書評:『ザ・ラストマン』(川村隆)

日立製作所を危機から救った現みずほ銀行取締役である川村隆さんの本。きっちり固い人で、天才経営者じゃないので多くの人がまねをする対象にしてよい良い人だと思う。

書いてあることはとにかく、「当たり前のこと」ばかりで、「当たり前のことをきちんとやることが大事」と自覚して書かれている。かなりの読書の人らしく、バランスの取れた人格者で尊敬できる。

言っていることは、ポートフォリオ経営そのもの。「いらない事業を切り、良い事業を子会社から取り込む」なので、事業が多様化したある程度規模のある企業でしか適用できないとは思うが、日本総合電機の処方箋としては完璧。仕事の心構えなどもはずれがないと思う。

ただ、事業ポートフォリオがない企業、プロダクトポートフォリオがない企業では役に立たない。ベンチャー企業の立ち上げには参考にはならないが、ある程度大きくなった際の経営には大変役に立つ本だと思う。

ちなみに、グローバル企業を目指すなら、ラストマンではなくて、せめてラスト・パーソンであって欲しいが、そこはご愛嬌。

『ザ・ラストマン』(川村隆)

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