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おすすめの曲⑤:ゴーベールのフルート・ソナタ

 何回も書いていますが、私が、レッスンなどで習った曲で、「フルートを習っている人でも、そのほとんどは知らない曲であろう」という曲は、まとめて記事にしたことがあります。リンクがはれなくて申し訳ございません。そこで、このシリーズでは、「フルートを習っている人のあいだでは有名だが、そうでない人にとっては有名でない曲」を取り上げています。そのなかでも、鑑賞に値すると思われる名曲を挙げています。今回はゴーベールのフルート・ソナタです。

 ゴーベール(ゴベール)という名前は、フルートをやっている人のあいだでは知らぬもののない名前で、フルートをやっていない人のあいだではほとんど知られていない名前ではないかと思います。20世紀前半くらいにピークのある作曲家・フルーティスト・ヴァイオリニスト・指揮者です。たまに指揮している録音が残っていたりしますが、ほとんどは作曲家として認識されています。20世紀フランスの作曲家で、その時代の管楽器のソナタの好きなかたには好んでいただけると信じております。たとえて言うなら、ロパルツのフルート・ソナタ、ピエルネのフルート・ソナタ、ケックランのフルート・ソナタ、などがお好きなかたには好んでいただけるだろうという…どの曲も知りませんか。すみません。プーランクのフルート・ソナタがお好きなかたには楽しんでいただけるのではないかと思います!あるいは、サンサーンスのオーボエ・ソナタ、クラリネット・ソナタ、ファゴット・ソナタなどがお好きなかたにも、気に入っていただけるのではないかと。

 私がレッスンで習ったのは「第3番」です。すごく楽譜が高かった記憶があります。ゴーベールのフルート・ソナタは3曲あり、「第1番」は、たんに「フルート・ソナタ」と呼ばれることもあります(楽譜には第1番は番号が書いてない)。ここでは、まぎらわしいので、第1番は「第1番」と呼びますね。このほか、私がレッスンで習ったゴーベールの作品には「夜想曲とアレグロ・スケルツァンド」という有名な曲があるのですが、それはまた機会を改めて書くことにいたしまして(それから、「子守歌」という作品を少しだけ習いかけた)、きょうはゴーベールの「フルート・ソナタ」に特化します。

 上に、だいぶフランス産の管楽器ソナタを挙げましたが、ゴーベール作品は、それよりもずっと聴きやすいかもしれません。ドビュッシー的な全音階的な和音が好きなことがありますが、ドビュッシーほど「深みにはまっていない」。では浅い音楽かというと、そこは微妙な表現になりますが、なんというか、ムード音楽のように、BGMとして聴くのもアリみたいな気軽さがあります。美しいメロディにあふれ、ピアノによる素敵な和音がついており、なかなか聴ける音楽だと思います。(こういう曲を「サロン音楽」と呼んでバカにする人は、読者として想定していません!)フォーレのヴァイオリン・ソナタと比較したら大きく出すぎかな。しかし、ピアノとフルートでカノン(追いかけっこ)する場面なんて、まるでフランクのソナタのようですらあります。このように、同時代のヴァイオリン・ソナタがいろいろ親しまれているのからすると、このゴーベールの作品を、フルートだけの世界に閉じ込めておくのはもったいないと思います。ねえ、フルートを演奏するみなさん?これらの曲は、もっと、一般の音楽ファンにも聴かれてよい作品ですよね?

 おすすめの演奏ですが、フェンウィック・スミスのアルバムがよいと思います。1枚に、ゴーベールの3曲のフルート・ソナタが含まれています。演奏も、とってもよい。ナクソス・ミュージック・ライブラリで聴けます。
 第1番だけなら、デボストの録音もあります。こちらは、巨匠の録音ですね。
 とりあえずは、YouTubeで曲を聴いていただき、気に入ったらいい演奏を探したらよろしいのでは、と思います。(なにしろフルート界では超有名だから、YouTubeにたくさん動画があるはずです!)

 以上です。どうぞ、ゴーベールをよろしくお願いします!


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