失業者料金
ゆうべ、浪人をしていた若い仲間から、合格の知らせをもらいました。ここの地元の名門大学(A大学)に合格したようです。この1年、断続的にですが、数学の話とクラシック音楽の話をメールでしてきました。もともとは彼は高校時代に論文を書いていたので、そのつながりの友人でした。大学での専門は知りません。私は彼に、オーケストラに入ることをすすめてみました。これは純粋に私の経験からしても、一生の趣味になる、いいものだからです。彼は楽器ができて、クラシック音楽が好きです。きっと、みんなで作り上げるオーケストラの楽しみに目覚めてくれるに違いないと思って、オーケストラをすすめました。
そのA大学のオーケストラには、また別の若い団員もいます。また、やはり近辺のB大学にも若い仲間がいます。私は彼らに職を失う直前にメールを送りました。順調に出世していく彼らには、人生の途中でこうして職を失ったりすることはあまり実感がわかないだろうと思って、あえてメールを送り、つぎの演奏会の招待券をもらうことにしました。そのメールも最近、送りました。失業中でも楽しみは確保しようと思ったのでした。そして、そのホールはいずれも歩いていける距離にあるので、文字通り、無料で行ける演奏会が、4月と5月にあります。そういう小さな楽しみを大切にしたいと思っています。
平田オリザさんがYouTubeでおっしゃっていました。名前は有名なかたですが、こんなに話がおもしろいかただとは思いませんでした。平田さんは、ヨーロッパの国によっては、演奏会などの入場料が「大人料金」「子ども料金」や「シニア料金」「障害者料金」などと並んで「失業者料金」があるという話をなさっていました。「失業しているのに演奏会に来てくれてありがとう」という文化があるということです。日本のほうが、失業保険をもらっているのだからしっかり仕事を探せ、という雰囲気であって、せちがらいとおっしゃっていました。日本に失業者料金はありませんが、私はまさに自分で自分の楽しみを確保しようとしていたのでした。障害者料金もそのうち障害者手帳が手に入れば適用されるかもしれないし、そして、障害者手帳が手に入れば、少なくともこの町の多くの公共交通機関は無料になりますので、仮にここのマンションを売っても、招待券さえ手に入れば、無料で行けるかもしれません。
そんなこともあって、A大学に新たな、楽器のできるクラシック音楽の好きな仲間が合格したということは、彼は新たなオーケストラのメンバーとなるかもしれません。彼は確かにオーケストラをやりたいと言っていたと思います。もし彼がオーケストラをやってくれるなら、しばらくまたオーケストラ演奏会に無料で行けるのかもしれません。この地に住み続けるならばの話ですが、彼の雄姿も見てみたいものです。だいたいアマオケのやる曲は決まっていますが、今度の演奏会ではB大学のやる曲で、なかなか生では聴けない演目もあります。楽しみです。音楽はいいですねえ。
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