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【映画紹介】第4回『トップガン マーヴェリック』

1.Prologue
 我々は3年待った。人によっちゃ、30年以上待ったかも知れない。1作目『トップガン』の公開から36年、ついについに続編の公開です。遅かったじゃないか(歓喜)。

 小生、幼い頃に『トップガン』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はテープが擦り切れるレベル(死語かコレ?)でリピートしていたので、続編公開はなかなか感慨深いものがあります。というか最近まで、『トップガン』を未視聴の人間がこの地球上に存在するとは毛ほども思っていなくて、初めて遭遇した時には宇宙人を見る目になってしまいました。早く観ろ。

 シリーズものは最初から観るのが筋ってもんじゃろうが、とは常々思っているのですが、今作は特に1作目を観ることを推奨します。迫力のある画が多いので、単純に視覚的な面で楽しめる作品ではあるのですが、予習しておかないと作品内に込められた膨大なファンサービスを取り逃すことになります。それはもう、大きな損失です。実際にそんな人を目撃したら、「お前は何をしに来たんだ」と問い詰めたくなる。小一時間、問い詰めたい(厄介オタク感)。

 というのは半分……1割くらいは冗談ですが、まあそれはそれ。100%楽しみたかったら、1作目を観るしかねー訳です。2時間弱の映画なんだからそんなに重くないし、モノが名作だから得しかない。良いから観よう、ね?

 前置きはこれくらいにして、キャストを見ていきましょう。
 主役、ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル役はもちろんトム・クルーズ。本作のストーリーが「不可能任務」感が強かったので、「おはようハント君」しそうな気配が凄かった。いや、これは言いがかりじゃないんです。パンフにも「絶対不可能な任務」って書いてありましたもん。俺は悪くない。

 んで、ヒロインは二人います。一人は、ジェニファー・コネリー演じるペニー・ベンジャミン。一作目で名前だけ出ていたそうですが、ぼくは全然気が付かなかった(笑)。司令官の娘だそうです。

 そんでもって、二人目がアイスマン。ヴァル・キルマー扮する、トム・“アイスマン”・カザンスキー海軍大将です。いや、これもホント冗談なんかじゃないんですよ。マジのマジ。あなたね、「会いたい」「今そういう気分じゃない」「頼んではいない(=命令だぞ)」なんてやり取りをマーヴェリックとやっているんですよ。んでもって、そこからの女房役っぷり。当人が映っている尺は上映時間の数パーセント程度かも知れませんが、彼の役柄は終始、「正妻」といった感じでした。良いから見てこい。本当だから。

2.Outline
 さて。感想を語りたい欲が爆発しそうなので、今回の粗筋は公式HPからの引用です。『No Time to Die』の時もそうだったじゃないかって? 知らんな……。

 Quote
 アメリカのエリート・パイロットチーム”トップガン”。
かつてない世界の危機を回避する、絶対不可能な【極秘ミッション】に直面していた。ミッション達成のため、チームに加わったのは、トップガン史上最高のパイロットでありながら、常識破りな性格で組織から追いやられた”マーヴェリック”(トム・クルーズ)だった。
なぜ彼は、新世代トップガンとともにこのミッションに命を懸けるのか?
タイムリミットは、すぐそこに迫っていた——。
 Unquote

※以下、ネタバレ要素を含みます。

3.Sentiments
 まず話したいのは、本作の予告編について。
 誰も死なせたくないっていう台詞からの、弔銃と棺のカット、そして撃墜されるスーパーホーネット……これ絶対、マーヴェリックが訓練したメンバーが死ぬやつだと思うじゃないですか。ぼくは思いました。完全にミスリードに乗せられた感じですね。恥ずかしい。

 実際は、棺に納められていたのは病死したアイスマンな訳ですが、死の直前までマーヴェリックを励ます姿はヒロインのそれでした(また言う)。いや、同じ目線でマーヴェリックの背中を押せるキャラ、他にいませんからね。にしても、死んだヒロインの遺言を守って戦う主人公ってサイコーに王道じゃない?

 あとトレーラーを観た時点で、グースの息子・ルースターはまずレーダー要員じゃないだろうなとは思っていました。グースの死の経緯から考えて、「操縦は自分でやる」という風に考えるのは自然な流れです。これ踏まえると、終盤で彼がレーダー要員をやったのはマーヴェリックに対する「赦し」のようにも思えます。とまあ、予告編についてはこんなところですかね。

 んじゃまあ、本編の話をしましょうか。
繰り返しになりますが、本作はファンサービスの塊です。MAXで三十余年待ったファンへのご褒美と言って良い。ヤな言い方をすると、「内輪ネタ」って表現になりますが、こんだけのヒット作なら許されます。許した。

 ド頭から「Top Gun Anthem」からの「Danger Zone」。んでもって、スクリーンでは戦闘機がバカスカ離着陸。「おっ立つぜ(訳:戸田奈津子)」。ぼくとしては蒸気式カタパルトが派手にモクモクやってるのが見たかったんですが、そこはやむなし。

 ロッカーにグースとの写真が大量に貼ってあるのも、ウンウンって頷いて観てました。一作目でマーヴェリックは、事故のトラウマを振り切って彼の認識票を捨てていましたが、それは別にグースを忘れようとしていた訳ではありません。というか、めちゃくちゃ引きずってます。ことあるごとに「Talk to me, Goose.」(この台詞、和訳だとどれもしっくりこないの日本語の限界だと思うんだけど、どう?)って言うし。

 お前、他人には「忘れろ、忘れろ」って言う癖にお前~ってなったのは、ぼくだけじゃないはずです。彼らの言う「忘れろ」は遺された者への慰めであって、実のところは死者を忘却するつもりはさらさら無いんだと思います。こういう二重思考ダブルシンク的なのは現実でも大事かもしれない。いや、役に立てたくはないけども。

 あと触れておきたいのは、F-14トムキャットの出番ですよね。前半のシーンで敵拠点に「年代物のF-14がある」って台詞が出た時点で、勘のいい奴は気が付きます。「これ絶対、鹵獲する流れだろ。そういうことだろ?」って。

 第五世代戦闘機相手に大立ち回りを演じ、満身創痍の状態で追い回されているトムキャットをスーパーホーネットが助けに来る展開は「そうそう、これこれ。これが欲しかったんだよ」となりました。グースの台詞を、ルースターがそれと知らずに口にしたのも良いですよね。文句なしの欲張りセットでした。ありがとう、トム。

4.Tips
・試験機墜落後のバーでのシーン。「ここはどこ?」「地球だよ」のやり取りは笑った。
・みんなが口々に言う「その目つき」って何だったんだろ? いや、言わんとすることは分かるがやや唐突だなって。
・あくまで、マーヴェリックとルースターの間にある禍根は、願書を破棄したことであって、グースの死じゃないというのは“巧い”落とし所だと思った。こういう見方は、純粋じゃないので控えたい所だが……。

〈2022.6.23追記〉

後日、4DX/吹替え版を視聴。

アフターバーナーで首を焼かれたり、機銃で足を撃たれたりした。あと、火薬(を模した匂い)も凄い。水も掛かる。

被弾した時、肩に本物の衝撃を受け、「これが4DX!!」「I'm hit!!」とか思ってたら隣の人のワガママボディだったのは良い思い出。

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