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「世界が狭いから」ではない。「縁があったからつながった」と信じたい。

現在小6の末娘は幼稚園の時、友達は2人しかいない、と豪語していた。その言葉通り、いつも決まった子とばかり一緒にいた。そして、子どもがいつも行動を共にしていたので、親同士も自然と行事のたびに親しくなっていった。

そんな友達とも幼稚園卒業でお別れとなった。3人とも別の小学校に進学した。卒園後も低学年の頃は親子で遊ぶ機会があったけれど、学年が上がるにつれて会うことはなくなった。連絡する機会も徐々に減り、年賀状のやりとりもいつの間にか途絶えた。

転機があったのは娘が5年生の時。彼女は中学校の進路に悩み、塾を転々としていたが「行きたい学校」が決まり、一つの塾に落ち着いた。

その塾に通い始めてすぐに「同じクラスにAちゃんがいたよ」と、娘から報告があった。Aちゃんは幼稚園の時の仲良し3人組のうちの1人。娘の塾のクラスはK中学を目指すクラス。ということは、そろって合格すればまた一緒のところに通うようになるかもしれない。子どもよりも親のほうがテンションが上がった。娘の話では、Aちゃんには自分から声をかけたものの、ちょっと恥ずかしそうな反応が返ってきたという。もしかしたら、娘のことをあまりよく覚えていないのかもしれなかった。私はスマホの連絡アプリでAちゃんママを検索し、久しぶりに連絡をしてみた。Aちゃんからはまだ再会の報告がなかったようだった。Aちゃんママは突然の連絡に驚いた感じだったが、再会を喜んでくれた(と思う)。

その後も、塾では子ども同士話す機会がほとんどなかったようだった。学校がない日の塾の授業は、ランチタイムを挟むので塾にいる時間が長い。それでも、休み時間は短かったので話をする余裕はないらしい。塾の先生も授業が終わったらすぐ帰るよう声をかけるので、距離を縮められることはなかった印象だった。娘から「Aちゃんと話をした」という報告を聞くことなく6年生になり、あっという間に受験の日を迎えた。私は、何かの機会にAちゃんママに会えないか期待したけれど、受験日、合格発表日、塾の送迎のいずれでも残念ながら会うことはなかった。

合格発表も無事に終わり、中学生になるまでの勉強方法などについて説明を受ける塾の進学説明会があった。親子一緒で、受験の合否にかかわらず同じコースの親子が塾に集まった。
私は話を聞きながらAちゃん親子が気になった。
この日は来ているのだろうか。合否はどうなんだろう。一緒に通えるのだろうか。
説明会の時は見つからず、諦めて帰ろうとしたところで声をかける人がいた。Aちゃんママだった!!

少しだけ話をすることができた。
Aちゃんは試験前日にコロナになってしまったこともあり、十分力を発揮できずに不合格になったとのこと。娘はめでたく合格したが、私は、Aちゃんとまた同じところに一緒に通いたかったなあ、と残念で仕方がなかった。Aちゃんママは結果を冷静に受け止めていたように感じたけれど、気持ちは複雑だったと思う。私も、久しぶりに会話できたことが嬉しかったけれど、一緒に春を迎えられなかったことが残念でどういう態度をとったらいいのか少し迷った。見えない力が「この子はこっちに行ったほうがいい」と判断した結果なんだ、と考えるようにしていた。

ところが、それから3日後の朝。Aちゃんママから文字メッセージが来ていたのに気づいた。

「追加合格になりました!」

なんと、また同じところに通うことになったのである!

偶然が重なっただけだとは思う。でも、それ以上のものに導かれている気もしている。約10年前にできた縁が、またこうしてつながったのは必然で、意味のあることなのではないか。

小学校の間はほとんど交流がなかったけれど、Aちゃんは娘にとって確実に幼馴染と呼べる存在なだろう。

これから先もまた新しい出会いはあるけれど、どの出会いも娘の人生に必要な出会いとなるに違いない。そして、再会することになった昔の友達も、縁あってまた一緒になることになったのだ。今、そんな確信を強めている。


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