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数学と聖書

つまらない話だったら、ごめんなさいね!

私の学生時代の専門は数学でした。数学の世界は、だいたい、解析、代数、幾何、応用数理の4つくらいに分かれており(ただしはっきり分かれているというより境界線はあいまいです)、私はその幾何のところにいたのですが、中高の世界に来てから、初等数学をオールマイティに出来なくてはならなくなりました。ここでは、聖書と数学が関連する場面において、私の簡単なコメントを書くことにいたします。数学のあまり得意でないとおっしゃるかたにも楽しんで読んでいただけるよう心がけます。

円周率は3ぴったり

円周率とは円の直径の長さと円周の長さの比で、だいたい3.14くらいの数になることは多くの方がご存知だと思います。しかし、列王記上7:23に出てくる鋳物の「海」というものは、「直径十アンマの円形で、高さは五アンマ、周囲は縄で測ると三十アンマであった」とあります。アンマとは長さの単位で、これによると円周の長さが直径の3倍なので、円周率が3ぴったりになります。この現象をなかなかうまく説明できなくて悩むかたがけっこういらっしゃるようですので、少し書きますね。
まず、この時代(ソロモンの時代じゃなくて、列王記の書かれた時代ですね。まあ紀元前には違いありません)には、多くの文明で、円周率として3が用いられていました。3で充分、正確なのですね。文明によっては、じつは円周率は3より少し大きいことを知っていました。(このころ日本はたぶん弥生時代で、文字もなかったことを思い出してください。)でもどうして直径が10アンマで、周囲が30アンマになったか。まず、今みたいな完璧な円形が鋳造できるか、という問題があります。古代イスラエル人が、どうやって円形を作っていたかわかりませんが、1アンマが、ひじから中指の先までの長さとすると、相当、大きいですよね。少しゆがんでいてもわからないんじゃないですか?そうしたら、直径と言っても、どこを測るかによって違ってきてしまいます。つまり円周率が3.14にならずに3になっても、充分に誤差の範囲なのです(それに「3」だけなら、いわゆる有効数字1桁ですしね。10アンマや30アンマも有効数字1桁です。むしろ「3」でいいのでは)。少し進んだ文明では、円周率は3よりやや大きいことを知っていたと書きましたが、私がたぶん小学4年くらいのとき、担任の先生が、円周率は3より少し大きいことを授業で説明してくださったことを思い出します。円に内接する正六角形の周囲の長さが、(直径が1なら)ちょうど3ぴったりなんですよね。それよりは長いでしょ?という説明でした。感動して聞いたのでしょう、今でも覚えております。(数学は得意でないというかたを対象に書いておりますので、最後に回しますが、円周率が3より大きい証明を、この記事の最後に載せますね。)

クレタ人はいつもうそつき

テトス1:12に、「クレタ人はいつもうそつき」と書かれてあります。これを言ったのがクレタ人だから問題になったのですが、クレタ人のなかにも正直者もいればうそつきもいたでしょうから、本当はまだ問題になりません。(この話を一度もお聞きになったことのないかたは、何が問題になっているのか、まだわからないと思いますが、まあそのまま先へお進みください。)安冨歩先生は、「私はうそつきである」という命題にしておられましたが、まだ不十分です。なぜなら、「正直者」というのは、正直なことしか言わない人、すなわちうそをつかない人、という感じだと思いますが、「うそつき」とは、うそをつくこともある人、という意味であって、常にうそをつく人、という意味ではないと考えられるからです。まだ何が問題になっているのか不明なかた、申し訳ございません。次で明らかになります。この問題を先鋭化した命題は「私は今、うそをついている」だと思います。この命題、うそだと思いますか?それとも、本当だと思いますか?よくよく考えてみてください。頭が混乱するかもしれませんが、いずれにしても矛盾が起きますね。賢いことを考える人はいるものです。よく聖書と結びつきましたね。いや、聖書を読んで気が付いたのか?しかもこの命題、ものすごい応用(というのでしょうか)があるのです。やはり賢い人は賢いなあ。

完全数

よく聖書研究祈祷会などで聞く話が、「7は完全数」とか「12は完全数」という言葉です。たとえば神は天と地とすべてのものを7日間で造りました。6日間で造って7日目は休んだ、というべきかもしれませんが、休んだところまで含めて神の創造なので。このほかにも「7」は、よく聖書に出てくる数ですが、なんで7なんでしょうね。私たちが1週間(7日)に1度、休むのも、この創世記1章が根拠になっています。私はある人が、3日に1度、飲む薬を処方されたのを聞きました。私は思わず「よく間違えずに飲めるね!」と言ってしまいました。なぜなら、月曜に飲むと次は木曜、次は日曜、次は水曜、となり、曜日でいうときわめて不規則になります。よほど、「月曜と木曜にお飲みください」と言って処方してくれたほうが親切でしょう(その人もよく飲み忘れると言っていました)。これは、4日に1度でも、5日に1度でも、不規則になります。これは、7が素数だからです。素数とは、1と自分自身以外では割り切れない数のことで、7は、2でも3でも4でも5でも6でも割り切れないのです。これが、7の完全数たるゆえんかなあ、と、これくらいしか思いつかないのですけど。どうも、この話じたいが割り切れない。
続いて12です。これはイスラエル12部族、イエスの12弟子、などが代表的な「12」の出番です。どっちが先だか知りませんが、世の中は12個で1ダースだったり、1年は12か月だったり、時計の針が1周するのに12時間かかったり、1オクターヴは12音だったりします。さきほどの12弟子に戻りますけど、イスカリオテのユダが抜けて11人になったあと、なんと12人という数を保つために、人を補充するんですよ!(使徒1:21-26。マティアという人が加わった)この12という数は、さっきの7が素数だったのと対照的に、すごい合成数です。すなわち12は、2で割り切れ、3でも割り切れ、4でも割り切れ、6でも割り切れる。12個のクッキーは、3×4でもきれいに並べられるし、2×6でもきれいに並べられます(出エジプト記28章17-21節に、12個の宝石を、3個ずつ4列に並べる話が出てきます。また、レビ記24章5-6節に、12個のパンを、6個で2列に並べる話が出てきます)。また、缶などを箱に入れる場合も、縦2個、横3個、奥行き2個、などという並べ方もできます。7じゃこういうわけにいきません。ではなぜ12は完全数か、というと、やはりこの、非常に便利な合成数だから、ということになりますかね。12なのに、また割り切れない話になった!ごめんなさい。でもそれくらいしか理由を思いつかないんですよね。
あと、ついで聖書によく出てくる数として、40などがありますが、もうお手上げです。ごかんべんを。

余談ついでにもうひとつ余談を書きますが、もし創世記の最初に、神は1日で天地万物を造り、あと6日間、休んだ、と書いてあったら、いまごろ私たちは、週休6日ですかね?そうだったらとても平和な世の中ですけど・・・笑

(最後に、上で予告した、円周率が3より大きいことの、小学生でもわかる証明を載せておきますね。円周率とは円の直径の長さと円周の長さの比なので、直径が1なら、円周が3より長ければ証明終わりです。もし直径が2なら、円周が6より長ければ証明終わりです。以下、直径を2とさせていただきますね。半径は直径の半分なので、半径は1です。ここで、円に内接する正六角形を考えます。頭が痛いでしょうか?雪印の6Pチーズを思い浮かべてください。あんな感じです。扇形のチーズが、6個、ありますね。正三角形にも見えます。正三角形は、すべての辺の長さが半径と同じで1なので、この正六角形全体も、すべて辺の長さは1です。(マッチ棒12本で、対角線のある正六角形をつくったところをご想像ください。)すると、正六角形の辺の長さは1なので、6辺ありますから、正六角形の周の長さは、6です。それよりも、円周のほうが、少し、ぐるっと回っていますから、6より少し長いです。証明終わり!これ、私は小学生のときに習いましたけど、5年以上前に、有名な大学入試問題で、「円周率は3.05より大きいことを証明せよ」というのが出たんですよね(東大)。これはとてもやさしくて、ですから円に内接する正十二角形くらいでやればよいだろうということはすぐに気が付くわけです。ほかにも、円周率に近づく級数を使うとか、円周率が出てくる積分を使うとか、おそらく東大を受ける学生さんなら思いつく解法はいくつかあったはずです)

以上です。ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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