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「保守系議員のダブルフェイス」 第108回 レミングする人々

昨日の小説が大変好評でありがたいです。
小説という表現形態でこそ伝わる
虚構からくるリアリティがあるんだなと実感しています。

昨日の主人公「浜田清一」をシリーズ化してみることで
より面白くなってくるんじゃないかと感じたところです。

ということで
シリーズ第2作目を早速綴りましょう。

『保守系議員のダブルフェイス』


序章:メッセージと疑念

浜田清一は疲れきった顔でデスクに向かい、画面に映る自分のSNSフィードを眺めた。何日か前に公開した「秘密結社と日本政治」に関する記事が多くの反響を呼んでいた。前作での調査が世間に広まってきたのは喜ばしいが、それが引き金となってまた新たな怪しい動きが生まれているようだった。

その時、目に入ったのは一つのコメントだった。

「須藤という地方議員も同様かそれ以上の怪しさを感じます。」

コメントをしたのは「エミリー・トンプソン」という名前。外国人記者らしい。プロフィールをクリックすると、彼女も同様に社会問題に深い興味を持つ人物であることが分かった。

「須藤……」と浜田はつぶやいた。

この名前には何度か目が通っていた。地方議員だが、SNSでの活動が非常に目立ち、特に実年層を中心とした支持を受けている。

心の中で疑念が渦巻く。

この須藤という人物、何を目的としているのか?そして、なぜこんなに急速に人気が上がっているのか?

浜田は迷わずエミリーにメッセージを送った。

「エミリーさん、こんにちは。コメントをありがとうございます。須藤という議員についても気になっています。どのような情報をお持ちですか?」

返信はすぐに来た。

「浜田さん、こんにちは。須藤議員については、近日中に多くの情報を発信する予定です。それと、私も日本に行く予定なので、直接お会いして話すことはできますか?」

会うことには何の問題もない。むしろ、情報を交換し合える仲間が一人増えることは歓迎だ。

「もちろんです、エミリーさん。お会いできるのを楽しみにしています。」

こうして、新たな調査、新たな闘いの幕が開けた。


第1章:疑惑の地方議員、須藤


浜田清一とエミリー・トンプソンは都内のカフェで顔を合わせた。エミリーは、日本語が堪能で、彼女自身が独自に取材・執筆活動をしているという。二人が一緒になったのは、それぞれが探る社会問題と政治の裏側について、何らかの共通の線があるからだ。
「彼がSNSで急速に支持を集めているのは実年層が中心です。その多くはSNSによる情報操作や扇動による影響ではないかと疑われています。」
エミリーは浜田にこう告げる。須藤議員が表向きは保守を看板に掲げているが、その裏には何か暗い動きがあるという。

「彼の一族は、表向きは観光旅館『須藤館』を経営していますが、その実、密航した工作員を匿っているらしいのです。」
「工作員…それも現中国政府から?」
「いえ、逆です。実はこの工作員たちは現中国政府を打倒しようとしています。」

浜田は驚愕する。須藤一族は日本の富裕層に対する恨みを有しており、日本社会を混乱させつつ、一族が上流階級に成り上がるために、現中国政府打倒を画策しているというのか。

「エミリー、これは非常に重大な情報だ。しかし、証拠は?」
「それが、現在調査中なんです。でも、須藤議員が使っているいくつかのSNSアカウントには、確かに異常な動きが見られる。例えば、彼自体は見た目があまりにもうさん臭く、不潔感もあるのに、急速な人気はインフルエンサーを利用した虚構のものと思われます。」

二人はこの問題にどう取り組むか、熱心に話し合う。そして、まずは須藤議員のSNS活動と、それに絡むインフルエンサーたちを調査することになった。

第2章:インフルエンサーの網


浜田とエミリーはそれぞれの手段で須藤議員のSNS活動を調査し始める。須藤の投稿に対するコメント、リツイート、いいねの数、そして頻繁に名前が出るインフルエンサーたち。特に注目すべきは、彼を熱心に支持している中高年のアカウントたちだ。

「エミリー、このアカウントに気づいたことはある?」

エミリーは浜田が指摘する画面を覗き込む。いくつかのアカウントが須藤の投稿にほぼ同時に反応している。

「これは単なる偶然じゃないわ。何らかの指示があったんでしょう。」
「僕もそう思う。だが、それだけでは証拠にはならない。もっと掘り下げよう。」

エミリーは自らも調査を進め、須藤議員と繋がりを持つとされるインフルエンサーの一人、あるスイーツ系YouTuberに目をつける。

「このYouTuber、『甘味のマスター・けんた』、本名は賢太。なんだか怪しさが漂っている。」
「何が怪しいんだ?」
「一度、須藤議員とのコラボ動画をアップしている。それと、彼が紹介しているスイーツが、須藤の実家が経営する旅館『須藤館』のスペシャルデザートと一致するんです。」

浜田は目を細める。これはただの偶然ではない。二人は次にどのような行動を取るべきかを話し合い、最終的には『甘味のマスター・けんた』こと賢太に接触を試みることになる。

「エミリー、これからが本当の戦いだ。準備はいいか?」
「もちろん、浜田。私たちが暴くべき真実が、どこかにある。」


第3章:接触

「本当にこの人が関与していると思うの?」

エミリーはスマホの画面を指でタップしながら、浜田に尋ねた。

「確信はまだない。でも、須藤と彼が交流している以上、何か手がかりがあるかもしれない。」

二人は賢太が近々開催するスイーツのイベントに参加することに決めた。そこで彼と直接話ができるチャンスを伺うつもりだ。


イベント当日。

賢太の登場で場内がざわめく。浜田とエミリーもその中に紛れていた。賢太はステージでいくつかのスイーツを作り、それについて熱く語り始める。ステージが終わった後、VIP参加者限定のサイン会が始まる。

「今がチャンスだ。」

浜田とエミリーはVIPチケットを用意していた。二人は賢太に近づき、サインを貰うフリをして話を始める。

「賢太さん、先日の須藤議員とのコラボ動画は素晴らしかったですね。」

賢太は少し驚いたような表情を浮かべる。

「ああ、ありがとうございます。議員さんも素晴らしい方ですよ。」
「須藤議員が経営する『須藤館』のスペシャルデザートを紹介したこともあるんですよね?」

賢太の目がちょっとした瞬間だけ硬くなる。それを察したエミリーは、さらに質問を追加する。

「そのデザート、とても美味しそうでした。いつも『須藤館』には行っているのですか?」

賢太は一瞬、何を答えるべきか考える。

「まあ、機会があればね。」
「そうですか。それでは、お忙しいところ失礼します。」


サイン会が終わり、浜田とエミリーは賢太から離れる。

「何かおかしい、彼の反応からもそれが伺える。」
「うん、確かに。でも、それだけではまだ不十分だ。」

二人は次の行動を考え始める。


第4章:断片の真実

浜田とエミリーはその後も賢太や須藤議員の動向を探り続けた。特に賢太がSNSで『須藤館』の新作デザートに言及していることに気づき、何か繋がりがあるのではないかと考えていた。
ある日、賢太が次のビッグイベントの告知をSNSで始める。
「お待たせしました!次回のビッグイベントは『須藤館』で開催!新作デザートを大公開します!しかも、須藤議員がゲストとして参加します!お楽しみに!」
「これは大きい。」浜田がつぶやく。
「須藤議員が直接参加するってことは、かなり大きな展開が予想されるね。」
エミリーも浜田の考えに同意する。

イベントの当日、浜田とエミリーは参加者として『須藤館』に足を運ぶ。イベントが進行する中、二人は案内図にはない部屋があることに気づく。そこへ足を運ぶと、ゴミ箱に中国語のお菓子の包み紙を発見し、遠くで何か中国語が聞こえてくる。

「これは…何かがおかしい。」

エミリーが目を丸くする。

二人は急いでイベント会場に戻る。中国語の包み紙や遠くで聞こえてきた中国語について考えながら、次に須藤と賢太が何を計画しているのか、そしてそれがどれほど危険なものなのかを解明するために動き始める。

「これが公になれば、須藤と賢太にとっては我々の推測が現実の可能性となる引き金になるだろう。だが、それだけじゃないよね。何かもっと大きな暗躍が裏で行われている。」
「その全貌を解明する。それが僕たちの使命だ。」

二人の視線が交錯する。真実を暴くための戦いが、これから始まる。


第5章:背乗りの網

「エミリー、この包み紙見て。これって中華系のお菓子の包みじゃない?」浜田が興奮気味にエミリーに手渡す。

エミリーは細かい中国語の文字を確認した後、頷いた。「うん、確かに。これは中国のお菓子の包みだね。何でこんなところに?」

「それが、この部屋、案内図にも載ってないんだ。どうしてこのような部屋が須藤館にあるんだろう?」浜田は訝しげな表情で部屋を見回す。

すると、遠くから何人かの人たちの声が聞こえてくる。会話は中国語。

「来てみて、これは何だと思う?」エミリーがひそかにドアの隙間から外を覗く。数人の中国人らしき男女が、何かを熱心に話している。

「今のうちに帰ろう。これ以上何かを見つけると、怪しまれる可能性が高くなる。そしてこの情報を確認しよう。」浜田が囁く。

二人はそそくさと須藤館を後にし、エミリーのアパートで情報整理を始める。

「なるほど、これは本当に深刻だ。須藤と彼の一族はただの地方政治家ではない。もっと大きな計画があるんだ。」

エミリーが調べた情報によれば、須藤の一族はもともと中国で虐げられていた層であり、工作員として上陸。本来の「須藤館」のオーナーを追い出し、背乗りし日本名「須藤」を名乗るようになったらしい。

「でも、浜田。これだけの情報で十分だと思う?我々が推測していた以上の事態だと、何をすればいい?」

浜田は少し考え込む。「うーん、これ以上深追いしても危険だと思う。でも、この情報が事実だとすれば、我々が持っている証拠は須藤と賢太にとって致命的なものになりえる。」

エミリーがにっこりと笑う。「だったら、次のステップは綿密な計画だね。」

数日後、須藤と賢太は再びSNSで煽りをかける。しかし、今度は反応が違った。

「須藤議員、この中国のお菓子の包みは何ですか?須藤館で見つけたんですけど。それと案内図にない部屋。中国語が飛び交っていましたね」と、浜田がSNSで投稿。

次第に疑念が広がり始める。須藤と賢太のSNSは一気に炎上。

「何が起こってるんだ?!」賢太が焦る。

須藤は冷静に答える。「これはただの炎上だ。しかし、我々が一歩間違えば、すべてが露見する。計画を加速せねばならない。」

浜田とエミリーは、それぞれの部屋でスマホを見ながら微笑む。

「始まったね、浜田。」
「うん、これで須藤と賢太の動きを封じられるかもしれない。しかし、まだまだこれが終わりじゃない。」

確かに、これが終わりではなかった。しかし、一つの局面は終わりを告げ、新しい局面が始まろうとしていた。


第6章:暗躍の始まり

須藤は賢太と密会する。場所は須藤館から少し離れた、一見何もない倉庫。

「炎上は収まっている。しかし、あの二人、浜田とエミリー。何か企んでいる。」

賢太はしどろもどろで答える。
「でも、何を?確たる証拠はまだ何も…」
須藤はにっこりと笑う。
「証拠は次第に出てくる。でも、その前に、我々が一手を打つべきだ。」

一方、浜田とエミリーは須藤館のさらなる調査を進めていた。案内図にない部屋の存在、中国語のお菓子の包み、そして中国からの工作員と見られる人々。
エミリーはつぶやく。
「なんとかして、この謎を解明しないと…」
浜田はエミリーの言葉を補完する。
「須藤と賢太が何か大きなことを企んでいる。それが何かを突き止めないと。」

新たな事件が発生する。浜田が調査していた時、突如として中国語が飛び交う電話が聞こえてくる。

「今、何を言っているんだ?」

エミリーはすぐに中国語の会話を翻訳する。
「何かの取引だわ。でも、詳細は不明…」
二人はその後も更なる証拠を探すべく動き出す。しかし、同時に須藤もまた新たな手を打っていた。

「手を打つ準備はできたか?」
須藤が賢太に問いかける。
「はい、全ては順調です。」
「では、始めよう。この国、いや、この世界を我々の手に…」

第7章:緊迫の局面

エミリーと浜田は深夜、須藤館の案内図にない部屋に忍び込む計画を立てていた。しかし、その前に浜田の携帯に急な通知が入る。

「何これ…?"須藤館、突如として閉館"って。」

エミリーも驚きの表情を見せる。「それはおかしいわ。何かが起こっている。」

その頃、須藤と賢太は倉庫で密談を再開していた。
「閉館が成功したな。次に進もう。」
賢太は疑問に思う。
「でも、閉館したら調査が進まなくなるじゃないですか?」
須藤はにっこりと笑う。
「だからこそ、次のステップへと進むのだ。」


浜田とエミリーは代わりの手段を考える。
「須藤館は閉館したけど、今度はどうする?」

エミリーは考え込む。
「須藤が何かを隠している。それが明らかにならない限り、真相は闇の中…」
突如として、エミリーの携帯が鳴る。呼び出し音に続いて、暗号化されたメッセージが表示される。

「これは…匿名からの情報かもしれない。」

二人はメッセージを解読すると、驚愕の事実が明らかになる。
「須藤家の正体、そして何を計画しているのか。すべてここに…」
二人はようやく須藤一族の闇に迫りつつあった。


第8章:最終局面にて

須藤と賢太は密室で謎の会話を交わしていた。

「いよいよ最終段階だ。」

須藤は賢太に命令を下す。「最後のピースをはめるんだ。」


浜田とエミリーはエミリーの組織からの情報で議論していた。その時、エミリーは深い吸い込みをしてから言う。

「浜田さん、私、実はある組織に属しているの。その組織からの情報により、我々の想像は真実であることが確認された。」

エミリーは目を細める。
「須藤一族は中国の一部政府と手を組み、特定の技術と情報を日本から流出させようとしている。それが成功すれば、日本の安全保障にも大きな影響を与える。」

その時、エミリーの携帯が再び鳴る。新たな暗号化されたメッセージが入る。

「これは…」

メッセージには、須藤館の新たなイベントの予告が含まれていた。しかも、そのイベントには中国の要人がゲストとして招かれているという。

「これが最後のピースかもしれない。」

浜田は誓う。
「このイベントを阻止しなければ、須藤一族の計画が成功してしまう。」

エミリーも同意する。「そうね。一刻も早く行動に移さないと。」


第9章:真実の瞬間

エミリーと浜田は、「須藤館お別れ会」と急遽変更されたイベントに向けて準備を整えた。エミリーは組織からの新たな情報で、須藤一族が実は中国と手を組んでいること、そしてその背後には更に大きな力が働いていることを確認していた。

「組織が送ってくれたこれが、彼らの最後の一手だという証拠だ。」

エミリーは携帯画面を浜田に見せる。そこには中国の要人と須藤が密かに会談する写真が掲載されていた。

「これが成功すると、日本の安全保障にも大きな影響を及ぼす…」


須藤館で開催される「お別れ会」には、すでに多くの人々が集まっていた。その中で、エミリーと浜田はひっそりと準備を進める。

突如、エミリーの携帯が鳴る。メッセージを読むと、彼女は目を細める。

「今、須藤が会場に入ってきた。」
「それじゃあ、行くしかないね。」

二人は深呼吸をして、会場に向かう。
浜田とエミリーが会場に着いたとたん、須藤がステージに上がる。

「皆様、今宵はこの須藤館お別れ会にお越しいただき、ありがとうございます。そして、今夜は特別な発表があります。」

エミリーと浜田は視線を交わす。今がその時だ。

「須藤議員、この写真は何ですか?中国の要人と密かに会談しているように見えますが。」

浜田が大声で質問する。会場内はシーンとなる。

須藤はしばらく沈黙し、そしてゆっくりと口を開く。

「それは…」


第10章:虚像の崩壊

須藤はマイクを握りしめながら浜田の質問に答えようとしたが、その瞬間、エミリーが別の質問を投げかけた。

「須藤議員、あなたは一貫して『保守』の立場を取ってきましたよね?それなのに、どうして中国と手を結ぶような行動を?」

この問いに会場内はさらに静まりかえる。須藤は一瞬言葉を失い、そして答える。

「それは…」

その瞬間、エミリーのスマホに新たな情報が入る。すぐさまそれを浜田に見せた。

「この情報によれば、"保守"という看板は、単なる偽装で、実際には大衆を欺いてまで計画を進めていたようです。」

エミリーはその情報を大画面に映し出す。画面には須藤が外国の資金を受け取っている証拠、そしてその資金が何に使われたのかという詳細が掲載されていた。

須藤は顔を真っ赤にして、マイクを手放す。会場内は騒然となる。

「これによって、須藤議員の真の目的、そしていかに大衆を騙してきたかが明らかになりました。」
エミリーが続ける。

浜田もマイクを手にして言葉を続けた。
「私たちは真実を求めます。そしてこの真実が、今日、ここで明らかになったのです。」

会場からは拍手が起きる。須藤はステージを降り、速やかに会場から退出する。


第11章:#残酷な真実だった

「さて、SNSの反応はどうだろう。」
浜田はスマートフォンを手に、エミリーとともに須藤館の出来事を振り返った。

エミリーも自らの端末を操作して言った。
「見て、これが今、xでトレンド1位よ。」
画面には
「#残酷な真実だった」
というハッシュタグが大きく表示されていた。

浜田はそのハッシュタグをタップして、投稿を読み始めた。

  • 「信じられない。こんな人に票を投じてたなんて… #残酷な真実だった

  • 「須藤議員、裏切り者だったとは… #残酷な真実だった

  • 「他県のことばかりで、地元に何もしてないと思ってたけど、これは凄い。#残酷な真実だった」

「支持者たちは怒りと失望でいっぱいだ。これは大きな影響を及ぼすだろうね。」
浜田が深くため息をついた。

エミリーもうなずいて、
「しかし、これで一件落着というわけにもいかないわ。須藤一族が何を目的に、どれほどの影響力を持っていたのか、全容はまだ明らかではない。」

浜田は頷いた。
「だが、少なくとも一歩前進だ。真実が明らかになったことで、何かが変わる。それが大事だ。」


第12章:全貌を暴く

浜田とエミリーは、それぞれの端末を片手に、情報の整理と確認を行っていた。ハッシュタグ「#残酷な真実だった」はxで引き続きトレンド1位を維持していた。

「情報の拡散は成功した。しかし、ここからが本番だ。」
浜田は息をつく間もなく、エミリーに告げた。

エミリーはうなずき、複数のファイルを開いて確認を始める。
「須藤一族の全貌…これを暴くことで、我々の戦いも一区切りつくはずよ。」

浜田は一瞬、エミリーを見つめた。彼女の冷静な態度と、その背後に隠れた情熱に、心からの敬意を感じていた。

その後、須藤一族による「計画」の詳細が続々と明らかになった。それは、裏社会でさえも震撼するような計画で、長年の積み重ねと巧妙な偽装によって、一般の人々はもちろん、政府さえも欺いていたのだ。

「彼らの最終目的は何だ?」
浜田はエミリーに尋ねた。

「それは…」
エミリーはしばらくの沈黙を続け、ゆっくりと言葉を選んだ。
「日本国内に潜伏する他の工作員を保護し、さらには彼らを政治的に影響力を持つ位置につけること。」

「つまり、須藤が議員になったのも、その一環だったわけか。」

「正確には、その出発点にすぎない。」

新たな情報と証拠が公になると、須藤議員の支持者はさらに怒りと失望で震えた。その心の中では、「偽装保守」という言葉が大きく響いていた。


第13章:エミリーの背景と決意

浜田とエミリーは再び密室で情報を整理していた。しかし、浜田は何か気になることがあるようで、しばらくエミリーを観察していた。

「エミリー、なぜあなたは日本のためにこんなに尽力しているんだ?」
浜田はついにその疑問を口にした。

エミリーはしばらくの間、黙って浜田の疑問を受け入れ、その後ゆっくりと口を開いた。

「私は特定の組織に所属している。その組織は日本と特別な関係にある。歴史的に、我々の先祖は日本の皇室に大きな恩を受けている。そのため、私たちは日本の安全と繁栄に貢献する義務を感じているのです。」

浜田はエミリーの説明に納得し、そして少し感動していた。

「さらに、私自身も日本の文化と伝統に深い敬意を持っています。今の世界で、伝統と文化が失われつつある中、日本はその価値をしっかりと守っている。それが私が日本を守りたい、と強く思う理由です。」

エミリーは瞳に熱を帯び、その言葉に力を込めた。

浜田はエミリーの言葉に感動し、更に彼女に信頼を寄せるようになった。

「ありがとう、エミリー。あなたの存在は、この状況において何よりも心強い。」

二人はその後、須藤一族に関する更なる調査と、次に何をすべきかについて話し合った。


第14章:暴露と没落

「罠とは具体的に何だ?」
浜田は資料を見ながらエミリーに尋ねる。

「その詳細は不明ですが、須藤議員が中国と保守系の新党設立について何らかの行動を起こす準備があるようです。それが成功するか失敗するかは別として、動きがある。」
エミリーは真剣な表情で答えた。

その瞬間、浜田の携帯が鳴る。画面に映ったのは、見慣れた議員秘書の顔だった。

「浜田さん、大変です!須藤議員が何か大きな発表をする予定だという情報が流れてきました。」

「分かった、私たちは動きます。」
浜田は携帯を切り、エミリーに向かって言った。
「これが須藤一族の最後の罠かもしれない。行かなければ。」

エミリーと浜田は急いでその場所に向かったが、須藤の姿はなかった。代わりに、須藤が保守系国会議員と一緒に写真に収まる姿がネットにアップロードされていた。

「これが須藤の最後の手段か。中国との板挟みで、情報に疎い保守系議員を利用してブランディングを試みる。しかし…」
浜田は顔をしかめる。

「新政党の設立が失敗した以上、須藤議員がこれ以上大きな動きを見せる可能性は低いでしょう。これで彼の社会的信用は地に落ちる。」
エミリーはスマートフォンを操作。

「よくやった、エミリー。」
浜田は安堵の表情を浮かべた。

「しかし、須藤を真に保守と信じている人々も多い。特に、この国会議員との記念撮影や事務所訪問に賞賛コメントをする連中とかさ。今後、保守系政党立ち上げや合流などの動きをしなければよいが…」
エミリーは苦笑いを浮かべた。


エピローグ:新たなる未来へ

数週間後、浜田はオフィスでニュースを見ていた。須藤議員の影響力は確かに落ちたが、その名前が消えたわけではなかった。

「新しい風が吹き始めている。」
と浜田はひとりごとを言った。

その時、ドアが開き、エミリーが入ってきた。

「新しい任務があるそうです。」
エミリーは浜田に微笑んだ。

「何だろう?次はどこで何が起こる?」
浜田は質問する。

「それはまだわからない。しかし、一つ確かなことは、私たちの戦いは終わっていない。新たな敵、新たな陰謀が待っている。」

「それでこそ、生きがいだな。」
浜田は立ち上がり、エミリーに近づいた。

「さあ、新たなる未来へ行こう。」

二人はオフィスを出て、未知なる未来へと歩いていった。

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