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ビジネス書評

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2018年8月の記事一覧

書評:『未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること』 (河合雅司)



一作目の「未来の年表」がよかったので、2冊目も読んでみたけど、残念ながら駄作だと思った。一冊めの信頼度を下げる結果となった。

著者の河合さんは新聞記者ということで、その限界だと思う。未来予測をするのに必要な知識の幅が足りていないと思う。理系の知識が弱すぎる。

著書の内容は、未来年表に基づく、高齢化社会における日本の生活をわかりやすく影響を書いている。カタログとして起きることを書いている。最

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書評:『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司)



人口動態学(英語:population dynamics)という学問がある。
この本は、それである。

未来の人口推移というのは非常に精度が高く予測できるものらしい。ドラッカーなどは、「すでに起きた未来」とそれを呼ぶ。普通は、これを政策に活かすのだが、なぜか、日本人はそれをしてこなかった。集団的なインテリジェンスの欠如である。

日本の人口は減少する。もはや、減少している。この流れは止まらない

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書評:『ガリア戦記』(カエサル、石垣憲一訳)



これが2000年以上前に生きた人の文章かと思うと、人間の文章力の発展のなさに愕然とする。きれいな文章である。とても楽しくて、次を読みたくなる戦記である。

カエサルというローマの執政官が、勝手にフランスを制覇したその紀行を自ら記録したのが『ガリア戦記』であることを、塩野七生さんの『ローマ人の物語』を読んで知った。塩野さんもべた褒めなので、これを読んでみようと思い、読んだのだが、面白い。そして、

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書評:『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その11



最後、第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ。あとがきは、神になった動物。この2つが、すごくいい。

2018年のサピエンスは、サピエンスを超えてしまったという話。

我々は、神の領域に手を出して、他の生命体とは根本的に異なるレベルまできていることが、全サピエンス史の視点から書かれている。我々は、今までのサピエンスとは全く異なる時代に生きている。今まではと根本的に異なる進化の真っ只中にいるのであ

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書評:『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その10



第17章から19章まで。ちょっと中だるみ。

第17章は産業革命の話。

産業革命とは、エネルギーの革命。まずは石炭を燃やして蒸気を使い、動力を得たと言う話。今では、それが原子力(核分裂の方)まで使えるなど、人類は使えるエネルギーを拡大してきたので、エネルギー切れというのは起こさないわけだ。無限に拡大する推進力を手に入れたのに等しい。

農畜産業の生産性も上がった。著者は、養鶏などを「ベルトコ

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書評:『花園メリーゴーランド』(柏木ハルコ)



『サピエンス全史』で昔の狩猟採取民の話を書いていたら、この本を紹介されたので、(本かと思ったら漫画なのですが)読んで見ました。真面目なエロい本だと思いました。

人間の歴史上、一夫一妻の歴史は短いです(明治時代以後、福沢諭吉先生の『学問のすすめ』ぐらいからでしょう)。だからと言って、一夫多妻かというとそうでもなくて、多夫多妻というn対nという社会構造が歴史的には長かったようです。

この本で描

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