２世の悩み～就職編（入社編）～

３月のとある日。
私は中野にいた。
中野ブロードウェイ内になる喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら、友人と談笑していた。
その時大きな揺れが起きた。
そう、東日本大震災だ。

中野の揺れは震度５か６程度だったと思う。
喫茶店から退店し、不安を払拭するためまずは一服と思い喫煙所に向かった。
外に出た時はすぐに違和感を感じなかったが、携帯電話を取り出してすぐに違和感の正体を理解した。
携帯は圏外になっていたのだ。

当時電車もストップ、街頭モニターも何も映らなかった。
結局詳細な情報がどれだけ待っても収集出来なかったため、私は友人家まで徒歩で向かった。
友人宅は中野駅から１０駅以上離れていた。
が電車も動いていない以上歩いて帰るしか方法が無かった。お互い不安な気持ちを抱えたまま深夜に友人宅に到着し、
そのまま泥のように眠りについた。

翌日起きたらテレビがついて、ここで始めて東日本大震災の状況を知った。
テレビから見えてる映像が本物だと理解するのは少々時間がかかった。
テレビを見ていると電車がかろうじて動き始めたことを知り、私は電車へ乗車し自宅へ帰った。

そして翌日から続いたのが計画停電だ。
毎日１時間程度停電になったのを覚えている。
入社前の大学生なんて所詮プータローだ。
私にとってはそんなに大きいことではなかった。
が突然家の電力がつかなくなるというのは不思議な感覚だった。

入社まで１０日前になったとある日、会社から連絡があった。
『入社式は本社でやりますので、予定通り来てください』

何を言ってるのか理解出来なかった。
当時会社は３つの拠点があった。
・本社（東北地方のどこか）
・関東支社（埼玉県）
・関西支社（大阪府）

本社に行くには新幹線と飛行機がメインだったが、東日本大震災の影響により飛行機しか方法がなかった。。
また私の他の入社メンバーは３人であり、いずれも本社付近に住んでいる人間だった。
本社に比べて支社が狭いのはわかるが、わざわざ計画停電真っ最中の地域で入社式をするなんて
変な会社だと最初に思った日であった。。
入社前日本社付近でホテルに前泊した。
夕飯を買い出しにスーパーに行ったが当時食べ物もまともに買えなかった。
大量に売れ残っているぶとうぱんを購入しホテルの中で被りつつ、この会社に長居しちゃいけないなと思った入社前日の夜だった。