📖センスは知識からはじまる

 

今まで心理学とかの本をガブガブ読んでいたのですが
もう少しクリエイティブになりたいというか、人文科学的な知識が欲しいというか
人間って面白いぜみたいな本が読みたかったので、こちらの本を手に取りました。

2014年に発売の本なので、ちょっと古い表現もあるのですが
クリエイティブに生きることって、どういうことかなって考える機会をくれる本です。

「くまモン」アートディレクションなどで話題の、
日本を代表するデザイナー発「センスの教科書」。

センスは生まれついたものではなく、あらゆる分野の知識を蓄積することで向上することを説く。
顧客の嗜好が多様化する時代、スキルよりもセンスを磨くことで、
仕事を成功させるノウハウを紹介する。

Amazonより引用

普通とは良いものが分かるということ
普通とは悪いものも分かるということ
その両方を知った上で一番真ん中が分かるということ
センスが良くなりたいのなら、まず普通を知る方がいいと僕は思います

20ページより引用

これは自分が心理学を勉強しようと決めたことに、通ずるものがあると感じました。
私は個性というものは何かわかりませんでした。
個性的だねって言われるけど、それって悪口では？みたいな。
じゃあ、個性的ではない状態ってなんだろう、没個性ってなんだろう、普通を知った上で自分の個性ってなんだろうって考えたいなと感じたんです。
我ながら、頭いい高校生だなって思いますね笑

センスも同様で、普通とかよくあるっていうものがわかるからこそ、突飛なアイデアが生まれてくるというところです。
やっぱり基礎とかを知らないで、新しいことを始めるっていうことはできないんですよ。

友人に宝塚の脚本家をしている人がいます。まず、その立場になることすらとんでもなくすごいことだなと思うのですが
とにかくインプットの量がすごい。最近読んだ面白い本や面白い映画が泉のように話の中で湧き出てきます。
単純にすげえなって思うんですけど、多量のインプットがあるから、脚本を書けるのだなって思います。
宝塚の公演も見に行ったのですが、テーマのワインに対して、恐ろしい量のインプットをしたのだろうというくらいストーリーの中にワインの情報が詰め込まれていました。
多量の情報を精査し、わかりやすい言葉で伝えていくって本当に脚本家さんってすごいなと感じた瞬間でした。

センスとは知識に基づく予測である

好きセンスを持つには知識を蓄え、過去に学ぶことが大切です。同時にセンスとは時代の1歩先を読む能力も刺します。
家過去を知って知識を蓄えることと未来を選んで予測することは、一見すると矛盾しているように感じます。しかし、僕の中でこの二つは明確につながっています。知識に基づいて予測することがセンスだと考えているのです。

86ページより引用

教員をしていると、勘みたいなものが働きます。この子はこういうタイプだろうとか、このクラスはこういう感じになるだろうとか。
それは単なる直感ではなく、長年の経験の集積です。自分が過ごした小中高時代や、教員生活を経て感じた、お硬めに言うと分析した知識から推測しているという方が正しいです。
それをチープな表現というか、当たり障りのない表現にするのが勘という表現です。

こんなことになりそうだなという予測可能性を立てることができる、先回りして考えるということは、仕事をする上ですごく重要だと思います。
クラス経営をしてる時も極力後出しジャンケンにならないようにしています。先に先に情報を伝える感じですね。

結局は経験した者勝ちというか、どれだけ凝縮した人生を送っているかだと思います。
1日でも多く、家と学校から離れなさいと、夏休みの前にお話をしたのですが、それは常日頃じゃない刺激を受けなければならないということです。
その様な経験が自分の人生を豊かにしてくれます。これは断言できますね。

日常の工夫で思いこみの枠を外す

センスを磨く方法は知識を集積することと、客観的になること、逆に言うと、不勉強と思い込みはセンスアップの敵です。(中略)
行ったことのない場所に行くこと、自分と違う職業の人と話すこと、浴槽に逆に入ること、バス停を変えてみること、これらは全て旅であると僕は考えています。旅という学びは感じる力を育てる、一番素晴らしいものではないかと思うのです。僕にとって旅の定義は日常から逃れること、つまり非日常であること。裏を返すとどんなに遠くに行っても同じような環境の中にいれば日常性が強く旅の要素が限りなく低くなってしまいます。

158ページから163ページより引用

生徒たちに夏休みは非日常を味わいなさいと伝えていきました。
なぜかというと、日常っていうのは大体予測可能であるため、安心感をもたらすものの成長を大きくもたらすものではないためです。
いつもと違う場所に行って、いつもと違う人と喋る。その回数と経験から学んだ私見が人の成長をぐんと伸ばしてくれます。
 
部活に一生懸命になることもとても良いことです。一方で非日常を感じなければ部活の大切さも感じられません。
何故なら日常とは退屈であるから。今日は部活がなしになりますって言うと喜ぶ生徒がいるのを見ると、なんで部活をやっているんだろうって思います。
きちんと適時非日常を取り入れることにより、日常の大切さに気付くこともできます。自分で刺激を受けに行くという能動的な姿勢が、人生のスパイスです。

部活を知らず知らずのうちに受け身でやっている生徒たちって、大人になった時にブラック企業で働いている可能性が大きいと思うんですよね……働かされて搾取されているのに気づかなさそうな気がします。
これは私の友人が言っていた言説で「仕事をバリバリやっている気になってる人は、部活をガツガツやってた気分になってた人が対象を置き換えているだけ」というもので、ひどく納得しました。
きちんと自分の中でその活動をやっている意味を見出さないと、日常で退屈で普遍から抜け出せません。つまり、センスも磨かれません。
ここ最近若干心配になっていることです。

総じてインプットの大切さをしみじみと感じた本でした。
英語の授業は、近頃アウトプットが中心となっています。日本の学習傾向として、そのように進んでいるのですが、きちんとした良質なインプット前提となっている気がします。
たくさんの本を読みたくさんの人と話したくさんの場所へ行くことで、インプットをし、集団生活の中で沢山アウトプットをする人生に自分自身がなりたいし、生徒たち自身もそのように成長していってほしいなと思います。