教授

マイルールにとらわれること 『天才柳沢教授の生活』#212

自分のやりたいことをやって、言いたいことはちゃんと言って、アホとは付き合わず、無駄は排除して、夢に向かって走りぬくぜ!

という新人くんには「がんばれ」としか言えないのですが。マイルールを貫くのは、そう簡単じゃないよーとは思います。

マイルールの人といえば、Y大経済学部の柳沢教授が主人公のマンガ『天才柳沢教授の生活』です。

柳沢教授は、マイルール厳守!世のルールも遵守!な人。モデルは作者である山下和美さんのお父さんだそう。博識で語学も堪能、見た目はとってもダンディなおじさまです。でも、こんな人が家にいたら、めんどくさいだろうな……。

毎日5時半起床9時就寝。
道路を渡る時は必ず横断歩道を。
曲がる時は直角に。
迷惑行為はためらいなく注意。たとえ相手がヤクザでも……。
どんなことも論理的に考察。たとえ相手が小さな子どもでも……。

人の“感情”には無関心にみえるため、周囲のとまどい、教授なりの筋の通し方に思わず笑ってしまいます。


教授方式で道を歩いた場合のことを研修で話したことがあります。正面から人が歩いてきて、このままいったらぶつかる、という時。どちらかがよけるしかないですよね。

わたしが右によけたら、向こうも左によけて、「あら、失礼」と思って左によけたら、向こうも「あら、失礼」と言って右によけようとして、「あら、失礼」と(以下、省略)。

常識的な人同士の場合、こうなります。

ところが「自分はまっすぐ歩いていく。お前がよけろ」しか考えられない人は、まっすぐ突進してきます。自分がよけるという発想がそもそもないので、相手がよけない限り正面衝突することになる。

マイルールを大切にしたい、自分の気持ちに正直に生きたいはとても大切だし、大事にした方がいい。でも自分のルールにしか思いが及ばないとぶつかることになる。ぶつからずに歩く方法ってあるかな?というお話です。

自分がよけることは“負け”なんだと思ってた。

そんな感想を聞いて、いまの20代がおかれている環境の厳しさを、あらためて感じたのでした。


教授なりの世の中との折り合い方が変化していく様子をみていると、マイルールが一番大事な教授だって、人とのつながりを欲しているんだなと感じます。

自分のルールに合わない人を「バカ」と切り捨てるのは簡単なこと。天に唾すると自分に返ってくることは分かっておいた方がいい。

朝からカラスにウンを付けられ、そんなことを考えたのでした。

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