【短編小説】キャミソール 第一話
ぱっとしない空模様の3月。
楓はIシティで友人と花見の約束をしていた。
職業訓練が午前中までだったため、
訓練所ちかくの公園に待ち合わせ、
ちょうど12時をすぎたころ友人はやってきた。
楓の友人論はこうである。
人の悪口を言わない、時間を守る。
20数年近く生きてきて疎遠になった友人も数多くいるが、
その友人は時間に遅れる場合は必ずメールをくれるし、
大幅に時間に遅れたことはいままでなかった。
なによりどうにかこうにかして人の悪口を言わない、
のらないその静かなる信念なるもの