心理学実験Ⅱ 連想プライミング課題【評価A】(聖徳大学)図・考察・引用文献付き

心理学実験Ⅱ/心理学基礎実験中級

連想プライミング


問題と目的

 我々人間が日常で利用する長期記憶は、その内容によって意味記憶とエピソード記憶の2つに区分される(箱田・都築・川畑・萩原,2010)。意味記憶とは、物や人物などの対象の性質や内容に関する記憶であり、知識と言い換えることができる。一方、エピソード記憶とはどこで何をしたという、意味に加えてそれを取り巻く状況も含めた記憶である。

 日頃様々な場面で意味記憶は利用される。このような意味記憶の貯蔵と検索に関して、よく取り上げられる現象の1つに、連想プライミング効果がある。プライミングとは、時間的に連続して提示された刺激に対する情報処理が無意識化で互いに影響し合う現象を指す(太田,1999)。連想プライミング効果は、Meyer&Schvaneveldt (1976)によって明らかにされた現象である。彼らは、提示された文字列が有意味か無意味かを判断する実験を実施し、その際に例えば「パン-バター」のように意味の関連性が高い単語対で提示した場合のほうが、「医者-バター」のような関連性の低い単語対で提示した場合よりも、「バター」という文字列に対する有意味性判断の速度が速いことを報告した。このような現象を連想プライミング効果という。

 本実験では、Meyer&Schvaneveldt (1976)の実験とは異なる手続きで連想プライミング効果が発生するかを検証する。具体的な手続きとして、参加者に単語の穴埋めを求める単語フラグマント完成課題(堀内,2011)を実施し、その正答数を比較する。

 

方法

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