細野晴臣「HOSONO HOUSE」私的名盤解説その二

こんにちは、佐藤凌駕です、季節の変わり目ということで絶賛風邪をひいてしまいました。本体のミュートボタンでも押しているのか?ってくらい声が出ません。なのに熱は5.9とかまで下がりました。何故喉だけ… 安静にしています。
さて今回は私的名盤解説の第二回ということで細野晴臣さんの1st「HOSONO HOUSE」という大好きなアルバムを紹介させていただきます。今年で発売50周年ということでリマスター盤が出たりと長年愛聴される、色褪せない日本の名盤ですね。はっぴいえんどでの日本語ロックの確立、YMOでのテクノサウンド…日本の音楽史において欠かせない重要人物である細野晴臣氏、その1stはカントリーロックなどの当時のアメリカでのサウンド的ではあるものの独特の日本語詩等も効いて非常に日本的な部分もあり聞いていて面白いです。当時ではかなり先鋭的な全部宅録によるアルバムであったりと、それも独特なサウンドになったひとつの要因でしょう。細野晴臣氏自身はサウンドも曲も自分では納得がいってなくてセルフリメイクアルバム作ったりしてますが僕は大好きなアルバムですね。早速曲紹介に行きましょうか。

1曲名 ろっかばいまいべいびい

心地よいアコースティックギターとベースだけで演奏されるアコースティックな弾き語りの曲で、細野氏曰く1930〜50頃のアメリカのスタンダード・ナンバーやらからの影響が強い曲です。等身大で朴訥なサウンドがこのアルバムの1曲目にピッタリです。複雑でエモーショナルなコード進行と、心地よいベースのリズ厶、そして細野氏の落ち着いた低い歌声で歌われる美しいメロディラインと細野晴臣氏の魅力が詰まった1曲です。デモテープをそのままミックスして収録したという事で等身大のサウンドという雰囲気がそのまま伝わってきますね。そしてこの曲はフェードアウトしながら次の曲に入ります。

2曲名 僕は一寸

1曲目の奥まったアコースティックな雰囲気とは相対して2曲目はドラム等も加わり豊かなバンドアンサンブルの曲になります、子気味の良いリズムセクションに乗っかり明るげな鍵盤やギターの音が聞こえてきて1曲目とはまた違う意味で心地よい曲です。
まるで日記を読んでいるかのような素直な歌詞と、その歌詞を真っ直ぐに伝えてくれる綺麗なメロディラインの曲です。一番終わりの間奏は、特に何の楽器のソロという訳ではありませんが各楽器のフレーズが絡まり合い飽きずに聞ける心地よい間奏に仕上がっています。そしてその調子のまま特に引っかかりもなく曲は進行していき、最後にポップなベースリフが鳴らされこの曲はフェードアウトしていきます。

3曲目 CHOO-CHOO ガタゴト

これまでの2曲とはまた少し違うテイストの曲ですね。空間の奥行きを感じるようなギターリフで始まります、曲全体を通してみると少しハネるビートのドラムと簡単なスリーコード主体のいわゆるロックンロール的な曲です。単純な曲調ながらもthe bandのようなハネ感とストレートが混じった楽しいビートが飽きさせずに聞かせてくれる名曲です。CHOO-CHOO ガタゴトという言葉が代表するように歌詞も語感意識の口ずさみたくなるような歌詞で、細野氏もぽつぽつ呟くように歌うのですが、その歌と演奏の盛り上がりによって高まっていくアンサンブルとの対比が面白い一曲です。

4曲目 終りの季節

かわいらしいサウンドが印象的なスローテンポな曲です。演奏面で言うとメロディラインと全く同じメロディをなぞるハーモニカ、パーカッションのリズムがいいですね。
僕がこの曲で一番素晴らしいと思うのはなんと言っても歌詞です、終わりの季節という別れを思わせるようなタイトルながら「朝焼けが 燃えているので窓から招き入れると笑いながら入りこんで来て暗い顔を紅く染めるそれで救われる気持」、という。招き入れるという言葉を使うセンス。少し調べてみた所この歌詞は細野晴臣氏の終末思想のあらわれのようですね。ノストラダムスの大予言やらも話題になり始めた時代ですので、そう考えるとこの歌詞は終わりを招き入れるという、まさしく終りの季節というワケですね。その視点で聞くとまた違って聞こえる曲です。個人的に終わり方が好き。

5曲目 冬越え

林立夫氏の時に歌に合わせ、時に16分のビート等でアクセントを入れるドラミングが素晴らしい曲です。はっぴいえんど的なコーラスワークも良いですね、そしてホーンセクションのゴキゲンなアレンジも楽しげで良いです。歌詞はと言うと、今まで都会で暮らしてきた細野晴臣氏が田舎に越してきてからの生活を歌っているような歌詞ですね、くしゃみをひとつ〜。

6曲目 パーティー

ゴキゲンなロックンロールチックな曲という点では3曲目と似た雰囲気も感じる曲ですが、歌詞が今までとは違いカタカナ語を多用し、〜よという若い女性的な言葉遣いが使われ、その歌詞の雰囲気と細野氏の声がミスマッチで面白い。いい意味で。調べたら野球大会への提供曲のセルフカバーなんですね。だから作詞と歌が女性の人ということでこういう歌詞らしい。いかにも歌謡的なちょっとくだらない様な歌詞でもセルフカバーしてアルバムに入れるとちゃんと纏まってるのが凄いですね。

7曲目 鬼は外 福は内

マジでかわいい曲。1番好き。このアルバムは他の曲ははっぴいえんど的な日本語ロックな曲が多いのですがこの曲は少しテイストが違いますね、イントロから鳴り続けるかわいらしい電子的な音のリフは後のYMOにも通じるところがあるんではないでしょうか。電子的なサウンドながらもリズムは民族的なビートで、メインのリフとユニゾンしたり4分で落ち着いたビートを奏でたりとやりたい放題なベースが子気味いいです。
入れ入れ門から 家の中へ 入れ入れ門から 福の神 と皆で楽しく歌って段々メロディとかもゴチャゴチャになってるところとかがたのしげでいいですね。

8曲目 住所不定無職低収入

ハデハデなホーンセクションとわかりやすいメロディとリズムがいいです、歌の合間を縫うようなギターも気持ちいいですね。住所不定無職、おまけに低収入という最低な要素しかない言葉を楽しげな曲で適当に歌う感じが悲観してないんだなぁ〜と思えていいですね。キャプテン・クックには謝った方がいいかも。

9曲目 恋は桃色

後にシングルカットもされている、素晴らしいアルバムの中の1曲という位置づけではなく単曲でも良い曲と言える曲ですね(他が単曲でダメって訳ではないよ!!!)細野晴臣はトゥルットゥールルとかの適当な語呂のいい言葉使うの上手いですよね。本当。
なのに「おまえの中で雨が降れば僕は傘を閉じて濡れて行けるかな」なんて文学的な事も言ってしまうから凄い。短いながらもすごくいい曲ですね。サニーデイ・サービスや矢野顕子、中村一義など名だたるアーティストがカバーしていたりと、この曲がいかに長年愛されているかが分かりますね。

10曲目 薔薇と野獣

攻撃的な16ビートの曲です、コード感も気持ちいいし、メロディもかっこいいメロディですね。揺れるような音の鍵盤もかっこいい。まさしく薔薇の棘に刺されてしまいそうな緊張感のある曲です。特にベースがかっこよすぎますね。流石細野晴臣。家の周りを薔薇の棘に守られてはいるものの…という含みのある歌詞も聞き手の緊張感を増長させます。
そのまま不気味なフレーズがリフレインするアウトロに突っ込みエレピやドラムも好き放題演奏してして、やがてベースがどんどん静かになり終わります。前回取り上げたキング・クリムゾンのような感じのアウトロですね。

11曲目 相合傘

このアルバムの最後ははっぴいえんどのラストアルバム、HAPPY ENDの中に収録されている相合傘という曲のインストバージョンで終わります。原曲は2分くらいの子気味良い曲調なのですがこちらは古いアメリカのニュース番組みたいなSEと外国人の声から始まる20秒くらいのインストになっています。
終わり方も唐突すぎるしえ?これで終わり?????ってなります、このアルバムが田舎でのんびり日向ぼっこしているような世界に浸れるアルバムなのでこんなに急に終わられてしまうと夢が覚めたように感じますね。夢ってのはいつか覚めなきゃいけないのでこんくらいがいいのかもしれませんが、僕はいつもえ?????終わったの?????嘘嘘嘘嘘?????みたいになります。悲しい。てなわけでこのアルバムは終わりです。

まとめ

ちゃんと聞き返しながら書いていたんですがマジでいいアルバムですねー。風邪で学校を休んで昼間から聞くには最適のアルバムです。細野晴臣の低いダンディな声と日本的な歌詞が映えます。そしてやっぱりベースが上手い。うわモノのサウンドは割とかわいらしいのにリズムセクションがえげつないですね〜本当にかっこいい。心地よく聞き流す系のアルバムの中では一番好きかもなぁ。1回目がクリムゾンで2回目が細野晴臣ってどんなブログやねんと思ったりもしますが良いもんは良いですからね。
発売から50周年経っても未だに幅広いリスナー聞かれているのは凄いですね。それだけ凄いアルバムということですが、本人は気に入ってないというw音楽あるあるですねー。ということで乱雑な文ですが最後まで見てくださった方々ありがとうございました。めちゃくちゃ不定期で更新するブログにはなるんですけどたまーに見かけたらちょっと覗いてくれると嬉しいです。ほなまた。

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