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安全保障の書評と評論

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2018年3月の記事一覧

書評:『ハンニバル戦記──ローマ人の物語II』(塩野 七生)



ハンニバル。この人物の物語は非常に面白い。

私のように教科書で世界史を1秒もやった記憶がない(おそらく、少しはあるのだろうがやったことさえ忘れている)人間が、この詳細な物語とともに世界史を学んでいたのであれば、コーエーの歴史シミュレーションゲームで深入りした『三国志』と同じように強い興味を持っただろうと思う。

ハンニバルの物語が、第二巻である。

カタルゴ、今のチュニジアを中心にした北部ア

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書評:『米朝「偶発」戦争 孤立する日本の平和憲法』(日高 義樹)



最近、ハイペースな発刊ですね、日高さん。安全保障の部類では、トンデモ本に比べファクトベースで話が進む日高さんの本を読んでみました。

例によって要旨を追いますと、
(1)現状、無人偵察機などの無人機は過剰に反応するので、人の判断がなくミサイルを打ち込む自体がある。その瞬間、北朝鮮の三十八度線にいる砲兵がソウルを火の海のようにして、偶発戦争に入ってしまう。米国も参戦する。そして、米国のミサイル防

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補稿:第二次世界大戦とレーダー

『ロケット・ササキ』(大西康之)を読んでいて、本編とは関係なく一つ良い知識を得たことがあったので、補っておく。

第二次世界大戦時、「ミッドウェー海戦で日本がアメリカに負けたのは、八木アンテナを作っておきながら、その技術の意味がわからず使わなかった日本の先見性がなかったからだ」という話がまことしやかに語られることが多く、私も信じてしまっていたが、事実は違いそうだ。

佐々木正さんはスーパーエンジニ

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