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【備忘録】メジャーアップデートとマイナーチェンジ〜「精神と時の部屋」からの解放〜

今回は、「自分を知る」「インプットとアウトプットによるアップデート」について。

活動自粛期間に「今までの自分のことを振り返り、自分を知る(beforeコロナ)」ことで、これからの自分の成長(withコロナ)に活かしたいと思います。


その1:インプット中心生活〜概論編〜

13年前、大学1年生のころに必修単位として取っていた「〇〇概論」という課目の重要性を改めて感じます。でもその頃の自分は、指導者として駆け出しで現場経験が乏しく、概論という「広く浅い講義」を、それこそ「広く浅く」受け取っていました。

それから現場経験が増えれば増えるほど、あの「〇〇概論」の重要性を思い出す度、「あーーー学びたい。もっと時間が欲しい」と。
最近、隣の席の国語教師(あの渋野日向子を輩出したゴルフ部顧問にして、ハイブリッド型GKコーチ)が、僕の影響もあってか運動生理学を学んでいるのを見て、「そこそこ知っていて良かったな」と思うのと同時に、「大学時代にもっと深く学んでおけば良かったな」とも思う自分がいます。

その広く浅く学んでいた「〇〇概論」の中でも、松岡先生の「スポーツマネジメント概論」と豊田先生の「スポーツ心理学概論」については、教授の話も面白く、興味を持って深くまで、のめり込んだ覚えがあります。
認知と心理はつながっているという「認知心理学」や、組織の振る舞いを改善し成長させるための「PDCAサイクル」という考え方の基礎を学んだのもあの頃でした。こう思うと、大学1年のあの授業に大事なことは詰まっていました。

大学時代はいつの間にか「将来海外でサッカー指導者として飯を食うぞ」という思いを持っていたので、体育の教員になりたくて入った大学で教員免許を取りませんでした。(親は普通に受け入れてくれましたが、今思えば、親不孝ものですね。)

インターン実習で柏レイソルにお世話になったり、JFAの指導者講習会の補助学生をさせてもらう中で、自分の力不足と未熟さを恥ずかしいぐらいに噛み締めた経験はエネルギーとなりました。(そんな、自分の中で思い入れのある現レイソルユースの山中監督とつながれたのも、今の活動自粛期間があったからです)

大学サッカー部の指導は継続しながら、独学で外国語を学び、バイトをしてお金を貯め、大学4年になるシーズン前にドイツとスペインに約3ヶ月間滞在し、その思いをさらに固めてました。
※その時の自分の目標でもあり、ドイツのホームステイでお世話になったミッシェルくんこと、宮沢悠生先輩はケルン経由でレッドブル・ザルツブルグで働かれています。最近、ブログなども更新されているので検索して是非見てみてください。

その2:インプット中心生活〜振り返り編〜

今振り返ってみると、この頃はアウトプットの回数よりも断然インプットの回数や時間が多かったです。電車で、毎日往復4時間かけて大学に通っていたので、途中までは友人と帰っていても、通学時間の半分以上は1人なのでそのほとんどを本を読んで過ごしていました。外国語と真剣に向き合ったのもこの頃で、その英語力の貯蓄のおかげもあって現在、英語の教員になれているのだと思います。
未だに手書きでサッカーノートを書くのも、この頃の習慣の名残りです。読んだ本の興味深い文章や図・イメージ、覚えれない英単語をそのまま残せるので、パソコンでデータにするよりも個人的には好きですし、特にリングノートがおすすめです。

インプット中心の大学時代の大きな課題として、授業や本からたくさんの理論や情報をインプットし、「頭の中では描けているもの」を「アウトプット」し切れてなかったことが挙げられます。
その頃の自分をパソコンで例えるならば、新たな情報をしっかりと消化・入力(インプット)して、他人へ出力(アウトプット)するには、OSやキャパシティー(人としての処理能力、転換能力、総合的な人間力・器)が足りませんでした。
結局、頭の中で理論がわかっていても、「人として」がかなり浅かった自分は「広く浅い学び」しかできてなかったのかもしれません。

また、日々新たな理論を学ぶことで自分自身がかなりブレていたように感じます。「あれもこれも詰め込みたく」なり、自分のやりたいことを優先して指導していた時もありました。チームの結果はそこそこ出ていたので、選手が本当によくやってくれていたのだと思います。


その3:アウトプット中心生活〜現場ありき〜

そんな大学生活を終えるとき、政治的な背景もあって計画していたメキシコ行きがなくなりました。そして、「岡山に縁もゆかりもなく、作陽OBでもない」のですが、「人の縁」があって現在の職場(作陽高校)に寮監兼サッカーコーチとして就職します。(興味がある方は、募集している時もありますのでご連絡を。笑)

4年前からは英語教員となり、現在は教室でもグラウンドでも体育館でも、「現場でのアウトプット」とそのための準備の時間が圧倒的に増えました。そして、インプットによるアップデートより、日々の振り返りによるマイナーチェンジを繰り返す日常を過ごしました。

具体的に言うと、「伝統校での守破離」と大学時代、松岡先生が何度も言われていたPDCA(Plan-Do-Check-Action)の繰り返しによる「マイナーチェンジ」が中心でした。
この就職してからの9年間を期分けすると、「このチームの指導者に何が求められていて、このチームに来る選手に何を求めるのか」という「守破離」でいう「守」の部分となる、「指導コンセプトを含めた伝統校の型の獲得」が最初の3年〜4年、「フットサルとの融合」を中心とした自分自身の考え方の型「破・離」のフェーズが、ここ4〜5年となります。

あくまでサッカー部ではコーチという立場なので「離」しながらも、監督をはじめとしたスタッフと考えを合わせる必要があります。でも、OBではないからこそ、見える視点や発想も大事にしたいと思います。


その4:まず「自分を知る」

今回、コロナウイルスの影響による活動自粛生活で時間と余裕ができ、上記のように、これまでの指導者としての13年間(大学4年、社会人9年)を簡単に振り返れました。振り返ることで「改めて自分を知る」ことができました。
自分を振り返ると、なかなかインプットとアウトプットのバランスは取れないものだなと思います。常に無い物ねだりになりますね。「学んでいるときは、早く現場で実践したくなる」し、「計画-実践が増えると、もっと根幹や本質から学びたくなる」。バランスを完璧に取ることより、取ろうとする姿勢が大事なのかもしれません。

インプットが増える時には、「自分にその情報や知識を消化する人間力(器と経験)があるか」を意識した方が良いなと思っています。倉本さんのNLP(神経言語プログラミング)のVAKモデルの講座を聞かせてもらう中で、倉本さんは指導者も選手も成長するために「全ては自分を知ることから始まる」ということを強調されていました。

自分を知ることは、とても重要なことで、「サッカーを指導する場合」を例に挙げると
・選手としての経歴    プロ〜アマチュアなど
・指導者としての経歴   指導年代、指導レベル、指導年数など
・人としてのキャラクター 出生地、育った環境、個性

この他にもまだまだたくさんの要素があると思いますが、こういった今の自分ができた背景を知っておかなければなりません。その自分がいつ、どこでどんな振る舞い、声かけをするかで、選手の受け取り方は全く変わってくると思います。「選手のことを知り、どうアプローチするか」も大事ですが、その前に「そのアプローチをする自分は何者なのか?」という前提がものすごーく大事だなと。これまでも、無意識的には実行していたはずですが、倉本さんの「言葉」のおかげで、意識的に自分について考えるようになりました。

これ(=自分を知る)を抜きにして、インプットを繰り返しても、現場での自分のアウトプットにはほとんど影響がない、もしかすると逆効果になる可能性があります。本当に大事なことが抜け落ちていく可能性があります。

344の場合
元プロサッカー選手ではない、小学生〜大学生まで年間を通じた指導経験はあるが高校生が最も向いている気がする、なぜかはまだ自分でもはっきりわからない。フットサルのプレー経験者でもないし、5年前までまともにルールを知らなかった。。。VAKモデルで言うとAKかKA、関西人で仲良くなればボケもツッコミもいけるなど?笑

その5:「アップデートしないといけないもの」を見つける

自分と向き合い、なんとなくでも客観的に自分を見ることができると、「アップデートしたいもの」ではなく、「アップデートしないといけないもの」が見えてくるはずです。

自分の場合、英語の教員免許は働きながら取得し、英語もそこそこは話せます。でも本来は体育系の大学を出ている自分の、自分の英語力そのものや生徒への説得力や生徒からの信頼性を上げるために、英語教員としての自分を示す英語資格が必要だと思いました。
そうして昨年「英検準1級」を取得しました。生徒も、「サッカー馬鹿の英語ができそうにない先生」から学びたくないはずですが、英検準1級を取ったことで少し見る目も変わった気がします。(英検1級はさすがに無理でした。)

このように客観的に見て、自分に備わっていないもの、アップデートしないといけないことを知り、インプットして埋めることは大事です。(英検準1級で良かったのかはわかりませんが、その意味は自分で見つけるものなので。)
でもあくまでインプットによるアップデートは「したつもり。」です。一時的に埋めただけのもので、本当の自分の血となり、肉とはなっていません。
ですので、インプットしたものを何度もアウトプットして実践し、体験学習することで、本当の意味での自分のものになっていくのだと思います。


その6:メジャーアップデートとマイナーチェンジ

携帯電話などで「メジャーアップデート」という言葉があります。これにより、大きく性能が向上し、携帯電話自体はできることは増えますが、それを使いこなす側がその機能をしっかりと理解し、その恩恵を受けなければ意味がありません。
これは、指導者が知らなかった理論や、深掘りしてなかった知識を知ることに置き換えることができます。そういったものをしっかりと学ぶことは、知的好奇心をくすぐられ、大きく変わるチャンスです。でも同時に、しっかりと消化して現場で使いこなせなければ、そんな指導者に教えられる選手にとっては、マイナス面が大きい気がします。

アップデートしたい時は、新たなものを学ぶ意欲は大事にしつつも、「①今の自分の分析」「②アウトプットの振り返り、PDCAサイクルの循環」によって、「マイナーチェンジ(マイナーアップデート)」を繰り返す方がよっぽど効果があると思います。でも、そのサイクルも自分で客観的に振り返ったり、客観的なアドバイスをくれる仲間がいなければ、間違った方向に行ってしまう可能性があるので注意が必要です。

最後に:「精神と時の部屋」から解き放たれて

自分自身も学生時代に経験した、知らない世界をインプットしまくる楽しさは、学びの第一歩だと思います。そして、今回のコロナウイルスによる活動自粛生活で、新たなことに挑戦したり、学ぶ楽しさを久しぶりに思い出してしまいました。料理もほとんどしたことなかったのに、約30食の手の込んだ夕食を奥さんに振る舞いました。笑

でも、忘れてはいけないのは、まだそれらインプットしたものは、自分の血となり肉にはなってません。(でも、自分の料理に関して、チヂミは自信あり!)
そして、自分たちの今置かれている立場を考えると、インプットしたものの中で、「すぐさま活用できるもの」と、「来たるべき時が来るまで活用すべきでないもの」に分けないといけません。そこの判断基準は、まず自己(自分達)分析からです。

好きな漫画であるドラゴンボールは「精神と時の部屋」、ワンピースは「頂上決戦後の空白の2年間」、アイシールド21は「デスマーチ」という修行期間がそれぞれあり、主人公たちは自分を知り、そして限界を突破し、成長し、日常に帰ってきました

この活動自粛期間は、彼らの修行ほどではないですが、自分と向き合い、様々な人とオンラインで出会う中で良いインプットができたと思います。
そして、Zoomなどを通じて「自分のことをオンラインで話す」ことも、アウトプットの練習になりました。自分がどんな話し方で、どんな言葉を使うのか。「いつも一緒にいるはずの自分」を、改めて知ることができた気がします。

これから、以前とは違う形になるであろう日常生活に戻っていく中で、「この期間があったから、自分は成長できた」と思える時間にしたいです。そうできるかどうかは、これからの自分次第ですね。オンラインのつながりやSNSを使う時間が減るでしょう。

その代わり、目の前の生徒と向き合って共に成長していきたいと思います。

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