あおいるい

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【短編小説】キャミソール 第二話

「先輩ー!先輩ー!」 「きいてますかなんか今日ふわふわしてますよ」 「あぁ、ぴえん!...じゃなくて...ごめん。」 「古くないっすか!?」 「ちょっと大丈夫ですかー?」 「明日の会議資料の写真チェックしてもらっていいですか。」 現実に引き戻される。 キャミがいない何度目かの ー春。 春はいつも記憶が交錯する。 HIVは死なない病気になりました。 ―薬さえ飲めば。 キャミの死因はHIVでも、 タワーマンションから飛び降りたのでもなくて、 不慮の事故によるものだった。 「

    • 【短編小説】キャミソール 第一話

      ぱっとしない空模様の3月。 楓はIシティで友人と花見の約束をしていた。 職業訓練が午前中までだったため、 訓練所ちかくの公園に待ち合わせ、 ちょうど12時をすぎたころ友人はやってきた。 楓の友人論はこうである。 人の悪口を言わない、時間を守る。 20数年近く生きてきて疎遠になった友人も数多くいるが、 その友人は時間に遅れる場合は必ずメールをくれるし、 大幅に時間に遅れたことはいままでなかった。 なによりどうにかこうにかして人の悪口を言わない、 のらないその静かなる信念なるもの

      • 仕事を辞めたのでゆで卵ゆでました。

        また仕事を辞めた。 小さいころから書道をやっている。 高校の先生にはお前は書道より文才が あると言われた。 それを大事に大事にしまってそれが 最後の砦みたいなものになっている。 書道の才能はない。 中学の書初めで金賞をとれたものの 高校の書道部では並大抵で、 書道の専門学校に行くと自分は 果たして書道が好きなのかと いささか疑問が残った。 もちろん書くことは好きではあるが。 さて、これからどうするか。 卵をゆでている。 それまでにここまで書いたが、 別にそのままアーカイブ

        • 好きな人と同じケチャップを買った

          くびれていない男らしい ケチャップ まだ開けてないけど ケチャップ 口についてるよって ケチャップ 最高にChillしてく ケチャップ 真昼の冷蔵庫の中で君を思い出す ぼくはマスタードになって 君の隣に そっと口づけ

        【短編小説】キャミソール 第二話

          彼氏が欲しいと思うとき

          いい映画をみたあと 夕焼けがきれいだったとき おちこんだとき おいしい料理ができたとき 旅行に行きたいとき さびしいとき 心細いとき 不安なとき 行き詰ってるとき 風が強く吹いたとき 昼間は暑くて夜になったら涼しくなってきたとき

          彼氏が欲しいと思うとき