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子ども達の”学び”の変化から気が付いた事:変わっていくママの役割に合わせたママ対象サポート内容のシフト

 今までの常識が通用しなくなり「そんな非常識な事!」と思われるような事が当たり前になって来た時代。価値観の転換が起こる中で子育てをしていく親御さんは本当に大変だと思います。

 子ども達の学びのカタチは進化を続け多様な学びの場はすごい勢いで増えていて、子どもの個性や家庭の事情に合わせ「どんな学ばせ方や学びの場を選ぶか」について今ほど迷う時代はないかもしれません。

 正解のない時代の”学校選び”も昔ほど単純ではなく、ただ偏差値が高い学校に進学させ学歴をつければ、その後の人生が安泰という時代ではなくなって来ています。

 さらに「人生100年時代」では学びの期間は学生時代にとどまらず生涯教育が必要になると言われています。だとしたら従来の知識詰め込み型の試験で高得点をとる事を目的にした学びの過程で、子どもが勉強にマイナスイメージを持ったり「自分は勉強が出来ない」と学びに消極的になったりするのはとても残念な事です。

 とはいえ現実には学校での学びはテストとセットで点数での評価は従来通り、進学するためには入試を乗り越える必要があります。

この状況の中で子どもの学びを支えるための親御さん達、特に家庭で子どもと過ごす時間の長いママの役割はどう変わっていき、そのママのサポートをしている自分はサポート内容をどう見直せばいいのだろう? 

子どもの学びの現状を調べ知れば知るほど悩みは深まり、ようやく結論を出す事が出来たので4月から始めていた「受験生のママのサポート」の移行についても含めてまとめて
みたいと思います。

1  子どもの学びはどう変わってる?

 「主体的で対話的な深い学び」2021年3月まで学校で家庭科の授業を受け持っている時、この文言にどれだけ悩まされたか分かりません。グループワークや実習を取り入れ対話と促そうとしても、授業の中で双方向のやり取りを心がけて生徒達に問いかけても、問いの質やタイミングなどで生徒達の反応は大きく変わりました。昔の一方通行の授業スタイルに慣れてきっていた自分にとって”正解”や”モデル”がない状態での授業や実習は、まさに試行錯誤の連続でした。

 学校現場を去った今「主体的で対話的な深い学び」につながるアクティラーニングの取り組み、中でも探究型学習の実践例を見ていくと想像をはるかに超えた取り組みされている事に本当に驚きました。以下は「RITA」という冊子からの事例です。

 一番驚いたのは”国際学年ヨハネ研究の森コース”の取り組みです。
「こんな事が本当に可能なのだろうか?」と思う程、生徒達の主体性に任せた学び方です。そのスタイルの独自性や個々の生徒達の学びの深さは目を見張るものがあり一読してショックを受けました。詳しくは下記のサイトからお読みください。

http://www.ritalabo.jp/mg/wp-content/uploads/2016/02/Rita_08.pdf

 次に驚いたのは、昔一年間、講師として勤めていた甲南高校での取り組みです。私学ならではの時間をかけた丁寧な取り組みとその結果としての生徒達の意識の変化、充実した内容や個性的なアプローチには本当に驚きました。詳しくは下記のサイトからお読みください。
 この号は「地域探究学習」がテーマで地域とのつながりと子ども達が現場で体感する学びの深さについても知る事が出来ました。この学びは地域の方々との連携があってこそ成り立つもの。こういう体験が出来た子ども達の持つ視点は学校の中だけの学びでは絶対に得られないものだと確信します。学びの体が子供達の未来を変えるターニングポイントになったのだろうと想像出来ます。詳しくは下記のサイトからご覧下さい。

http://www.ritalabo.jp/mg/wp-content/uploads/2016/02/RITA-Vol.11.pdf


 最後は国境や世代を越えた学びのつながりです。先輩から引き継いだ学びの発展や国をまたいだ学びの深まりは他では絶対に経験出来ない重みを持ちます。このような学びは子ども達にとって学び自体についてのパラダイムシフトをもたらすのではないかと思いました。詳しくは下記のサイトの「RITA vol.10 グローカルな学びと利他」からご覧下さい。

http://www.ritalabo.jp/rita/

 また先日クラスを見学をさせていただいた神戸にある”10代の探求者のためのマイクロスクール”での学びの実践も「探究に特化した」独自性の強い内容で生徒達の学びへの姿勢やカリキュラムの作り方、学びの場でのナビゲーターの方々(学習を側面支援する方々)の子ども達への関わり方なども深く印象に残りました。

 これらの学びについてのショックは、以前、軽井沢のISAC(全寮制の私立インターナショナルスクール)という学校が設立された時に授業の様子を見学させていただいた時以来でした。

 そして何よりショックを受けたのは幼児教育の世界の変化です。特にレッジョ・エミリアアプローチは、地域で乳幼児から市民としてリスペクトし、アートを通して子ども・子どもと幼児教育の場で関わる専門家・保護者・地域住民が育ち合いの場を持つという考えつきもしないような内容の取り組みです。
 STEAM教育が広がりを見せる中、Art(アート)浸透しにくい領域だったかと思いますが、日本でも少しずつ取り入れられているようです。

下記の「驚くべき学びの世界」はページをめくるたびに素晴らしい気づきを得られる本なので興味がある方は、ぜひご覧いただければと思います。


 どの場での学びも「主体的で深い対話の学び」は子ども達の興味や関心に基づいてしっかりと実践されていて、自分が考えていた「学び」の質とこれらの場での取り組みの質の各段の違いを痛感しました。



2  ママの役割はどう変わる?

 このように子ども達の”学び”の質や場、取り組みの内容が多様化する中で、ママの役割はどう変わっていくのでしょう? 

 親の世代の受験経験やサクセスストーリーなどの人生経験が子どもの世代には当てはまらなくなって来ている今「ちゃんと勉強していい学校に行けば幸せな人生を送れるから頑張りなさい!」言えるのでしょうか?

 ひと昔前までのママの役割は、しつけに加え、しっかり勉強させて、いい”学校に進学させる事だったかもしれません。

 私自身も子供達を中学受験させ、それなりの大学に入れる事が母の役割と信じ込み子供達の生活を管理し生活を整え勉強させる事に全力を尽くした時期もありました。(主人の高学歴を自慢して孫も”いい大学に入って当然"とプレッシャーをかけてくる義父母の存在も大きかったかもしれません)

 さらに教育費を稼ぐ事にも必死でした。2人とも私学の中高一貫校に入学させ飛ぶようにお金が出て行く状況の中で国立大学に合格する保証はどこにもなく私立大への進学も考え、とにかく働きました。子どものために欲しいものも我慢して自分の楽しみを犠牲にしていました。(今考えると痛い母親です。)

 でも今はそんなやり方は時代錯誤なのだろうと思います。時代が求めている人材が「自分の頭で考えて行動出来る事」「自主的に学ぶ姿勢」「主体性を持って自分らしい人生を過ごす事」だとしたら、ママが子どもの生活を管理してコントロールしようとする事は時代に逆行する事になるからです。

 だとすると、これからの時代のママの役割は子どもへのコントロールを手放し、子どもが自主性や主体性を持って自分で考えて行動出来るようにサポートをしていく事になります。これは子どもとの信頼関係がベースになるので、ママからのアプローチで親子関係をどう築いていくかがとても大切に役割になると思います。

 そして、もう一つ大切な役割はママが自分自身の人生を大切にして日々の暮らしを明るく過ごす事かと思います。学校に勤めている時、他の先生方と生徒について話す機会がある度に「親が子どもに見せる背中」が持つ意味は大きいという話になりました。

 私がそれを痛感したのはいろいろな高校での家庭科の授業の時です。
「未来に希望? 持てるわけない」
「将来? 将来なんてしれてる」
これらは生徒達から出た言葉の数々。高校生は社会的な視野も広がって来ますが、やはり一番身近な親の背中を見て未来に想いをめぐらせます。

 もし、親が疲れ果て不機嫌で暗い表情で毎日を過ごしていたならば、子ども達が「未来に希望を持つ」「将来を楽しみにする」のはとても難しい事だろうと思います。

3 受験生のママのサポートをどう変える?

 2021年3月に学校を辞めた時は「受験生のママのサポーター」として、受験生のお子さんを支えるママに向けて、古い価値観をひきずりながら発信をしていました。でも子ども達の学びという点から時代の変化を痛感して気づきました。もう家庭での従来の管理型のサポートは時代に適応しないのだという事をです。

 親御さん、特にママが子どもの生活を過度に管理してしまうと、子どもは自分で考えなくてもいいのでとても楽です。素直で頑張り屋さんのお子さんなら成績も伸び志望した進学先に進める可能性が広がります。

 なかなかママの言う事を聞いてくれないお子さんにとっても自分の生活についてアレコレ言ってくれるママの存在は”本当はやりたくない”と思っていたとしても、自分以外の人が作ってくれたスケジュールやタスクがあれば、それをこなせば何とかなると思えるから自分で考える必要もなく安心です。ただ、どちらの場合も主体性とか自主性に欠ける状況になります。

 ここでポイントになるのは「ママはなぜ子どもの生活を管理したくなるのか?」という事かと思います。

 私の場合は一つ目の理由は時間でした。子育て中は講師の仕事を掛け持ちでしていて主人は激務だったのでワンオペ育児状態が続き、自分の想い通りに生活しようと思ったら子ども達の生活を管理するしかありませんでした。

 二つ目の理由は心のゆとりでした。いつも”する事”に追われて、子ども達の進学先次第でお金のかかり方も生活パターンも変わると思っていたので将来の見通しも立たず不安でイライラしていました。

とにかく子どもの生活を管理し出来るだけスムーズに子ども達をそれなりの大学に進学させてからでないと自分の人生は始まらないと思い込んでいました。(本当はそんな事なかったのに思い込みは怖いです。)

 この頃、疲れた暗い表情で日々を過ごす私に子どもが「そんなにしんどいなら仕事を辞めて好きな事をすればいい」と言った事がありました。「何言ってるの! あなたのために頑張っているのに!」と怒って言い返した事を覚えていますが、今考えると子どもにとっては有難迷惑だったのだろうと思います。

 ここまでの事を考え、昔の自分を思い出した時、サポート内容をシフトする決心がつきました。変更するのは3つです。

1:「受験生のママのサポート」から受験生のママも含めた「ママのためのチア・アップサポート」に変更。サポートさせていただくママの範囲を広げママがほがらかな笑顔で日々を過ごすためのサポートに移行します。

2:「個別セッション」(受験生のママのお悩みや不安を解消)から、ママが子育て中でも心にゆとりを持ち、未来の暮らしや人生のビジョンを持ちデザインを描いて行動していけるように「ライフデザインセッション」に
移行します。

3:SNSでの発信も”受験生のママ向け”から”ママが笑顔になれる””ほがらな気持ちで日々を過ごせる”ような情報やアイデアなどに移行します。詳しくは下記のサイトをご覧ください。

https://peraichi.com/landing_pages/view/ftiit

4 最後に

 今、ご家庭で子育て真っ最中のママには想像出来ないかもしれませんが、いつか子供達は巣立っていきます。子どもが自立できるようにサポートしていく必要があると言えるのかもしれません。

 子ども達が成長する分ママは確実に年齢を重ね、子育てが落ち着いてからやろうと思っていた事は、その時が来たら体力的に精神的にもやる気が出ないかもしれません。
そして、その頃には自分の親も年齢を重ね、親御さんのお世話が必要になる可能性もあります。

 その状況の中で家族が落ち着くのはいつでしょう?人生を自分らしく生きていけるのはどの時点でしょう?人生100年時代を生きるなら、その時何歳になっているでしょう? 

 先の事を考え、自分が未来のデザイン(イメージやビジョン)を持ち生活する事はとても大切な事だと過去の失敗から思い至りました。
どうぞ自分のこれからの暮らしや人生について、ひととき、ご自身と対話をする時間をお持ち下さい。

 今は従来の考え方と新しい価値観が入り混じった時代です。お子さんの園や学校選びひとつとっても”普通”がどれかが分かりにくい時代に、自分の中で整理がつかない考えや思いがあったとしたら、良ろしければHPやSNSでお伝えしている情報やアイデアなどを参考にしてみて下さい。SNSでの発信は下記のサイトからご覧ください。

https://lit.link/sawanaturalseed

長文にお付き合いいただきありがとうございました。ここで書かせていただいた事は私見です。(今の変化を違う捉え方をしている方もいらっしゃると思います。)《終わり》