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20枚シナリオ『裁く権利』

シナリオセンター。
20枚シナリオ、ペラ20枚(200字詰め原稿用紙20枚)
課題:復讐


あらすじ

ある事件で息子を亡くしたシングルファザーだった田中貴久。ある日、事件に関連する書籍が発売された。 本に書かれた暗号に気づいた田中は、友人の紹介で悪い噂の多い市川裕一と出会う。 どんな手を使っても真犯人の逮捕しようと田中は動き出す。・・・

登場人物

田中貴久(35)(48)会社員
市川裕一(25)弁護士
伊藤将也(48)田中の同級生
中村功一(48)(61)テロリスト
医者

シナリオ

○ターミナル駅・改札前(夜)
改札の前には数人の警察がいる。
改札には黄色いテープが貼られいる。

警察「立ち止まらずに、改札から離れてください」

田中貴久(35)は道の真ん中で立ち止まり、スマホを見ている。画面にはラインが表示されており、画面の上部には通話を知らせる通知が表示されている。

○病院・手術室前(夜)
医者は手術室の扉の前で立っている。
田中は医者の前に立っている。

田中「なぜ、息子に会ってはダメなんですか!」
医者「田中さん。落ち着いてください。会わせられない。ではなく、強いショックを受ける可能性が高いため、一度奥のお部屋でお話をしてから会ってほしいんです」
田中「話ならここだっていいじゃないですか」

田中は医者の肩を掴み揺さぶる。

医者「田中さん。落ち着いてください」
田中「落ち着ける訳ないでしょう!息子はまだ生きてますよね?だってここに来る時は生きていたって聞きました」

医者は顔を伏せる。

田中「はあ、そんな。はあ」

田中は胸を抑える。
医者は慌ててナースに指示を出す。
ナースはその場を駆け出す。

田中「今朝はいつも通りで」
医者「田中さん?田中さん?聞こえますか?」
田中「僕はもう息子にしか。テロに巻き込まれたなんて、先だった妻になんて言えば。なんで」

○田中家・居間・仏壇前(朝)
田中貴久(48)は仏壇の前で手を合わせる。

田中「おはよう。今日はいい天気だな」

仏壇には20代の女性の写真と10代の少年の写真が並んでいる。

田中「いってきます」

田中は足元のカバンを持って、玄関に向かう。

○本屋・店内(夜)
田中は新作の本棚の前に立っている。
『神の真言』と書かれた本の帯には『犯人の告白。13年前の衝撃的事実!』という文字が書かれている。
本の近くにあるポップアップにも『あの悲劇は何故?テロが起きた理由とは?』と書かれている。
田中は本を一冊手に取りレジへ向かう。

○田中家・居間(夜)
テーブルにはスマホが置かれている。
スマホの画面には『気にするな。ゆっくり休め』という文字が表示されている。
田中は本に書かれている文字を指でなぞりながら見る。
震える手でページをめくる。

○居酒屋・個室(夜)
田中はビールを一口飲む。
伊藤将也(48)はメニューを見ている。

伊藤「お前、本気か?」
田中「ああ」
伊藤「でもよお。縦読み?だっけ?それって本当なのか?気のせいとかじゃないのか?」
田中「そうだとしても!」

田中はカバンから本を取り出す。
付箋が大量に付けられた本をテーブルに投げるように置く。

田中「この本に書いてあるんだ!本当なら犯人はのうのうと生きてるってことだろ」

田中は握り拳をつくり、テーブルに置かれた本を何度も叩く。

田中「そんなの許せるわけがない!」

伊藤は両手を上げる。

伊藤「落ち着けって、分かった!協力するよ」

○合同法律事務所・室内
田中は応接室にあるソファに座り、出されたお茶のミニボトルを持つ。
市川裕一(25)は扉を開けて部屋に入る。
右手に持っている書類で顔を仰ぐ。
右手首に着けているブレスレットが音を鳴らす。

市川「田中さーん」

市川は手に持っている書類をテーブルに投げつける。
田中はお茶をテーブルに置いて、書類を拾い集める。
市川は飛び乗るようにソファに座る。

市川「結論から言いますと、本当でもあり、嘘でもありました」
田中「え」

田中は書類を握りしめる。

田中「どうゆうことですか?」
市川「テロを起こした犯人の一人は中村で間違いありません。一部被害者が亡くなったのもあいつのせいです」
田中「なら!」

市川は体を起こす。身を乗りだし、テーブルに膝を乗せる。
田中は目の前にある市川の顔をじっと見る。

市川「ですが、貴方の息子さんの居た車両で犯行を行ったのは中村じゃないかもしれません」

市川は顔を離し、立ち上がる。
大きく手を広げて、何度も拍手する。

市川「おめでとうございます!田中さんの読みは当たってました!」

市川は胸元から写真を取り出し、田中に渡す。
田中は写真を受け取る。
写真には人混みの中に、中村と男が並んで歩いている姿が写っている。

田中「こいつが」
市川「どーです?お値段以上の働きでしょう?」

市川はソファに足を組んで座る。
田中は写真に映る男を指差す。

田中「彼に会うことはできますか?」

市川はソファに寝転がる。

市川「田中さん。俺のこと弁護士って思ってないでしょ」
田中「思ってますよ。なんでもやる弁護士さんでしょ?」
市川「これ以上は兄貴の返事次第ですわ。また連絡します」

○居酒屋・個室(夜)
テーブルには複数のビールジョッキが置いてある。
田中はテーブルを見つめる。
伊藤はおしぼりで手を拭いている。

伊藤「市川は断ったのか?」
田中「上の許可が出ないと動けないと言われた」

伊藤はテーブルを指で叩く。

伊藤「ああ、まあ。紹介しておいてなんだが、あそこに頼り過ぎるのはやめとけよ。あそこは後ろにいるのがなあ」

伊藤は頭をかく。

伊藤「なあ、もう止めないか?これ以上はお前もやばいだろうし、何より会ってどうするんだ?」

個室の扉が叩かれる。

伊藤「どうぞ」

個室の扉が開く。

店員「失礼します。ビールです」

店員はビールをテーブルに置く。
テーブルに置かれた複数のジョッキを持ち、お辞儀をして扉を閉める。

田中「俺は罪を犯したら裁かれるべきだと思っている」

伊藤は田中を見る。

田中「償うべきだ」

田中はジョッキを持つ、一気に飲み干し、ジョッキをテーブルに置く。

田中「必ず」

伊藤はジョッキを持つ。

伊藤「そうはいってもな」
田中「分かってる。今はまだ何もない」

伊藤は頭をかく。

伊藤「はあ、市川のやつなんでそんな協力的なんだ。いつもは詐欺みたいな感じでよ。俺は諦めがつけばってなあ」

伊藤は頭をかきあげ、ビールを飲む。

伊藤「その、まあ、変な気起こすなよ。話なら聞くからよ」

田中は伊藤を見つめる。

○刑務所・面会室
中村功一(61)は項垂れて座る。
田中は背筋を伸ばして座る。
市川は後ろで立っている。

田中「手紙は読んでくれたか?」
中村「ああ」
田中「じゃあ、返事を聞きたい」

中村は不規則に指を叩く。

中村「本当に申し訳ないことをしたと思っている。私が出来ることがあれば協力いたします」
田中「では、いくつか質問をするので答えてください」

田中はメモ帳をテーブルに広げて、何か書いていく。
中村は顔を上げてメモ帳を見る。

田中「では、一つ目です。犯行は貴方一人ではないと噂がありますが、どう思いますか?」
中村「私一人でやったといえば、そうですし。違うと言えばそうです。警察には当時すでに言ってますが、色々な方に教えていただき、実行しました」

To be continued…

感想

シナリオ作家養成講座の課題の1つです。
要素を詰めすぎたなっと反省したりもしました。


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