生まれ変わってもスター☆トゥインクルプリキュア感謝祭へ行きたい。
緊急事態宣言が発令し数多のイベントが中止に追い込まれていく目前に開催され、もう半年近く経ち円盤も発売してなお私の中に余韻が残り続けているイベントがある。
スター☆トゥインクルプリキュア感謝祭である。
スター☆トゥインクルプリキュアは2019年度のプリキュアシリーズにしてメインモチーフは「宇宙」「星座」、物語のテーマ「イマジネーション」を掲げたプリキュアだ。
プリキュアシリーズは女児向けアニメであるため、大人向けに展開しているアニメとは違い大人ファン層をメインに集客するイベントはかつてはほぼ無かったのだが、シリーズも長くなり初期シリーズを応援していた層も成人近くになってきたのもあってか近年は一般的な大人向けアニメのように声優陣がキャラソンを歌って踊るイベントが開催されるようになってきた。
スター☆トゥインクルプリキュア(以下スタプリ)も10月の秋映画公開前の9月に、例年のように声優と主題歌歌手でライブイベントも開催された。それで大きめのイベントは終わりかと思ったらTVシリーズが終了した直後の2月の日程に感謝祭なるイベントを東京大阪で開催すると発表された。スタプリが既にだいぶ気に入っていた私は、もうそのころは最終回を迎えて次のシリーズが始まっているのか~~~~~さみし~~~けど、そんなにイベントたくさん打ってくれるなんて贅沢だなありがたいと思っていた。あの時はこのイベントを境に、楽しみにしていた予定が全て吹き飛ぶことなど知らずに。
感謝祭はどのようなイベントだったか
私は東京公演の一日目プレミアム、二日目はファミリープレミアム両方計三公演に参加した。
先行した大阪公演は予定通り開催されたが、間の一週間だけで疫病騒ぎが高まり東京公演が中止になる可能性も検討とのアナウンスがされた時は生きた心地がしなかった。もしも中止になってしまったら這ってでも大阪にも行くべきだったと一生後悔したと思われる。もしも日程が一週ズレていたらと思うと本当に、幸運と運営の英断にはとても感謝している。
このイベントでまず特筆すべきは、ファミリー/プレミアムで公演内容を差別化している点だった。声優たちがキャラソンを歌う公式ライブイベントは2017年以降恒例になっているが、初めは大人向けアニメイベントと同じように想定したのか当初は親子優先席が一切なく、ライブ中立って見る大人客がほとんどのため親子参加したお母さんがずっとお子さんを抱いてなんとか見ていたりしていたのを見かけた。つまり普段の親子向けキャラショーイベントと観覧客の立場が逆転してしまっていたのである。
イベントは徐々に親子席が観覧しやすいように設けられたりしたが、それでも依然として一般客に囲まれると見づらいだろうし難しいな、という私の勝手な懸念をスタプリ感謝祭が解決したのが公演の内容を分けることだった。
ファミリー公演はチケット価格を抑えめにし、プログラムはキャラクターショーから始まる。キャラクターショーが終わってから休憩時間を挟んで、歌手陣のライブと座席の子供たちへプリキュアたちのインタビューコーナー、声優陣は最後にだけ登場という、超豪華なドリームステージ(※毎年着ぐるみショー専門劇団劇団飛行船が公演しているホール公演、今年も開催予定)といった内容となっている。
ファミリー公演でとりわけ秀逸な試みだったのは、座席の子供たちへインタビューをしに行くプリキュアとおはなししよう!コーナー。TV中継のように座席に降りたプリキュアたちがカメラマンに映されながら、キャスト陣は裏で生アフレコをしその場でお話をするという夢が詰まった内容だった。後々声優陣の個人ラジオで語られたことによると、滅多にできない経験で楽しかったが、歌よりも朗読よりも一番緊張したコーナーだったそうだ。
プリキュアたちは「お名前は?何歳ですか?どこから来たの?一番好きなプリキュアは?」と子供たちに質問していくのだが、私が見たファミリー公演は千秋楽の日だけだが大阪の方だと地名の聞き取りにプリキュアたちが苦労していたりしていたそうだ。千秋楽では、「どこから来たの?」「おうち~」と答える子が続出していて笑いが起き、微笑ましかった。キュアスターが、「おうちって、良いよね〜!」って受け答えしていてツボだった。この模様は円盤にも特典映像で収録されているので必見。
大人向け公演プレミアム公演は、ファミリー公演と同一内容だがちょいちょいメタな台詞が入り様子がおかしいキャラクターショーに加えて、最初から最後までメタネタ・中の人ネタ等アドリブを入れまくり狂気の沙汰になっている朗読劇、声優イベントらしいテーマに沿ったトークコーナーと生アフレコ、キャラソン披露も追加した充実のプログラム。
Twitter上では声優陣がキレキレに遊びまくっているカオス朗読会が専ら話題の的だったが、プレミアム公演で私的に一番嬉しかったのは豪華でハイレベルなキャラクターショーを大人客層に向けても惜しみなく披露してくれたことだ。
私的にプリキュアの大きな魅力はキャラクターショー
私は2010年からプリキュアシリーズを視聴継続している、所謂おおきなおともだちだ。
プリキュアシリーズのどこに魅力を感じるかというと、いろいろあるが突き詰めれば私の場合「女児たちのヒーローであり、キャラクターショーがあること」というのが大きい。TVアニメと劇場版アニメだけ観ていても中学生女子が戦う熱い物語であることは充分に感じられるのだが、アニメに加えて強く推したい魅力にキャラクターショーがある。
それって親子しか見に行っちゃいけないものでしょ?と思っている人、さらには着ぐるみを見ても何が楽しいの?本物じゃないのに、と冷笑的な人もいることだろう。前者については確かにそうで、基本的には大人のオタクがはしゃいで参加することは想定・推奨されてなどおらず、有料の座席指定イベントではないフリーイベント(イオンなど大型ショッピングモール内もしくは遊園地内で観覧できるもの)は最後列や隅っこのスペースで静かに見ることが暗黙のルールとなっている。いい歳の大人が、TVアニメを観て映画まで観に行きさらにはキャラクターショーまで見に行くなんて、かなり奇特な趣味だと思われるのが世間の反応だ。
しかしながら、高い技術と研鑽を重ねたスーツアクターさんたちが全力で演じているキャラクターショーを見に行くと、二次元上にしかいなかったキャラクターたちが三次元に実態を帯びて生きている。そこには本気で笑ったり応援したり、ヴィランの悪行に泣いて怖がったり、ダンスを一生懸命に真似したりしているお子さんたちもいる。その光景の一体感、パワーは言葉に表せないほどに凄まじくエモーショナルで、毎年また生で見たくなる。
「キャラクターたちはこの世に存在る。」と、キャラクターショーで私は強く確信することができる。とはいえ、プリキュアシリーズを熱心に観るようにならなければこの世界のことを知らなかった。セーラームーンにめちゃくちゃ嵌まっていた女児だった時代に、親にキャラクターショーへは連れてってもらった体験はしていたと思われるのだが。
スタプリ感謝祭用に書き下ろされた脚本のキャラクターショーは本編の補完として素晴らしく感動的なだけではなく、スーツアクターさんたちの熱演でギャグもとても面白く、アクションは各キャラクターの特徴がよく出ていて美しく、瞬きする間が惜しかった。演出も照明や可動するスクリーンを効果的に使っていて、ドリームステージで使用されていた妖精フワ・プルンスのパペットやロケットの描き割りも使っているところもアニメだけじゃない1年間の展開を盛り込んでいるようだった。私が観てきたプリキュアのキャラクターショーの中でも一番と言ってもいいくらいの内容だった。企画側のコンテンツの集大成にしたいという愛をひしひしと感じた。
従来通りの声優陣歌手陣だけのイベント構成でも充分に成り立つだろうに、わざわざ全8公演すべてでショーを盛り込んだことは大正解だったと思う。「初めて着ぐるみショーを見たけど圧倒された」という感想も複数見かけた。もともとショーが好きな私はショーの冒頭で颯爽と客席から現れるプリキュアたちの背中を見ながら「子無し大人客がこんなに良い思いをしていいのか??」としとどに泣いた。
その上さらに、ショーのプリキュアたちが声優陣のキャラソン披露で並び立ち活き活きと踊る姿にウォンウォン泣いた。成瀬さんと一緒にわちゃわちゃステップをするスター、小原さんと触覚タッチをするミルキー、安野さんのソンリッサでツーステップを踏んでいるだけでかっこよすぎるソレイユ、小松さんとアンニュイにムーンライトシグナルポーズ(あの振付好き)をするセレーネ、上坂さんに負けない色気を振りまくコスモ。私は中の人が二次元のキャラクターに極限まで近づくコンテンツにはいろいろと嵌ってきたが(サクラ大戦・ラブライブ!等)スタンドのようにキャラクターと声優が同時に並ぶことが可能なコンテンツはなかなか無い。どちらも等しく本物だ。だから崇高で、美しい。
昨年1月に同じ会場で開催されたシリーズ15周年イベントもあまりの内容の良さに号泣したが、今回はそれと同等かそれ以上に感慨深かったかもしれない。関わった全スタッフたちの愛の成せるものだったのだろう。
このイベントへ参加できてよかった、こちらが全スタッフへ感謝する会だった。死んで生まれ変わっても、私はスター☆トゥインクルプリキュア感謝祭にまた行きたい。
成瀬瑛美さんがひかるで良かった
これはスタプリ感謝祭終演後特に強く感じたことである。
スタプリのピンク、星奈ひかる、キュアスター、つまり主演だった成瀬瑛美さんには一年通してずっと好感度が上がり続けていた。キャスト発表当初はどんな人かほとんど知らず、でんぱ組の人?へ、へえ…??と大変失礼ながら、大本営今年はずいぶん思い切ったキャスティングをしたなとまで思っていた。
彼女が昔からプリキュアが好き!プリキュアに私もなる!と主張していたのはファンにはお馴染みのことだったそうで、公式HPに最初に掲載されたキャストコメントでひとりだけめちゃめちゃ長文で歴代シリーズのことを語っていてそれが本当にガチで観ている人の語りだったのでびっくりした。愛と情熱で役を掴んだのだと感嘆した。
ひかるは宇宙や星座が大好きな女の子ですが、目を輝かせてはしゃぐ可愛らしさと、「これだ!」という道を突き進む強さの両方を持っている。ヒーローであり、ヒロインでもあるのが私の信じるプリキュアです。
彼女のプリキュアに関するインタビューでとりわけ印象的なものがスタプリスタート直後のこれ。私は先述した通りプリキュアをヒーローとして好きなオタクなのでとても共感できたし、演技もどんどん良くなって星奈ひかると一体化していく彼女を見ていてとても楽しかった。
感謝祭千秋楽の締めの挨拶で、「あまりに一年間幸せだったから、いつか終わりが来ることを考えたくなかった…」と大泣きする姿には胸が締め付けられた。でんぱ組のライブなどでは滅多に泣く姿は見られないと以前からのファンの方の感想を見た。それだけ情熱的な方がピンクだから、スタプリがこんなに恵まれてコンテンツとしてこれ以上ないイベントまでして大団円を迎えられたんだなと確信している。プリキュアのピンクは主演なので当たり前なのだが特別な座なので、とくべつにぴったりな人であってほしいと毎年勝手に期待しているのだが彼女もやはり、ピンクになるべくしてなったとくべつな人だった。
スタプリがいてくれた2019年、なんと恵まれていたのだろう。未だに余韻が、完結してしまった寂しさがこみ上げてくる。
スタプリが終わり今年度のヒーリングっとプリキュアが始まって早5か月と少し、先日追加戦士が発表されたりしたがこの時勢のためTVシリーズの放送スケジュールは遅れ、春の映画は未だ観れず10月公開予定。9月予定だったライブも中止になってしまった。キャラクターショーはちらほらと再開しているが、私はまだ全く見に行けてない。最早プリキュアイベントや映画で季節を感じるくらい生活に染み付いたところがあるので、震災の時以来のこの大規模な非日常感がボディーブローのように辛くなってきた。
時勢が大騒ぎになってくる寸前に行けた最後の素晴らしいイベント、スタプリ感謝祭円盤が発売してくれてありがたい。これをひたすらリピートして最高に楽しかった時間を反芻しながら、早く新作映画でひかるたちに逢いたいな、ヒーリングっとのショーも観に行きたいなと待ち遠しく生きている。
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