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おすすめの曲⑮:グレインジャー「コロニアル・ソング」

 「おすすめの曲」と称して、フルート業界曲(フルートの世界では有名だが、それ以外の世界では有名でない曲)を紹介して参りましたが、今回は、吹奏楽の曲です。吹奏楽業界も、ちょっと「閉じた」世界で、「吹奏楽の世界では超有名な曲だが、吹奏楽の世界以外では、知る人は少ない」曲が多いと感じます。

 グレインジャーの「コロニアル・ソング」を紹介します。グレインジャーは、オーストラリアの出身。イギリスで民謡を採集し、アメリカに渡って作曲活動、ピアニストとしての活動を行ないました。

 私が学生時代(20世紀の終わりごろ)、グレインジャーの再評価が起こった時期があります。しかし、グレインジャーは、吹奏楽業界では、ずっと前から有名な作曲家でした。

 「コロニアル・ソング」は、6分半くらいの、短い、ゆったりした曲です。美しい和声と、美しい旋律に彩られた名曲で、おすすめできます。

 私も、ある市民吹奏楽団で、やったことがあります。吹奏楽界で、グレインジャーの作品は、とても有名です。

 コロニアル・ソングは、オーケストラ版もあります。吹奏楽版は変ホ長調ですが、オーケストラ版は、ホ長調です。また、キャメロン・カーペンターがオルガンで弾いています。キャメロン・カーペンターは、奇抜な衣装と華麗なテクニックで知られるオルガニストで、ショパンの「革命のエチュード」などをオルガンで弾くことなどで知られています。(その多くは、YouTubeにあります。ご興味がありましたら、ぜひご覧ください。)(「コロニアル・ソング」は、とても有名な作品ですので、YouTubeで、吹奏楽版も、オーケストラ版も、たくさんヒットします。)

 グレインジャーに話を戻しますが、グレインジャーは、たくさんの吹奏楽曲を書きました。「リンカーンシャーの花束」など、かなり有名な作品です。私の、オーケストラと吹奏楽の二足のわらじでやっているアマチュアの友人の「グレインジャーの『リンカーンシャーの花束』は、オーケストラでいえば、ベートーヴェンの交響曲と言っているくらい、基本的な名曲」という言葉が印象に残っています。

 そのほか、「デリー地方のアイルランド民謡」(これは、いわゆる「ロンドンデリーの歌」です。歌詞がついて讃美歌になっています。「この世のなみかぜさわぎ」。記事「クラシック音楽と讃美歌」をご参照ください。リンクがはれなくて申し訳ございません。)とか、「岸辺のモリー」とか「シェパーズ・ヘイ」など、いろいろあります。ストコフスキーと作曲者本人が共演したオーケストラ版の録音もあります。

 グレインジャーの、オーケストラとピアノのための作品「早わかり」では、「コロニアル・ソング」で使われた民謡も現れます。グレインジャーの作品には、手を替え品を替え、同じ民謡が登場します。(以上の音源も、YouTubeにたくさんあります。)

 グレインジャーが英国の民謡を採集するようになったきっかけは、グリーグとの出会いが大きいです。グリーグは、ノルウェーの民謡を採集していました。グリーグは、グレインジャーのことを、「世界でいちばん私のピアノ協奏曲をうまく弾く」と言っていました。グレインジャーのピアノによるグリーグのピアノ協奏曲は、驚くべき名演奏で、われわれはこの曲をどこか誤解してきたのではないか、と思わされる演奏です(ストコフスキー指揮ハリウッド・ボウル交響楽団との共演。いま、YouTubeにはない模様です)。記事「作曲者本人のテンポは速い」をご覧いただければ、と思います。リンクがはれなくて申し訳ございません。

 脱線に脱線を繰り返していますが、グレインジャーの「コロニアル・ソング」をよろしくお願いいたします。以上です!

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