見出し画像

冷蔵庫なき生活と炊飯器

二郎ラーメンを食べてみれば、雨が降っていた。
梅雨だ、と思ってから、食材が心配になる。

僕の一人暮らしは数日前に始まった。
突然の引っ越しに心が追い付くはずもなく、僕の家には冷蔵庫と洗濯機とWiFiがない。

ないならば買えばいいじゃない、とお貴族様は言うのだろうが、あいにく僕は極度の面倒くさがりに合わせ、こういう「縛りプレイ」が大好きときた。ないならば楽しめばいいじゃない。
考えて、この生活をエッセイにあげることにした。
このエッセイは飽きるまで続く。まず、「冷蔵庫なき生活と炊飯器」は、常温保存縛りでの食卓を送るレシピブログにする。他にも「WiFiなき生活とモスバーガー」では日常エッセイを、「洗濯機なき生活とスーツケース」では服装に関する話を書くことにする。
もちろんすべて、飽きるまで。


7月1日の朝がやってきた。
炊飯器がふわふわと煙を吹く。お米はとうに炊けている。煙が光を含むのは、拡散の妙だ。
起き上がるとお腹が減っている。とは言え昨日は遅寝をして、時間はとうに10時を回っている。
シャワーを浴びる。洗濯をする。下着のままで台所に立てば、昼ご飯作成を始めなければならない。

まずは小鍋にお水を200ml入れる。
一人分の量などこのくらいだ。もし人数が多いなら、その分量を増やせば差し支えない。
そこに、業務スーパーのおいしい土(カレー粉)を入れる。
おいしい土は、沸騰した湯の中に入れると周囲の小麦粉が固まってしまうので、水の状態から入れるといいと思う。ずぼらだ。
温かくなるまでの間に、野菜を処理する。業務スーパーで見切り品だったピーマン3個と、2パック100円のエリンギさんを半分、一口サイズに切って入れる。
多少混ぜながらトマトの処理をする。このままだと栄養素に不安があるので、助っ人の登場というわけだ。お尻の部分をクロスに切り込み、そのまま鍋に入れる。
さて、業務スーパーのおいしい土はこのままでもまあまあおいしいのだが、あるならばクミンとコリアンダー、お好みで唐辛子を入れるといい。これで給食のカレーから、少し高いパウチのカレーにレベルアップだ。
あとはとろみが出てくるまで煮詰めれば、完成だ。
お米は1合用意してある。ここに盛り付ければ、写真のようになる。

インパクトが大事カレー。

なんか夢があるお皿になっているが、むろんひどく食べにくい。大体の予算は、お米が72円、野菜類が60円、おいしい土が10円あたりだろう、光熱費など端数を入れてだいたい160円になる。身の丈に合った昼食だ。


晩御飯を作ろうと思う。
今日は満を持して友人と二郎ラーメンに言ったのだが、毎回びびって野菜を増さない。よっておなかがへった。晩御飯が必要だ。

お米は1合用意してある。
それに、お昼の時点から水に漬けておいた大豆がある。これを煎り豆にしている間に、水無しグリルで付け合わせを作ろう。
エリンギを半分に切って、醤油を垂らす。トマトを切って盛り付ける。塩分濃度が高い梅干しは常温保存が利くので、この生活にぴったりだ。そんなこんなで写真のようになる。

彩度がすごい。

お皿が同じなのはご愛嬌。お米が72円でトマトが25円、梅干しが10円程度でエリンギが25円。大豆は袋で買ったので、だいたい10円くらいか。142円の夕食は、少し物足りなかったかもしれない。汁物が欲しい。

毎食後、洗い物をする。こういうのは早ければ早いほどいいのだ。ちなみに、歯磨きは食べ終わってから30分後くらいがいいらしいので、洗い物を済ませてからだと良いだろう。

どうやら今期の米価も怪しいらしい。
去年の外食増加とインバウンド消費が働いて、食糧米の作付けが伸びたそうだ。それに、お米の先物取引も始まる見込み。
しかし、やはり猛暑。白濁や実りが低ければ、その分家計にも影響する。
去年は10kg3000円で購入していたお米も、今年は10kg4000円で見とかなければいけないのは、少し苦しい。

推しは推せるうちに推せ、というように、お米も買い支える必要があるのかもしれない。
僕に推しはいないけれど、そうだなあ、猛暑に強いらしい雪若丸を買えるように、今は少し生きてやろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?