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安西水丸の、シンプルなのにその人にしか描けないという魅力はどこから来るのか

世田谷文学館で開催中の安西水丸展に行ってきました。

イラストレーター 安西水丸展
2021年4月24日(土)~9月20日(月・祝)
https://www.setabun.or.jp/exhibition/20210424-0831_AnzaiMizumaru.html


実は今まで知らなかったのだけど、どこかのメディアでお知らせの記事を見た時、

かわいい!
おしゃれ!

と思った。

もともと7月までで、スケジュールが合わずあきらめていたのだけど会期が延期したと知り、終了1日前にすべり込み。
住宅街の一角にある世田谷文学館に着くと、なんと入場制限までかかるくらい人がたくさん集まっていた。
入場時間を待つ間、絵葉書やイラスト集などのグッズを見ながら、
何がこの人の絵の素敵さなんだろうなあ・・と考えてみた。

安西水丸の絵は、パッとみた印象はポップな色使いで、ゆるかわいい。
でも、なんだかおしゃれなんだよなぁ・・・。

そしてふと、
描いている対象物が大人なもの、異国情緒のあるめの
だということに気づいた。

英字の本だったり
酒瓶だったり
パパイヤだったり。

↓こちらがそのイラストたち。
(美術館に行ってはお気に入りのポストカードを玄関に飾るのが趣味)

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もちろんさまざまなテイストの絵を描かれているので常にそうではないけれど、私がパッと見てすてき!と思ったイラストはその類だった。

このイラストは技法自体はカラートーンを切って貼るといった技法で、特別なものでも技巧が凝らされているというわけでもない。
多くの人が自分にも描けそう、とさえ思いそうだ。

シンプルな技法でも安西水丸の絵になるのは、
モチーフの選び方そのものが安西水丸だから
なんだろう。
作家独自の視点が絵を描く前から宿っているということだ。
これは自分の作品を作るということを学んできている人からしたら至極当然のことなんだけど、「ああ、こういうことか」と、安西水丸さんのシンプルな絵がより一層そのことを教えてくれる。

展示会の中で紹介されていた言葉も印象的だった。
(うろ覚えなので間違ってるかもしれないけど雰囲気はこんな感じ)

・その人にしか描けない絵を描きたい。
・子どものような絵を大人になっても描いているのが私です

そしてそれに呼応するかのように、安西水丸と親交の深かった村上春樹の言葉。

この世界に安西水丸さんしか埋められない場所がある。

安西水丸の絵は全く気取っていない。絵が大好きで、広告デザイナーでもあった人なんだけど、あまりそういう匂いがしない。

本当に子どもが描いたのかと思うような絵もある。
その素直な絵が描ける、唯一無二の存在だったんだろうなあ。

そんなわけで、安西水丸展は作者の視点とか、遊び心とか、安西水丸のらしさをまるまる体感できて、創作意欲を刺激してくれる場所でした。

あと本当に余談だけど、すごーくおしゃれなご夫婦がいらした。
旦那さまはリネン風のジャケットに黒の青字のTシャツに白のパンツ。奥様は白いシャツにインドっぽいパンツに黒い革靴に黒の巾着バッグ。たぶんすごくいいメガネ。白髪ショートカット。
おふたりともこだわりのつまったファッションだったし、ただ者ではないと感じた。
たまに代官山だとか、おしゃれなエリアに行くとこういう超絶おしゃれなご高齢の方がいらっしゃって、うおおお私もあのように歳を重ねたい・・・と思う。

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