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おすすめの曲⑥:ハイドンのフルート四重奏曲集op.5

 おはようございます。ちょっとしつこいかもしれませんが、「おすすめの曲」をまた書かせていただきますね。ハイドンのフルート四重奏曲集op.5です。

 もともとのこの曲集との出会いは中学のころ、祖父の持っていたLPにさかのぼります。ウィーンフィルの室内楽のメンバーによる(ウェルナー・トリップらのフルート、ほか)録音で、よく聴いていました。

 ずっとのち、大学のとき、弦楽器のメンバーから、室内楽をやろうと声をかけてもらいました。ありがたいことです。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのメンバーとの「フルート四重奏」です。私の先生に、どんな曲がいいか、聞いたら、まずモーツァルトのニ長調をと言われました。この編成で、最も有名な、そして、いい曲です。真の名曲です。しかし、それは最近、仲間がやったとそのときの私は言って(でもモーツァルトのニ長調でもよかったのに)、別の曲をお願いすると、私の先生は、いったんモーツァルトのイ長調を挙げようとして、「まてよ」ということで、ハイドンのト長調(op.5-4)を紹介してくれました。そこで、われわれは、このハイドンのop.5-4をやることになりました。

 まず、この曲は珍しい。ハイドンには、ロンドントリオと言われる「フルート三重奏曲」があり、それは有名なのですが、「フルート四重奏」は相当、珍しいらしい。仲間から、音源を聴かせてほしいと言われ、上述のLPからのカセットテープを回しました。

 これは、私にとって、唯一の「フルート四重奏」の経験になりました。貴重な経験でした。ハイドンのフルート四重奏は、有名な曲ではないものの、じゅうぶんに名曲でした。

 あとから、どうもそのカセットテープを見てみると、ホーボーケン番号を見る限り、op.5-1からop.5-3までは偽作らしい?われわれがやったop.5-4だけが真作のようなのです。(トリップらのレコードには、op.5-4までの4曲しか入っていなかった。)

 それから、この曲のCDを求めて、細く長い道を歩むことになりました。インターネットには、質問がありました。ラジオで「ハイドンのフルート四重奏曲」と言っていて、いい曲だったのでもう一度、聴きたいと思ってCDを探しているが、見つからない。レコード屋さんでも「ハイドンにフルート四重奏なんてありますかねえ」と言われてしまう。というご質問でした。しかも、おそらくYahoo!知恵袋など、質問は一週間と決まっているのでしょうが、その質問は、10年以上(!)オープンプロブレムのままでした。(私は「ある!なぜなら、やったことがあるから!」と思って眺めていました。)そのうち消えたと思います。YouTubeが発達して、世界のだれかはアップしている。そして、クイケン兄弟によるCDも出た。「あった」のです。

 しかし、長いこと、「モダン楽器による演奏は」、上述のトリップ盤しか知らないのでした。(古楽器をにくんでいるわけではありません。ただ私はモダンピッチによる絶対音感があるので、古楽器で演奏されると低く聴こえて気持ちが悪いというだけです。)ランパルによる録音があることは知りましたが、それはランパルのボックスセットに入っていて聴きづらい。ようやく、ナクソス・ミュージック・ライブラリ(NML)の会員になって、最近、ランパルとフランス弦楽三重奏団による録音を聴けました。ランパルはop.5-6までの6曲を録音しています。あと、作品op.5-6が真作らしい。

 とにかく、op.5-4(Hob.Ⅱ-1)が名曲であることは間違いないです。有名なモーツァルトと比較してしまうと、かなわないのは仕方のないことかもしれませんが、お聴きになってみることをおすすめします。もう一度、書きますが、この曲はハイドンの真作です。4つの楽章からなります。われわれも全楽章をやりました。いい曲です。ちなみに上述の「ロンドントリオ」は、フルート四重奏曲よりずっと有名な作品で、こちらもおすすめします。

 前にも書きましたが、ハイドンの作品は、だいぶ「古楽器に取られてしまった」感じがありますね。でも、いい曲が多いですので、かまわず聴きましょう。(絶対音感のない多くのかたは、気持ち悪い思いをなさらないと思いますので、古楽器でもなんでもお聴きになるのがよいと思います。)フルート四重奏は、当時は当たり前の編成で、リュッタースがやったクロマーやプレイエルの作品、寺本義明さんらがやった、モーツァルトのオペラの編曲、そしてニコレが録音しているライヒャの作品など、ほんとうにいろいろあります(モーツァルトの4曲も)。それは、弦楽四重奏に比べたら、比較にならないほど作品の数は少ないでしょうけれども、たとえばモーツァルトの作品を考えてみてください。モーツァルトのどの弦楽四重奏曲よりも、ニ長調のフルート四重奏曲のほうが有名ではないですか?

 以上です!

 ※「ハイドンにはまったころ」という記事もあわせてごらんいただけますと幸いです。リンクがはれなくて申し訳ございません。

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