書評:『米朝「偶発」戦争 孤立する日本の平和憲法』(日高 義樹)

最近、ハイペースな発刊ですね、日高さん。安全保障の部類では、トンデモ本に比べファクトベースで話が進む日高さんの本を読んでみました。

例によって要旨を追いますと、
(1)現状、無人偵察機などの無人機は過剰に反応するので、人の判断がなくミサイルを打ち込む自体がある。その瞬間、北朝鮮の三十八度線にいる砲兵がソウルを火の海のようにして、偶発戦争に入ってしまう。米国も参戦する。そして、米国のミサイル防衛では、北朝鮮の弾道ミサイルは撃ち落せない(米国に届くのは落とせるけど、韓国と日本は近すぎて無理)。

(2)北朝鮮のミサイルにVXガスを積んで、飽和攻撃されると東京で100万人死ぬ。韓国の原子力発電所をミサイルで狙われると、韓国が廃墟になる。これは現実的な世界No.4の軍事力を誇る北朝鮮の攻撃力。(米国、ロシア、中国、北朝鮮の順番)

(3)米国は北朝鮮を甘くみていたが、すっかりミサイル軍事大国になって、核兵器も完成させてしまった。キッシンジャーの対中国戦略の破綻と同じく、対北朝鮮にも負けてしまった。

(4)米国の西海岸系のIT企業がシンクタンク使ってデマ流している。オバマもそれを使って反乱している。今の米国は、大統領制が崩壊している。

(5)イスラエルがやばい。中東の過激派は、米国の注目を北朝鮮に持っていくために、色々やる。中国も、野望の割に軍事力が弱いので混乱が起きる。中国、西でロシアと喧嘩している。ロシアのプーチンにトランプは見透かされている。キューバ危機ぐらいやばいことが起きてもおかしくない。

(6)米国の新戦略は、「現実的戦略」で、在外の基地を全部撤収する。移動する基地を整備して、基地を全部取り除く。日本からも米軍基地は無くなる方向である。日本は自分で自分を守らなければならないが、そういう政治家がいない。日本は(イスラエルみたいに)核武装して、ミサイルで先制攻撃能力を持つことで、抑止力を持たねば、国を守ることはできない。ちなみに、欧米金融界で日本は無視されてて、「あぶねーし、少子化で経済伸びねーし、誰も投資しねーよ」という小さな日本になっていく。

ということでした。なんと暗い未来なんでしょう!

日高さんの前の本の要旨と比べてみてもだいたい同じ。私も、北朝鮮をなめてましたが、50年の戦略でミサイル大国の工業大国になっていたわけです。具体的な脅威としては、VXガス満載のミサイルを東京にミサイル飽和攻撃されると、どうにもならないわけで(一発撃ち落とし損ねると100万人死ぬ)、「こら、どうにかしないとならんわな」と強く思いました。

50年前、三十八度線の戦略は歩兵で、北朝鮮の戦車部隊が韓国に流れてくるのを恐れていたわけですが、金正恩も賢くて、その陸軍は、全部ミサイルと砲兵にして、大量の陸軍は引き上げたわけですね。それで、兵隊だった人が、ミサイル作って、VXガス作って、中東に売ってお金を儲けていた。全部、ミサイルにつぎ込んで、戦車・戦闘機・爆撃機の通常戦力から、ミサイル主体の戦力に洗い替えた。仕上げに核を持って、中国にもロシアにももちろん日本や韓国にも負けない抑止力を作り上げたわけです。お見事。

という、世界no4の軍事力を持つ北朝鮮と、no3の軍事力を持つ中国が隣にある日本国なのですから、当然科学技術を結集して、ミサイルを持つ必要は出てくるでしょうし、潜水艦ももう少し長く潜れるのを作るべきでしょう。

あとは、広く海洋国家と同盟を結ぶ必要があるわけで、まあ、これからは、今までのグローバルな平和「パクス・アメリカーナ」ではなくて、「国際社会は、危険なジャングル」という認識のもと、日本も戦線を短くして、しっかり限られた地域を守っていくべきであると思いました。

平和が続くのが私の願いですが、抑止力無くして平和が続かないのも事実であり、とはいって核戦争になるのが最悪であり、とにかく難しい世の中になってきました。いっそ、南米か、オーストラリアあたりに逃げてしまおうか、と思いますが、今、パスポートがきれていたな。早く取りに行こう。

まあ、国際社会が今やっている兵糧攻めがちゃんと効くといいんですが。

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