樹ちゃんは熱く、マキリンは飄々と演奏していて、シロップやなぁ、と思った。特筆すべきことではないけどマキリンの見た目が渋くなっていた、かなり職人然としていて画面がカッコよかった。

解散前の曲をこれでもかと演奏してくれ、終わりにたった一曲だけ解散後の曲を演奏した。
それが『宇宙遊泳』だった。私はこの曲が解散後の曲の中で一番好きだ。
曲のトーンや歌詞についての文脈でこの曲が語られるのをよく見るが、私は『宇宙遊泳』のメロディをめちゃくちゃ美しいと思っている。
フジロックみたいな美しい場所で、この美しい曲を聴けてラッキーだと強く強く思った!曲調が明るいせいか、ついでに心も明るくなった。

最後が『Reborn』なのも良かった。
セトリからして、ここまで来たら最後はもう『Reborn』やろ、と多分見てる全員が思っているその期待を、変に裏切らないでくれて嬉しかった。普通にとても良い曲で、こんなにサービス精神の強いsyrup16gを見せてもらえたのがありがたかった。これはこれで、なかなか見られないライブだったと思う。すごく楽しかった。

3日目はbetcover!!がすごかった。
正直音源しか知らなかったので、ライブ映像を見るのは今回が初めてだった。
めちゃくちゃすごかった。格好良すぎて腰抜かすかと思った。

音源で聴くbetcover!!は、なんというか、聴いたことのない音楽をやっている感じで。
よく分からないけど、何か特殊な録り方をしていて、何か特殊な音源ができているんだと思っていた。

だから、アコースティックギターを持った柳瀬がバックバンドと共に歌っている姿に衝撃を受けた。
「ライブでの」betcover!!がそこにあった。見ていても何でこうなっていて、自分が何に感動しているのか本当によく分からなかった。だけどマジで格好良かった。
途中で演奏を止めて仕切り直したり、柳瀬のストラップが切れたり、のちに伝説になるみたいなライブだった。陳腐だけど、音楽が芸術であることをすごい熱量でもって思い出させてくれた。
ゾクゾクする。
健康になったら彼らのライブを生で見てみたいと強く強く思った。

他にも色々見た。

色々⬇︎
渋さ知らズオーケストラ
lucky Kilimanjaro
家主
king klure
The killers
トクマルシューゴ
折坂悠太
betcover!!
Rufus wainwright
Kim Gordon

くるりとgirl in redが見られなかったのは結構ショックだった。
両方ともステロイドの治療の副作用で寝てる間に終わってしまったのだった。もう一回見たい。
ノエルも絶対見る!と思っていたのだが、キムゴードンを見たら感情が疲れてしまい、見るのをやめてしまった。セットリストやTwitterを見て、やっぱ見れば良かったかな……と軽く後悔している。

そんな中、今回のベストアクトを決めるとしたら、私は迷うことなくキラーズを挙げる。

キラーズ。グレイテストショーマン。
彼らのライブを見て、全然関係ないこの映画のタイトルを思い出した。

私は世にも珍しく、The mirrazからThe Killersを知った人間だ。ちなみにアクモンもミイラズ を経由して知った。ミイラズは洋楽の先生だ。
だから別に全然詳しくないし、最近の曲どころか最新アルバムも聴いていない。
最初に驚いたのは、そんな私でもこのライブのほとんどの曲を知っていたことだ。

一曲目に演奏されたのはなんと『somebody told me』。キラーズのマニアも、ファンも、なんとなくキラーズを見てる人も全員巻き込んで、この一発で空気を一つにしたのが分かった。現地でオーディエンスがすごく興奮しているのが画面越しに伝わってくるようだった。

(どうでも良いけど、初っ端でブランドンが「ラスベガスからきました」みたいなことを言っていて、めちゃくちゃびっくりした。この時まで、ずっと私はキラーズをイギリスのバンドだと思っていた。思い込みは怖い。)

そしてもちろん、大感動したのがワタルのドラムだ。『For Reasons Unknown』でブランドンに呼ばれ、ステージに上がり、一曲叩き切ってさっさと客席に帰って行った。

感動したのは、そのドラムの凄さ、そしてそのさっさとした潔さにだった。
ワタルのドラムは鬼気迫る力強いプレイで、キラーズの演奏からまったく外れず、ライブアレンジにも柔軟に対応していた。ドラムが上手すぎる、そしてメンタルが強靭すぎる。
フジロックのヘッドライナーという日本の一大舞台でこれが起こっていたという事実、はっきり言って異次元だと思った。その異次元が目の前で確かに起こっているという事実に、オーディエンスのボルテージがすごいことになっているのは見ているだけで分かった。画面越しの私ももちろんそうなっていた。

ワタルのプレイの間、ブランドンとロニーがニコニコしていたのがとても良かった。真意は分からないけど、ワタルという青年がこの曲を完全に知っていた嬉しさから来た笑顔なんじゃないかと思った。
日本にハマってないと言われてきたキラーズだからこそ、自分たちのパフォーマンスを知っていて、叩かせてくれと志願するファンが日本にもいて、しかも完璧に叩いてくれたことが嬉しかったんじゃないかと勝手に想像する。
それは私も同じで、私達はキラーズが好きだ!とワタルに代弁してもらったような気持ちだった。熱くて格好良くて、涙が出そうだった。

ワタルが去った後もキラーズは終始格好良かった。最後の曲が『Mr. Brightside』だったのも、『Reborn』理論ですごく良かった。
ライブアレンジなのか、バラード的な入りから、あっ!これミスブラだ!と気付かせてくれる演奏にも興奮した。ライブアレンジとしては定番なのかもしれないが、私は全然知らなかったから新鮮に驚けた。無知で良かった。

桜吹雪の舞う中で歌うキラーズを見て、この人たちって本当に世界で随一のショーマンなんだと思った。
私が今までの人生で見た、ショー然としたライブの中で、突き抜けて一番のショーだった。

きっとキラーズを知っている人なら、ほとんどが知っている超有名曲だらけのセットリスト。
だから盛り上がり、コーラスやコールアンドレスポンスを楽しめるオーディエンス。
オーディエンスのコーラスもめっちゃ良かったなあ。みんな本当に楽しそうに歌って声出して、私がキラーズだったらあの姿めっちゃ嬉しいと思う。
あの場所にいるキラーズもオーディエンスもワタルも、どれひとつ欠けては成立しない最高のライブだったと思う。私も現地でその一員になりたかったと悔しくて仕方ない。

あとシンプルにブランドンがめちゃ格好良かった。生で見たい。
キラーズ来日公演してほしい。ハタから見てる私でも、今回のライブで日本はキラーズが大好きだってことが伝わったと思うから。
でも今来られても私行けないから、ちょっとしてから来日決めてほしい。この一夜でキラーズは、人生の中で一度は生で見たいアーティストになった。

てな感じで配信フジロックはめちゃくちゃ楽しかった。
色々なアーティストをほぼリアルタイムで見て、話をする代わりにTwitterで感想を流し合うのも楽しかった。
特にシロップの時間帯のタイムラインに久しぶりにフォロワーが大集合していたのも良かった。
そういえば、私って音楽好きだったなということを久しぶりに思い出した。病気してからずっと忘れていた(もしくは思い出さないようにしてた)気がする。
でも思い出すとやっぱり音楽は緊張してヒリついてワクワクして楽しくて、好きだなと思った。今後も適切な距離感で付き合っていきたいと思う。
フジロック配信してくれた、Amazon musicの人、ありがとう!

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