三十(さとう)

文字あそびをして、短文を書きます。 完全独学自己流です。書道家ではありません。 BLと…

三十(さとう)

文字あそびをして、短文を書きます。 完全独学自己流です。書道家ではありません。 BLと観劇と刀剣乱舞(江!)が好き。 *文字あそび作品・掌編作品・画像の無断利用及び転載はお控えください* *Repost is prohibited*

最近の記事

暴れ川~あばれがわ~

 暴れるには理由があるはず  わけもなく暴れるだなんてこと… あぁ、愚かにもそう思っていたこともあった 今ならばわかる わけなど己にもわからぬのだと わからぬものを伝えたいがための行いなのだと 傷つけようなど思いもしないのだと それでも罪は罪なのだと 文字あそび 暴れ川~あばれがわ~ すぐに氾濫する川。

    • 竹春~ちくしゅん~

      わたくしの春は今この時ですの みなさまはそろそろ色あせる頃でございましょう けれど、わたくしは みずみずしい色と艶やかな肌 ひときわ目を惹き、誰もが誉めそやすはず 妬ましゅうございましょう 羨ましゅうございましょう その視線を糧に天高く伸びて行きますの 文字あそび 竹春~ちくしゅん~ 旧暦8月の異称。 竹の新葉が盛りの月。

      • 花魁草~おいらんそう~

        仮にもこの名を頂いているのですよ 名は体を表すとも申しますし そう期待をされていることも存じております であればこそ、 求められる姿であることこそが この身の誉れにございましょう 心の奥のささやかな望みを消し去ることもまた 誉れの糧にございます 文字あそび 花魁草~おいらんそう~ 7~8月ごろ多数の紅紫色の小花が群生する総状の花穂を立てる、ハナシノブ科の多年草。 花の咲き方が簪をたくさんつけた花魁を連想することからの命名。

        • 火雲~かうん~

          雲が燃えているよ あれはね、白い炎なんだ 真っ白に照り映えて 全てをはじき返してしまうんだ 白く燃えた雲はね、雨を降らせるんだ そこらじゅうに跳ね返って 飛沫で世界が霞むような雨だ 世界が霞んでいる間はね 誰も何も見えないんだ 秘密の世界が広がるんだよ 文字あそび 火雲~かうん~ 夏の雲。日照り雲。入道雲。

        暴れ川~あばれがわ~

          月下氷人~げっかひょうじん~

          月下の人の持つ縄は 赤い縁を結ぶ縄 赤縄辿って幽界鬼界 訪ね訪ねて千の月 月下の人の開く書は 赤い縁を示す真名 真名を抱いて幽山鬼海 渡り渡って万の日々 氷下の夢に揺蕩う玉は 赤い燈火揺らして笑う その名呼ばわる月日を待ちて 瞬く瞼を染める色 文字あそび 月下氷人~げっかひょうじん~ 縁結びの神。縁を取り持つ人。 「月下老人」と「氷人」の二語を合わせてできた言葉。 共に仲を取り持ったという古代中国の故事による。

          月下氷人~げっかひょうじん~

          心象~しんしょう~

          何に見えたっていいし 何も見えなくてもかまわない ここはあなたの心の中 あなただけの世界なのだから あなたが責めなければ誰も責めないし あなたが怒らなければ誰も怒らない そんな世界で あなたは何が見えて 何が見えていないのだろうね 文字あそび 心象~しんしょう~ 心の中に描き出される姿・形。心に浮かぶ像。イメージ。 ●写真:むにさん https://twitter.com/160muni911

          心象~しんしょう~

          瑞雨~ずいう~

          良き時の良き雨にございます 良き雨は良き育ちを 良き育ちは良き実りを 良き実りは良き糧を 良き糧は良き里を 良き里は良き命につながるのでございます 良き命は良き命をもたらしますが どうにも数が合わないのでございます 消えた命はなにを作っているのでございましょう 文字あそび 瑞雨~ずいう~ 農作物の成長をうながす、農作業にとって喜ばしい雨。慈雨。

          瑞雨~ずいう~

          滝つ瀬~たきつせ~

          浅瀬だと侮るからでございますよ 足を取られて掬われて 瞬き一つの間に捕らわれてしまうのです あぁ、そんな目で見られても困りますよ 一度攫われてしまった者は二度と戻れぬ定め あなたさまであっても、です ほら、瀬の方のお迎えがきております もう行かれなさいませ 文字あそび 滝つ瀬~たきつせ~ 激しく流れる瀬。 滝のような流れの瀬。 瀬は、流れが速く水深が浅い場所のこと。

          滝つ瀬~たきつせ~

          空木~うつぎ~

          ゆかしく優し気に見えますでしょう? 自分でもよく存じておりますとも けれど、この身は虚ろ 今宵、どれほど焦がれたとしても 夜が明ければすべてが露となり忘れてしまうのです この愛らしい白い花から ほたほたと零れ落ち あなたさまのことも覚えてはおられぬのです 文字あそび 空木~うつぎ~ 野山に自生し6~7月ごろ、小さな釣り鐘型の花が多数、円錐穂状に群がり咲くユキノシタ科の落葉低木。 幹の髄が柔らかく中空になることからその名がある。

          空木~うつぎ~

          暁風~ぎょうふう~

          暁風が扉を叩いておりますね 出立を急かしているのでしょう このまま聞こえぬふりでおりましょうか このまま気づかぬふりでおりましょうか 冗談でございますよ あなたさまには無理というもの さぁ、身支度を整えたらお立ち下さい 二度と振り返らず、忘れて下さいませ 文字あそび 暁風~ぎょうふう~ 明け方に吹く風。朝風。

          暁風~ぎょうふう~

          洗鉢雨~せんぱつう~

          今年は洗鉢の雨が降らぬな じじさまもばばさまも、彼岸に戻らぬのか この鉢で今日も明日も飯を喰らうか 今日は何を盛れば良かろうな 盆の三日はかかさまと吾の飯を盛ったがな さすがに吾らも飯を喰わねばな なぁ、かかさま 隣のじじがそろそろ川を渡りそうじゃぞ 文字あそび 洗鉢雨~せんぱつう~ 陰暦七月十六日に降る雨。 十三日~十五日の盆の行事に使った鉢などを洗い清めるために降る雨。

          洗鉢雨~せんぱつう~

          茨~いばら~

          「茨の道」は辛そうだけどさ 「野ばらの道」だとファンタジーだよな 同じ道なのに理不尽だ 棘をどう思うかってだけだろ 棘はこっちが手を出さなきゃなんともないんだ つまり、「茨」か「野ばら」かは その道を通るヤツ次第ってことだ なぁ、お前さ、俺の棘、どうしたい? 文字あそび 茨~いばら~ 茨は、とげのある灌木を意味する言葉。 「うばら」とも。 山野に生えるバラ科の「野茨」や「野ばら」を総称していう。

          空々漠々~くうくうばくばく~

          君を見ているとね 些細なことで思い悩んでいることが 馬鹿馬鹿しくなってくるんだ 君は僕の存在なんて素知らぬように ただ遠く高くを見つめ続けるだけ きっと、この「おはよう」一言に それだけの勇気が詰まっているかなんて 考えたこともないだろうね 文字あそび 空々漠々~くうくうばくばく~ 限りなく広いこと。 また、とらえどころがなく、ぼんやりとしているさま。

          空々漠々~くうくうばくばく~

          告解~こっかい~

          …それで? そうやって突っ立っていれば赦されるとでも? あんたはヒトにしちゃあイイヤツかもしれないが オレたちの仲間じゃない それは絶対だ なぁ、決っして超えてはいけない線ってのはさ 何にだってあるものだろう あぁ、残念だよ 文字あそび 告解~こっかい~ カトリック教会の儀式の一つ。洗礼後に犯した罪について、悔い改め、司祭に告白することによって神と教会から与えられる罪の赦 し。 ●写真:むにさん https://twitter.com/160muni911

          告解~こっかい~

          沖雲~おきぐも~

          君はまるで沖雲のようだね 絶対的な安全圏でいつだって僕を見ている 確保された安全距離に打ちのめされながら 僕も君を見ていることを とっくに知っているはずなのに 絶望的な距離を測り損ねたふりをして 衝動的にこの身を躍らせたなら 君は踏み出してくれるだろうか 文字あそび 沖雲~おきぐも~ 沖合の空にかかっている雲。

          沖雲~おきぐも~

          壁立~へきりゅう~

          絶体絶命とみるか 潔く清々しいとみるか 要するに 後悔と未練にまみれているか 達成感と充実感に満ちているか、だ もちろん、他人の評価じゃないぞ 自分が、己が、どう感じるか、それだけだ この切り立った断崖絶壁の縁で 地に沈むか 天に羽ばたくか、だよ 文字あそび 壁立~へきりゅう~ 岩や崖などが、壁のように切り立っていること。

          壁立~へきりゅう~