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ラブ・アクチュアリー

愛と教養のラブコメ講座を履修するシリーズです

クリスマスに浸りたい!クリスマスのことで頭をいっぱいにしたい!そんなシーズンが今年もやってきました。ええ、これを書いている時点で7月ですけど何か??わかってます季節外れですよね‥。でも良いのです。今これを観ることが私には必要なんです。

なぜかというと職業的に今クリスマスのことを考える必要があるから!実は私は広告関係のお仕事をしておりまして、例年この夏の時期にクリスマスについて考える必要があるのです‥。明日のことも思いつかないのに、何ヶ月も先のことなんて想像もつかないわ。という気持ちでいっぱいなので今年はせっかくだし映画に頼ってみることにしました。

秘書への恋心に悩む英国新首相のデヴィッド(ヒュー・グラント)、親友の結婚相手ジュリエット(キーラ・ナイトレイ)に密かに思いを寄せるギャラリー経営者マーク(アンドリュー・リンカーン)、弟に恋人を寝取られた作家のジェイミー(コリン・ファース)、愛する妻を亡くした傷心のダニエル(リーアム・ニーソン)など、クリスマスのロンドンを舞台に男女19人のさまざまな愛のかたちをアンサンブル形式で見せる(ラブコメ講座内の紹介文から引用)

様々な登場人物の人間模様が最終的に集結していく、いわゆるグランドホテル方式というものらしいです。三谷幸喜の有頂天ホテルとか、小説だけど伊坂幸太郎さんの作品でもよく描かれているようなシチュエーションです。好きな人は好きだと思う。私はわりと好きです。
ただ、私は人の名前と顔が一致するまでに時間がかかるので、認識する前にシチュエーションが次々と移って、前半結構「あれ?」ってなって物語に入り込むのに少し時間かかっちゃった。

最初の入りにくさはあったけれど、やっぱりスタンダードとして何年も君臨する映画なだけあって観た後の気持ちよさと清々しさがあった。恋愛だけの世界じゃなくて、やるせなさとかほろ苦い部分とか様々な愛の形が示してあってそれがとても良かった。

個人的に好きだったエピソードは、小説家ジェイミーとポルトガル人のオーレリア。言葉が通じない2人がじわじわと距離を縮めていく姿が優しくて可愛くて少女漫画か!というくらい。でも私は自意識と羞恥心の塊なので、あんなプロポーズされたら答えないでその場から逃げるなあ‥。映画だしクリスマスだから良いんだろうけどね。周りの人のノリも良いよね。ラテンなの?オーレリア姉のちょいキャラなのに堂々としたおもしろさが良い。ジェイミーが恋に落ちたのは湖でオーレリアが服を脱いで飛び込んだときだと思うけど、なんていうか夏の日1993だよね。真冬だけど
あとは首相のディヴィッドがアメリカ大統領に言いたい事言ったあとに、達成感で踊るシーンがラブコメだぜ!って感じがしてとてもよい。ラブコメって踊りがちだけど、欧米の人って実際踊るのかな?すごく不思議。あとこれヒュー・グラントだから良いけど、実際のジョンソン大統領とトランプ大統領で考えたら大変な事態になってたかもねってシーンだなあと後から思った。

クリスマスだから都合良くても良いよねという気分のジェイミーやデヴィッドとは対照的に、現実の切なさがあったのはサラとカレン。

サラは恋に落ちてからの時間を正確にカウントするくらい夢中になっている同僚カールがいて、そのカールと上手くいきそうになっても常に病気の弟マイケルを優先せざるを得ない。だから結局彼と上手くいかない。サラは基本的に臆病だから会社の社長ハリーに発破をかけられても、想い人カールに自分からはアプローチする行動力はない。サラは結婚式でマークがゲイだと勘違いする程度に観察力もないから、自分の状況を冷静に理解できていない。だからその時々の対処療法しかできないのだと思う。サラにもう少し分析力と行動力があったらカールとの恋も、弟のマイケルとの関係も上手く両立できたんじゃないかと思う。現状維持思考と受け身は欲しいものが何も手に入らないんだよね‥

カレンとハリー夫婦は熟年夫婦の寂しさ。裕福で子どもも元気で何不自由ない家族で夫婦の間は穏やかな凪。夫のハリーは部下のミアからアプローチされその気になり、とうとうクリスマスにミア宛のジュエリーを買ってしまう。ミアにジュエリーを贈ったのに自分へはいつも通りのスカーフにCD。私は独身だけどカレンの気持ちは想像できる。いつだって女として魅力的な存在で居たかったはずなのに、年をとり体型は変わる、子どもも居るし自分のことばかり気にかけてもいられない。そんな状態で刺激はないけど幸せなんだと思っていたのに、夫は外で若い女に夢中になりはじめている。それに気がついても家族の前で泣くことはできず良い母でいるしかない。生活感の溢れる寝室で声も上げず涙が収まるのをじっと待っているシーンは彼女の矜恃を感じた。あの後も夫婦は家族を続けると思うし、ハリーはミアとの関係は精算すると思う。でもきっと夫婦として揺れる時期は何度も何度も訪れるんだろうなあ。

思いの外長くなってしまった。クリスマスブーストでハッピー!みたいな話とクリスマスでも現実は現実だよ、でも少し世界が優しい。という話が上手くブレンドされてラストで集結して昇華されていくのがすごく上手い。年単位で定期的に鑑賞したいかなあ。その都度、刺さるエピソードが変わる気がする。

次もクリスマスものでセレンディピティをみようと思ったのに
配信が見つからないというピンチ。誰か知ってるよ!てかたはご一報ください。
配信レンタルだと助かります。DVDは再生できる環境がないの‥

まとめてるよ



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