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ライフプランナー

 (私の書くことはすべてフィクションですよ。)

 私はいま、仕事を1年半くらい休んで、非常に困っています。たとえば、困っていることのひとつとして、いま住んでいるマンションの件があります。いまの職場に復職するにしても、ここは手放さなければならないかなあ、と思っていたりするのです。ローンが高いので、払える自信がなく、これはもっと小さなアパートなりマンションなりに住み替えないといけないかなあと思っていたのです。ところがある人から聞いた情報では、マンションを売ってもローンだけが残る可能性が高く、新しいアパートの家賃と、ダブルで払わねばならない可能性があるということです。調べてみると、うちもどうやらそのようです。だとするとここに住み続けた方がマシかもしれない。しかしローンは高い。

 じつは私は、34歳のときに、35年ローンを組んでこのマンションを買いました。まさかこんなことになるとは思っていなかったからです。このマンションを買うときに「ライフプランナー」という人の話を聞いたことがあります。その人(私)のおおよその収入と支出を聞いて、私が今後、そのローンが払えるか、それに加えて、私がどういう人生を送るか、というのを、試算するという仕事の人です。ゆうべ、入浴中に、その人の顔と名前を思い出しました。鈴木さん(仮名)というのです!

 鈴木さんは、2日にわたってわれわれ夫婦の話を聞きました。子どもはまだ生まれていませんでしたが、生まれる予定でした。その名前を、仮にある歴史上の人物にしたことも覚えています(「野口英世」レヴェルの有名人ではないですが、検索するとようやく出るくらいの、多くの人は知らないであろう「その道の有名人」です)。私の医療費は莫大であること(当時の精神科通院は、莫大なお金がかかりました。これは少し是正されて、いまは当時ほどではありません)、また、当時は音楽を聴くとしたらおもにCDの時代でしたので、私が毎月、莫大なCDを買うことも、すべて言いました。すべてを計算した鈴木さんは「余裕でしょう」と言いました。あとひとり、子どもが生まれても余裕だという話でした。どこが余裕なんだよ!!

 人生には、思いがけないことが起こります。私のように、人生の途中で発達障害の診断がくだり、こんなに困難な人生になる人もいるのです。これは、誰にでも起きることで、いつ誰がある日、障害者になってもおかしくありません(誰でも、今日中に、車にひかれて頭を打って知的障害になる可能性はあります。家族がそうなる可能性もあります)。だいたいそのライフプランナーの鈴木さんは、リーマンショックも、東日本大震災も、そしてコロナの流行も、まったく計算に入っていなかったのです。「当たり前だ」と言われるかもしれませんが、そんなことで未来を予測して「余裕でしょう」などと言ってはならない。

 「わたしはすぐに来る」(新約聖書ヨハネの黙示録22章20節)とイエスは言っています。これ、ほんとうに来るかどうかは私にはわかりませんが、とにかく「先のことはわからない」という意味では、「イエスが来る」「世の終わりが来る」という可能性があることも心にとめておかねばなりません。「コロナが流行る」ということは「だれも思いもよらなかったこと」なので、「だれも思いもよらなかったことがこれからも起きる」ということはあるのです。「絶対に地震は来ないと思っていた地域にあした大地震が来る」とか。

 とにかくあのライフプランナーの鈴木さんは、いますぐ連れてきて、ぶんなぐってやりたい!お前、どれほどの人の人生を、適当に「余裕でしょう」と言ってきたのか!!

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