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宛名書き

 休職が1年になりました。

 2か月に一度の、休職の辞令が職場から届いて、「辞令簿」(辞令を受け取りましたというサイン)を返送せねばならない。

 まず、辞令簿に押印をしました。

 そして、封筒を出してきて、宛名を書きました。

 私は、宛名書きが苦手です。(正確に言うと、宛名書き「も」苦手です。ほとんどあらゆることが苦手ですから。)

 宛名書きは、たいがい失敗するので、何度も封筒を無駄にします。だいたい2回に1回は書き間違うので、封筒2枚に1枚は無駄にします。

 きょうも、案の定、宛名を間違いました。間違うパターンは、毎回、違うため、自分でも予測ができないのですが(もっとも予測ができるくらいなら間違いませんが)、きょうの間違いは、住所の間違い。宛名に、自分の住所を書いてしまった。

 だいたい、私は同時に複数のことができない。家族が話しかけて来て、雑談などしながらやったら、宛名書きなどできないし、間違うこと必定です。

 もっとも、家族が話しかけてこなくても、間違います。

 こう書いていると、まるで宛名を書き間違うことを自慢しているように聞こえるかもしれませんが、これは、恥ずべきことです。

 案の定、きょうも宛名を書き間違えて、1枚、封筒を無駄にしました。

 改めて、新しい封筒を出してきて、宛名を書きました。今度は、間違いませんでした。

 しかし、私の「宛名書きが苦手」というのは、おもに、間違うことを指しているのではありません。

 これは「発達障害あるある」なのかもしれませんが、私は、「バランスよく」宛名を書くことが苦手なのです。私の書く宛名は、まず字が小学1年生のようにへただし、しかも字がナナメになっているし、しかも寄っている。小さいころからよく親に叱られながら宛名を書いたものです。

 2年前、「第2回ダウン」のときに、実家で、職場に向けて宛名を書いたときのことだと思いますが、自分のへたな宛名を親に見られたくなかった私は、こそこそと郵便局に行こうとしましたが、母親に見つかってしまいました。

 母は「寄っている!」と言いました。

 私はあわてて「右に?」と言いました。

 母は「違う。上に」と言いました。

 それくらい、私の「宛名書き」は、バランスが悪いのです。

 しかし、きょう、ものすごい時間がかかりましたが、どうにか、宛名を書きました。普通の人なら、この時間をかければ、もっと何十通もの手紙の宛名書きを、1枚も封筒をダメにすることなく、しかもきれいな字でバランスよく、しかも雑談もしながら、書けることでしょう。私は、1時間以上かかって、ひとつの宛名書きを(しかも封筒を1枚、ダメにしながら)、しかもきたない字で、しかも曲がっている、バランスの悪い、感じの悪い、小学1年生の子どもが書いたような感じで、ようやく書きました。

 たしかに、これじゃ「給料どろぼう呼ばわり」されるよな。私がもしも「天才数学者」だったら、これは「ご愛敬」で済んだかもしれないけど、私の本職は、現在、事務員。事務員が事務的なことができなかったら、これは「ご愛敬」では済まない。本気で叱られるのだ!(きょうは休職中の自分の宛名書きだから、妻にあきれられるほか、だれにも叱られてはいませんけど。)

 そして、のりをはって、すべてが完了したと思った瞬間!妻が気づいた!

 この辞令簿は、クリアファイルに入れて提出すべしと書いてあった!クリアファイルは封筒の外に出ている!

 すべてはやりなおしだ!

 きょうはもう、心が折れてしまって、これで終了にしましたが、ついに、1時間以上の時間をかけて、辞令簿に押印する以外のことは、なにひとつ、できませんでした。それどころか、封筒を2枚も無駄にしました。(いや、2枚で済むわけではない。いま、すべてがゼロに戻ったわけだから、これからまた宛名書きをしたら、また間違う可能性のほうがずっと大きい。つまり無駄になる封筒は2枚ではきかない可能性が高い。)

 笑い話じゃすまないよ!これからぼくはどうやって生きていったらいいの!?

 思わずnoteの記事にしましたが、こういう記事にコメントで「いい方法を教えてあげるよ!こうするんだよ!」って書いてくれる人がときどきいるけど、ノーサンキューですよ。そんな、「ほんのちょっとのひと工夫」(うちの母親もよくそう言っていた)で「劇的に」よくなるのであれば、こんなに、46歳になるまで、困ってないよ!そして、1年以上も休職するほど、困窮してないですよ!ほんとうにぼくは「困ったちゃん」なのだ!「困ったちゃん」というのは、普通、周囲が困ったということを言うのですが、私の場合、もう私自身が困っている。だから、アドバイスはノーサンキューだって言っているのがわからないのですか?私、いま、ふざけたように書いてますけど、これでホントに生きるか死ぬかくらいに困っているのですよ!こんな人が職場にいたら、本気で腹が立つでしょ?しかも、ご自分が非正規雇用で、私が正社員(そう、私は正社員)で、私のほうがずっと給料が高かったら、むちゃくちゃ腹が立つでしょ?

 ホントにオレはなにもできない。なにひとつ満足にできないのだ。宛名書きひとつできないのだ。冗談みたいだけど本気で困っているのだ。

 これを読んだみなさん。どうぞ、職場の「できない」人を、あたたかい目で見てあげてください。その人は、その人なりにいっしょうけんめいやっているのです。なに?その人はあなたと違って、本気でサボっているって?いやいや、私も本気でやっているようには見えない(らしい)のですよ。だから、「もっとちゃんとやれ!」っていつも叱られているのですよ。

 しかし、さっきのはわれながらあきれた。いつもこんな感じですけど。

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