ただの「審判」ではない
ボクシングファンならぜひ一度見てほしいなぁと思う映像です。
ボクシングの試合を見たことがあれば、「この人見たことある」と思うはずです。
このサムネ画像にもあるように、ガッと大きく目を見開いてカウントするので、選手以上にインパクトあります。
この映像を見て初めて知ったのですが、意外にご年配だったんですね。私、50代ぐらいだと思っていましたが全然違いました。その年齢で結構俊敏な動きをしています。びっくりです。
ほかの審判とは違う
プロボクシングの審判は、ほかのスポーツと違い、相当特殊な職業だと思います。
なぜなら、直接命の管理をしているようなものだからです。
ほかのスポーツの審判は、あくまでその競技のルールを取り仕切ります。
ですがボクシングの場合、ルールを取り仕切るだけでなく、「これ以上続けさせたら危険だ」の判断もしなければいけないのです。ほかのスポーツの場合は競技場の間近でドクターが常駐してその判断をくだしますので、非常に大きな違いだと思います。
はっきり言ってしまうと、昔々のボクシングのレフェリーは、そこまで厳密ではなくて、時には、試合を続行する気がないボクサーを無理やり起こして立たせることさえやっていました。今は、選手の将来を考え、できるだけダメージの少ない状態で試合を終えられるよう、相応の配慮をしているように見えます(少なくとも大昔とは相当そのあたりは違っています)。
先日、井岡一翔選手と田中恒成選手が対戦したときも、その試合をさばいたレフェリーの染谷さんに高い評価が寄せられていました。
最後の場面、打たれた田中選手が完全に足がもつれたところで、染谷さんは田中選手に抱きついて倒れ込むのを体ごと阻止したのです(もちろん試合はそこで終了しました)。
これ、相当難しい技術です。
普段、レフェリーは選手とはかなり離れたところに立っています。近すぎたら選手にとってジャマだし下手したらパンチを喰らってしまいますので。
でも、「これはヤバイな」というのを感じ取ると少しずつ選手との距離を詰めて行きます。それも見ている観衆たちがほとんど気づかないように少しずつつめるのです。
そして、田中選手がリングに倒れ込む直前で、それを抱き止めて防いだ。
リングに倒れるときに後頭部をリングの床や硬いロープに打ちつける可能性があるため、パンチを受けるのと同様に危険な場合があります。とはいえ、それをレフェリーが防ぐのは義務ではありません。そもそも相当難易度が高いことです。
早く止める意味
で、冒頭で紹介した方(ベイレスさん)の映像を見て、レフェリーのすごさと緻密な計算を思い知らされました。
この方、私が見ている試合に限ってかもしれませんが、比較的早く試合をストップするように感じます。「まだ続けられるんじゃないの?」と一見、思うような状態でも結構試合を終了させる感じです。
たしかに、過去の試合を見れば、相当グロッキーな状態になってからそれを逆転した試合も多々ありました。だから彼のように早く止めてしまうと、そういったドラマチックな展開は期待できません。
でも、それでいいと私は思います。ボクシングは殴り合いが原点ではありますが、ケンカではありません。主導権を握り合い、主導権を取られたらある程度負けを覚悟する。現代ボクシングはそれでいいと私は思います。
とはいえ、この方、止めるのが早すぎるわけでもないです。
しっかりと相手の表情を見て判断を下していることが、この映像でも分かると思います。
ボクシングファンなら審判のすごさにも目を向けてほしいなぁと思います。
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至ってごく普通のサラリーマンのつもりですが少し変わった体験もしています。