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何にでも使える言葉 : 大阪の「いける」と茨城の「いやどうも」(元教授、なまってる?その3)定年退職51日目

前々回からお話ししている通り、私は茨城県の水戸の出身で、現在は大阪に住んでいます。大阪の言葉には他の地方にはない様々な使い方があり、とても楽しいです。少し紹介します。


まず、関西以外の地域から来る学生に対して困ることがあります。「なおす」や「ほかす」が通じにくいのです。それぞれ、「元に戻す」、「捨てる」という意味ですが、たとえば学生実験で学生に「道具をなおして」とか「ゴミはきちんとほかすように(ほっといて)」と言っても、時々通じないことがあります。逆に「道具は壊れていませんが?」とか、「ゴミをどうするのですか?」と聞かれることがあり、先生は困っています。


また、大阪で仕事をしていく中で徐々に学んだのは、大阪弁にも丁寧語があることです。一般に大阪弁はフランクで、いわゆる「タメ口」が親愛の証しとされていますが、それでは年配の方には若干失礼になることがあります(もちろん「タメ口」が喜ばれることもありますが)。丁寧語の例としては、「〜しはります?(〜なさいますか)」、「〜あきませんよ(〜ダメですよ)」、「〜言うてはりました(〜言っておられた)」などでしょうか。まあ、くだけた敬語のようなものですね。ただし、言葉は潤滑油ですから、きちんとマスターしないと困ります。間違っても、「〜するん?」、「〜あかんで」、「〜言うてた」と言ってはいけません。このように、大阪弁は結構難しいところもあるのです。


逆に、何にでも使える言葉もあります。その代表は「いける」ですね。元の意味の「行ける」はもちろんですが、「この仕事いける?」 「カードいける?」 「今日の試合いける?」 電話で「今いける?」 レストランで「2人だけどいける?」 「10個でいける?」 などなど、様々な場面で使えます(下図:NHK大阪HPより)。

「いける」の使い方の例(NHK大阪HPより)


それ以外にも、いろいろと使えるオールマイティーな言葉として「シュッとしている」もあります。容姿を褒めるときに使うことが多いですが、具体的に言わない時にはこれが一番です。最近、コンプライアンスも難しいので、最高の言葉かもしれません(もちろん人物以外にも使えます)。知ったかぶりをした後の「知らんけど」も、いつでも使えますね。


茨城弁でも、何にでも使える言葉「いやどうも」があります。最近テレビでも紹介されていましたが、私も本当によく使いましたし、特に年配の男性が頻繁に使うイメージがあります。まさか方言だったとは驚きです(下図:「秘密のケンミンSHOW極」YouTubeより)。

「いやどうも」の使い方の例(「秘密のケンミンSHOW極」YouTubeより)

会うと「いやどうも」、褒めるとき、けなすとき、驚いたとき、嬉しいとき、もちろん話すタイミングや言い方は違うのですが、1日何十回も言っていたような気がします。一番は、困ったときでしょうか。とりあえず「いやどうも」と言っておけば、なんとか場が収まります。

さらに今では、ラーメン屋さんの店名やお土産の名前(タイトル写真:注1)にも「いやどうも」と名付けられているとのことです。 いやどうも・・・。

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注1:いばらき県産品お取り寄せサイトHPより


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