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bpm120


📔 2023年12月9日(土)


刺繍に夢中


今年に入ってから始めた新しい趣味

ちゃんと向き合い出したのは夏の終わりで、それまでは他のことに気が散っていてあまり手につかなかった


針の動きを追いかけていると、特別なきもちになる

興奮しているのか、癒されているのか、うまく言葉にできないけど特別


これまでたくさんの職人さんに会って、その仕事について見たり聞いたりさせてもらう中で、自然と「自分がしているディレクションという仕事は一体何なのか」と考えるようになった

ディレクション、
重要な役割だとは理解している

でも、それだけを担っていた私は、私がだれかに届けたいもの、その実物そのものをつくることは誰かに任せてばかりな気がしてならなかった

自分自身の手が動かせていない感覚というか、自分では何も生み出せていないような、そんな気分に飲まれることがよくあった

もちろん、アイディアを出したり、文章を書いたり、写真を撮ったり、PRをしたり、イベントをしたり、その一切に責任を持ったり、そういうことを自分なりに一生懸命してきた

そしてこれからも何かに取り組むたびにその知見を活かしていくのだとも思う そのあたりに対して否定的な感情はないつもり

私のしてきたことのほとんどは、目には見えない何かをつくり育てるようなこと

だけど、商品そのものについて私がしていることは一体何なのか、私がいなくても商品そのものは完成するのに、私には一体何ができているというのか、
この悩みは私の前進と常にセットだった



これまでの私は服屋だった

しかし、私は服が作れない


デザイン画もパターンも縫製も服そのものを構成する大体のことがおそろしく苦手で、何ひとつ満足に作れない

それでも周囲からは服づくりの人と呼ばれ、つくってくれてありがとう とたくさんの言葉をかけてもらってここまできた


でも、私が作ったと言えるのだろうか?そういったことにずっとひっかかっていた

私は何もしていないわけじゃない
私はとても大切なことをしている 自分のしていることを不正解と決めつけるのは違う

でも、、、 の繰り返し

パタンナーや縫製職人の皆さんと直接会っておしゃべりできる関係性だったら少しは違ったかもしれない、と思うときが今でもある

どんな人にこの悩みを話しても「それぞれ得意不得意がありますよ」とか「ディレクションだって誰にでもできる仕事じゃないよ」などと縫わない立場の私を励ましてくれたし、それはそれできっと事実でもあるのだと思う

でも、どうしても何かがすっきりしなかった

その悩みが一番深かった時期、
私が仕事をしていた環境は、なぜか服づくりの職人さんたちには絶対に会えないようになっていた

会わせないようにしているのではなく、合理的なビジネスをするためにそういう仕組みになっていた

意味はわかる

でも全然わからない


驚くほど安いモノの安さの秘訣
それを軸とした仕事

私たちが届けるものを、実際に形にしてくれる人に、だれも会えない、だれも知らない、これは本当に不思議だったし巨大な違和感だった

どの国のどの地域なのか、どんな人が何人いるのか、どんなことが好きでどんなことが得意で、どんな音楽を聴いて、どんな家族や友人がいて、どんなおやつを食べて、そして、その仕事にどう向き合っているのか、

どんなことにときめくのか、

私たちの商品に何を感じるのか、

幸せなのか、


何も知らない

本当に何も、何ひとつ分からない

会いたい、繋がりあいたい、と5年以上アクションし続けたけれど、残念ながら当時の私がいた環境をそのように動かすことはできなかった



その事実に対する怒りは、今は随分と抜けてしまった

でもしこりは今もずっと残っている



この経験があるからこそ、手で触れられる何かを生み出せる人への憧れが余計に強まっていったのかもしれない

憧れの職人さんたちを前にしたら、私は本当に何もできていないように感じてしまう

それくらい職人さんってすごいの

私はというと、夢と希望と言葉だけが大きく膨れて前に飛び出すばかりで、この手は、ペンを持ったり画面をなぞったり、そんなことしかしていない

わざわざ悲観的に捉えているのではなく事実としてそう

それなのに、なぜかディレクターという肩書きを持った私が一番上にいるかのような構図にどうしてもなってしまう

私はその恩恵を本当にたくさん受けてきた

けど、やっぱりなんだかしっくりこない
何かが気持ちよくない

私はあなたたちがいないと何ひとつモノを生み出すことができないのに、 といつも会ったことのない職人さんたちを思い浮かべてぼんやりしていた


毎日文章を書き、それでごはんを食べていた、そのときの自分や体験を否定するようなことはしたくない

だけど、当時の私は確実に何かが無性に悔しくて、不甲斐なくて、申し訳なくて、情けないきもちでいっぱいになることがよくあった

年収が上がれば上がるほどその感覚も膨れた


職人さんはすごい

彼らは努力を知る魔法使いだ

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