【第9回】友の死で思い知らされた父親の責任

こんにちは。おとんです。

つい数日前
深夜におとんの周辺がザワつきました。

おとんがそのことをを知ったのは翌朝のこと。

なぜって、おとんは寝る時
スマホを機内モードにするから。

(機内モードとは、飛行機に乗る時に
電波の送受信ができないように設定する
モードのこと)

なぜなら、スマホの電波(電磁波)が
脳に悪影響を与えると言われているからです。

「スマホは頭から50センチ離してください」

とか

「充電中は電磁波が強まりますよ」

とか言われている。

という話は別の機会にお話しするとして
話を戻します。


翌朝、機内モードを解除すると
LINE通知が30件を超えていました。

「どこかのグループが盛り上がったんだな!」

くらいの軽い気持ちでアプリを開いてみると

なんと小学校の同級生が事故で死んだと。

その同窓会グループが
大変なことになっていました。

つい最近、そのグループ内では
彼からの投稿があったばかり。

何ならその時、盛り上がったグループラインは
彼の投稿で締めくくられていました。

「え!マジで!ウソでしょ!」

と、めちゃくちゃビックリして。

そのグループメンバーは仲が良く
毎年同窓会をしちゃうくらいなんだけど
おとんはもう5年以上は行ってない。
(2人の子供ができてから行けなくなった)

彼自身とは、今は
直接連絡を取り合うような仲ではないので
少し冷静に見ている自分もいます。

とは言え、小学校当時は
結構近い距離で過ごしていた時期もあるので
色々と感じるものはありました。

「めちゃくちゃ仲が良かったわけでは無いけど
同じ時代を近くで生きてきた」


って感覚。

そんな同窓生の彼がこうなってしまって
本当に命っていつ終わるかわからない
明日も生きている保証なんかない
それを強く再認識しました。

そして、今回の件で
研修医時代に起きたある事件を思い出して。

彼への弔(とむら)いの意味も込めて
今回は今生きてることに感謝できるような
そんな話をしていきます。

それでは早速始めていきましょう。

救急外来にやってきた
小さな赤ちゃん

おとんが研修医時代に研修していた病院は
3次救急病院とランク付けされる
とにかく救急車がたくさん来る病院でした。

その救急車に最初に対応するのが
研修医の仕事。

先輩医師が来るまでに状況を確認し
治療を始めておくのです。

救急車が来るのは
病院の1階にある救急外来。

救急外来は大きく2つの部屋に分かれていて、

1つの部屋は救急車が入ってくる広い部屋。

2つ目の部屋はその奥、
カーテンで仕切られており
10人ほどの患者さんが寝られるベッドが
置いてある部屋。

救急隊員や患者さんで
ごった返すこれらの部屋が
研修医の主戦場となります。



そんなある日、夕食を食べていると
救急外来の看護師から
1本の電話がかかってきました。

「先生、人手が足りないからちょっと来て!」

ご飯もそこそこに救急外来に駆けつけると

そこには、生後半年くらいの
小さな小さな赤ちゃんがいました。

「先生、この赤ちゃんと遊んでて!」

「え?ちょっ・・・」

返事も聞かずに
忙しそうな看護師は去っていました。

重症患者さんが来た時など
戦力にならない研修医1年目はたまに
そんな役割に回ることもあります。

天国と地獄

訳も分からず
奥の空いているベッドのスペースで
その赤ちゃんをあやすことになりました。

まだ人見知りをしない時期の赤ちゃんは
初めて見たおとんにも笑顔を振りまきます。

毎日、戦争のように戦っていた研修時代
その中で、めちゃくちゃ安らぎのひと時でした。

「めっちゃ可愛いなぁ。まるで天使だ。」

「人の子供でもこんなに可愛いんだから
自分の子供だったらやばいだろうな。」

そんなことを思いながら赤ちゃんと遊ぶおとん。

過酷な毎日と比べたらまるで天国にいるようで

「いつまでも遊んでられるな。」

と思っていて。


その時、急にカーテンの向こうが
バタつき始めました。

何となく伝わってきた話からは
交通事故で運ばれてきた30代前半の男性が
危ない状況だと。

「ピーーー!!」

という心肺停止を知らせる
警告音が鳴ったと同時に

先輩医師の

「心マ(心臓マッサージ)して!」

という声が聞こえ
バタバタと心マが始まりました。

ちなみにこの心マ
かなりの重労働で
5分もやると息が切れます。

(次の日は確実に筋肉痛になる)

そんな状況なのでおとんも
遅れてやって来た女医さんに赤ちゃんを任せ
心マに参戦しました。

そして、実はこの心マ
一度始めると家族の許可が出るまで
止めることができません。


だから、家族が病院になかなかやって来ない時
または家族がどうしても諦めきれない時
心マは延々と続くことになるのです。

この時
患者さんの奥さん(20代後半くらい)は
心肺停止から10分経っても
心マを止める決断ができませんでした。

まぁ、気持ちは分かりますよ。

人の心マを止める決断をするのは
家族であっても重いです。


まるで自分が殺したみたいに
感じる人だっているでしょう。

けど、病院のスタッフはみんな知ってます。

心肺停止後、数分で蘇生(そせい)しなければ
それ以降、生き返る可能性は極めて低いことを。

先輩医師が状況を奥さんに伝え続けて
やっと奥さんは決断をし
心マを止めることになりました。

おとんは救急車で来た患者さんが
そのまま死んでしまうのを見たのは
これが初めてで。

そのショックと同じくらい
長時間の心マでの肉体的な疲れも感じていて
心身共に疲労感マックスでした。
(報われない心マは何倍も疲れます)


先輩医師が死亡確認をし
そこにいた全員が患者さんに対して
一礼をした瞬間
部屋のドアが開きました。

そこに立っていたのは
奥さんのお母さん。

奥さんからの連絡で駆けつけた様子でした。

お母さんの姿を見た瞬間
それまで気丈に振る舞っていた奥さんは
泣き崩れました。

「お母さん!!」

「たくちゃん、死んじゃったよ!!」

「死んじゃったよー!!!!」

(たくちゃんは仮名です)


「あー、この世の地獄だな。。。」

この様子を見て
おとんは心底そう思いました。

父親の責任

実はおとんがあやしていた
天使のようなあの赤ちゃんは
この奥さんのたった1人の子供でした。

生まれたばかりの子供を置いて旅立った父親。

こんなに可愛い子供を残して死ぬなんて
どれだけ無念だったか。

そして、残された家族は父親を失って
どれだけ苦労の多い人生となってしまうのか。

そう思うと
おとんは同じ家族の中に同居する

「天国と地獄」

「生と死」


の残酷さを感じざるを得ませんでした。


「自分に子供ができたら
成人するまでは絶対に死ねないし
大病もできないな」

「それが父親の責任だ」


そう思ったのを強烈に覚えてます。


それまでは

「子供のためならいつでも死ねる」

それが最大の愛情表現だと思ってました。

けど、今回の一件で
価値観が180°変わったのです。

何よりも気になるのは
父親がいないことで

「家族が人生で完全燃焼できなくなる」

かもしれないこと。

「家族の完全燃焼を邪魔する」

自分が死ぬとそうなる可能性があると
その時、初めて気づいたのです。

無責任な父親

今回の一件は事故なので
避けられない(仕方ない)部分は
あったでしょう。

しかし、この時以降
病気になること(特に生活習慣病)は
めちゃくちゃ無責任なことだと
思うようになりました。

生活習慣病って簡単に言うと
自分の不摂生によって病気になること。

100%自分の責任です。

そして、それによって最悪
心臓の血管が詰まって死んでしまったり
脳の血管が詰まって重度の障害が残ったりします。

それで家族に迷惑をかけるのって

「無責任だな」

「愛がないよね」


って考えるようになったのです。

けど、その家族のために一生懸命働き
疲れ切ってなかなか身体のことまで考えられない。

だからこそ生活習慣病になってしまう
という側面もあることは知っています。

だとしても、おとんはそれを
正当化して欲しくない。

家族も仕事もどっちも
思いっきり大切にして
完全燃焼して欲しい。


そして、そのためのリカバリーメソッドです。

どんなに忙しくても最後の一線は超えない
(病気予防)

ということも意識しつつ

本当は病気のことなんて考えずに
日々のパフォーマンスを上げることだけ意識して
過ごすことができる。

そんなことをこちらの記事で書きました。
↓    ↓    ↓


人生の中には戦う場面がたくさんあります。

戦いにおいては身体が資本。

どれだけ身体が整っているかで
結果が大きく変わってきます。

それこそ、戦国時代だったら生きるか死ぬか。

現代は生活習慣が崩れても
すぐには死なないから
意識が薄れていますが

身体の崩れはいつだって
死に向かっていくのです。

友へ

そんなことを思い出した
今回の友の死。

「なぁ、友よ。お前は完全燃焼できたのか?」

「人生やり切ったのか?」


そんなことを問いかけてみるものの

そんな訳ない、心残りがあるのは明らか。

まだ小さい子供がいて
家族に最期のお別れも言えない。

そんな状況で

「完全燃焼した!」

なんて言えるはずないことは分かってる。

「少し先に行っててくれよ」

「そして、見守っててくれ」

「オレにはまだやらなきゃならないことがある」

「お前の分まで背負って完全燃焼するよ」

「そして、数十年後
オレが死んだらあの世で語り合おう」

そう心の中で祈りました。


自分が今日の朝
いつものように目覚めたのも

妻がいつも横にいてくれるのも

子供達が毎日無事に帰ってくるのも

何ひとつ当たり前のことなんてない。


あなたもおとんと一緒に
それを胸に刻んで
1日1日を生き切って
完全燃焼していきましょう。

それでは今回はここまでにします。

ありがとうございました。

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