見出し画像

エイトリ 感想日記③ ※ネタバレ注意

昼班ストーリーを読み終わったので、ストーリー全体を振り返りつつ各キャラ感想
思ったんだけど、A面B面ごとで感想を分けてもいいかも。次からそうしてみよう。

ストーリー感想

 高校生五人がメインキャラなだけあって、青臭い話だった。それぞれ才能がある同級生に囲まれたことで、一番能天気そうだった五十竹が自分自身を「凡人」と称したところは、画面を通してこっち側の現実の自分へと、ポジティブにもネガティブにも響いた。五十竹には主任も仲間もいるしやる気もあるが、自分には誰もいないし何もないからな……。物語としては美しいと思う。
 朝班の西園練牙もそうだけど、ユニットのリーダーを物語の主軸として動かす都合上、リーダーキャラは初期の精神成熟度が低く設定されているように思う。成長性を消費してドラマにするために。その流れでいくと、片山來人や蜂之屋凪も幼かったりコンプレックスを抱えていたりするのだろうか。後者はともかく、前者は(今の時点では)あまり想像がつかない。

 カースト制度がある学校で、下位カーストとして虐げられている所から始まる物語だが、最終的に上位カーストの地位を手に入れて賞賛される話にならないのが良かった。悪なのはカースト制度そのものであって、その中で成功してもあまり意味が無いからな。カースト上位者である彼らもまたカースト制度の奴隷にしか過ぎない。
 その点では、意図的に劣等生を作り出した上でその劣等生を応援しているっぽい校長の存在がかなり意味不明なのだが、彼の思惑が判明するのは夜班ストーリーになりそうだ(子タろの関連で)。
 単にメインキャラを動かしてその章を盛り上げるだけじゃなくて、他班のキャラを出したり謎を残すことで、その後の章にも好奇心の導線を引っ張っているんですね。なんて上手なシナリオ構成なんだ……。感嘆。

以下、キャラ感想

五十竹 あく太

サメ映画好きそう

 ストーリー感想でもちょっと触れたが、一番能天気でアホっぽく(実際そうではある)、明るさでみんなを引っ張っていく役回りの子が、後半コンプレックスが爆発する展開がやっぱいいっすね……。
 今までの描写を見る限り、この5人の中で彼だけ才能が無い。他のメンバーにはそれぞれ絵・音楽・料理というクリエイティブな才能があり、宗氏にも管理職の能力があるのに対し、彼だけ群を抜いて劣等生だ。小豆島で任された仕事で苦労していた様子は特に無かったから、撮影技術と編集技術は並以上にはあるのかもしれないが、肝心の映画作りの才能が……。多分、B級映画をやりたいという欲とやりたいシチュエーションだけが頭に思い浮かんでいて、それらをまとめるための一本筋の通ったストーリーを考えるのが苦手なんだと思う。
 今回は仲間の力を借りつつだったが、どんどんやり方を学んで理解して自分一人でもできるようになっていくんだろうな。頑張って欲しい。

衣川 季肋

すごい名前

 作品にコンプレックスある系男子。彼の「キモかわいい」絵柄と似たプロの作品が受け入れられている事例が現実でもあるように、おそらくエイトリ世界でもあるんだろうが、それでも彼は怖いんだと思う。やっぱり身近な人に拒絶されるのは……な。そういう体験があると、例え自分が受け入れられる場所があると分かっていても、受け入れられない人達の存在が頭に浮かんで離れないもんだよな……と思う。
 指人形の性格が彼自身を責め立てるネガティブなやつが多いのがちょっと怖かった。自ら生み出した存在にすら自己否定をさせてしまうところに、彼の自己肯定感の低さが見える。あく太や斜木に支えられて、少しずつでも健やかに生きられるようになってほしい。

斜木 七基

「7」を担当するために生まれてきたみたいな名前

 かわいい。普通にオシャレ有能イケメンって感じでキャラの個性としては薄い方なのだが、その分「カタオモイ体質」の部分で深みを出している。恋してる時が一番魅力的なキャラクターとして描かれていると思う。過去の失恋経験から諦観を持っていて、人と距離を置きがちだった彼が、まんまと主人公にやられラブソングしか作れなくなってしまうのは、いくらなんでも可愛すぎる。
 過去の失恋相手が男か女か分からないのが徹底してて良いっすね。未練引きずりまくって、約束解消された後でも映画見れないの最高〜〜。
 昼班の中で一番好きっす。

輝矢 宗氏

ピンクがイメージカラーなの意外だ

 有能冷静美少年。最初見た時は男版凛世(シャニマスのキャラ)みたいなキャラかと思ってたけど、全然違った。
 他のメンバーと比べ、緊急で乗り越えておくべき課題もないし性格もサポート気質だからか、今回分のメインストーリー内で分かりやすく目立つ活躍があったわけではないが、堅実に良いキャラだと思う。
 武士道系のキャラなのに、消えた父親を探しているというSF展開の過去を持っていて、その影響で「父親がいないこの世界線に現実味を感じていない」という独特の価値観を持っているのが、意外で面白い。少し浮世離れした性格が、ただそういう設定としてあるだけでなく、しっかりと今に繋がる過去がある上で形成された性格というのが良い。他のキャラもそうだが。
 後述する潮の過去もそうだけど、結構重大そうな秘密がありそうなキャラでも、少なくともメインストーリーの中では深く踏み込まないのが良い。主人公がなんでもかんでも解決するわけではないというか、短期間で全員と仲良くなれるわけではないのが。

九楽間 潮

ヘアピンが良い

 第一印象が「ヤンキー」だったので言葉がキツいんだろうなとは予想していたけど、笑顔で毒吐くタイプなのはかなり意外だった。それもチクチク嫌味なタイプの。自分のことは結構棚にあげるし。シンプルに問題児だなぁ。 
 この態度に対して「好青年」ってあだ名つけるのは結構凄いセンスだな同級生。しかし周りがそんな排斥的な態度取るのもむべなるかな。というか、潮側からコミュニケーションを否定しているし。むしろ文句言いつつも付き合っている他の4人が相当人間出来ていると言える。
 ただこんな捻れた性格になったのは、どうやら大分重い過去がありそうで……(断片的にしか分からないが)。今の彼の態度は決して良いものとは言えないけど、もし過去が推測通りのものであれば、なんだかんだ笑えて過ごせてることに対してホッとしてしまう。
 オタクな部分(かなりめんどくさそう)が明らかにされないのも良かった。オタクって最近はもはやキャラ属性の一つであり、「良いオタク」「オタクであることを隠さないオタク」として描かれることが多いけど、彼のオタク気質は良くも悪くも現実にいる「嫌なオタク」っぽくて、そこが良い(外れてたら申し訳ない)。彼の愚痴ツイに鍵垢から共感いいね押したい。
  

 どうでもいいけど、この人たち部長って名乗ってる割には部をまとめてる描写が無いな。一人部活なのか? この世界観なら十分ありうる。
 次は夕班だ! 元囚人とかいう一番良くわからないユニットなので楽しみ。片山兄弟も控えてるし。はやく全部読んでキャラたちのこと深く知りたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?