辻学と「モデルデカイ」

 何度か書いていて恐縮なことです。2018年12月に、日本聖書協会から、『聖書 聖書協会共同訳』が刊行されました。そのころ「第2回ダウン」だった私は、まさにこの実家で、この本を頭から読み始めました。「校正」の能力のある私は、1ページ目から、間違いを見つけました(「照らせ」の「照」に「てら」というルビがふってありました。つまり「てららせ」になっています。誤植)。たくさんの誤植を見つけながら読み進めましたが、2019年2月に、エステル記という箇所で「モルデカイ」という登場人物の名前が「モデルデカイ」になっているのを見つけました。そのころ、あるキリスト教系の出版社のかた(松谷さんではないですよ)と連絡を取り合っており「そういえば、最近、こんなのを見つけましたよ」とメールに書いたら、どうやらその人が、SNSに上げてしまったようで、その人はフォロワーが多く、これはいわゆる「バズった」らしいのですね(拡散した)。その当時、通っていた教会の牧師さんのほうから、珍しく話題に出されましたが、私は、はあ同じようなタイミングで同じことに気づいた人がいるのだなあ、その人は言い広めておられるのだなあと思ったものですが、じつはやはり第一発見者は私でした。インターネットで「モデルデカイ」で検索してみると「モデルの顔がデカイ」ばかりヒットします。「モデルデカイ 聖書」で検索すると、いろいろな人のブログやツイートがヒットしました。すべて、私が発見してその人に言った直後。有名なかたのツイートもありました(八木谷涼子さんとかね)。しかし、たしかに誰も第一発見者が誰なのか、わからないようでした(そりゃそうでしょうねえ)。私ですよ。(聖書協会共同訳は、いままでに2回、通読し、聖書協会が公表している訂正のなかでも、少なく見積もっても30か所は私の発見。おそらくこの本の間違い見つけでは、私は日本一だろうと思います。)それで、去年くらいに聞いた話なのですが、「それ(モデルデカイ)、見つけたの、辻学(つじ・まなぶ)という人になってるで」という話です。なんだそれ。辻学って。

 辻学って神学者らしいのですが、私としては「辻学のやつめ!このやろう」と思っていたわけです。さて、こちらへ来て、読む本のない私は、YouTubeばかり見ていますが、きのう見た動画で、辻学さんが、コメント欄に出て来られたのです。自分でも驚きですが、私の態度は一変しました。いや辻学さん、あなたが悪いのではない。誰だか知らないが「モデルデカイを発見したのは辻学さんだ」と言い出したやつがいけないのです。というふうに、私の思いは激変しました。これは、辻学さんという人が、見ず知らずの偉い学者であったうちは、一方的にくやしがっていましたが、実際にYouTubeにコメントしておられる「生身の」辻学さんに出会って、なにも辻さんは悪くないことに気づいたというか、認識が変わったのです。

 これが「出会い」っていうやつかな?「霞が関官僚」って、悪いものの代名詞のようですけど、出会ってみたら、親切な人もいるのでしょうね。きのうの自分の心境の変化は、われながらおもしろかったです。辻学さんが「他人」でなくなった瞬間。でも仲良くなったわけではない。大学の先生なら、直にメールしてみようかしら。

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