見出し画像

【ティアラメンツ】調整と構築の遷移

 いるかです。
 久しぶりに筆を執りました。
 先日8/13(土)に東京都板橋区で開催されたはっちcs3人チーム戦に出場しました。
 結果は惜しくもベスト16と奮いませんでしたが、全員が納得する強い【ティアラメンツ】デッキの構築完成とそれに至った経緯が「チーム戦」の醍醐味と呼べる濃い経験だったため、共有できればと思います。
 思考の整理を目的に忘備録としての役割でまとめています。カードの採用や、環境メタといった部分が何度も繰り返しでてきます。時折、構築論とは関係のない登場人物のエピソードがあります。物語としてはさほど面白みが無いかもしれません。
 最後のサイドチェンジ項を除き無料です。

 2022年7月から始まった新制限も早2か月が経過し、まもなく9月半ばには2022年10月からの新制限が発表されます。違った環境へ移り変わる前に、残りの環境において【ティアラメンツ】を触るプレイヤーのみなさんがよりゲームを楽しむのに幾分か貢献できればいいなと思い、書き連ねました。

0.導入

-登場人物紹介
・いるか(広島):チームメンバーA
 筆者。脳筋。特技は🎲の出目1を出すこと。

(画像はあくまでイメージです)

・クシャノ(広島):チームメンバーB
 メガネ。LINEアイコンは明後日の方角向いている男。ゲテモノ好き。

(画像は悪魔でイメージです)

・ひょっとこ(岡山):チームメンバーC
 男たらし。男を愛し、男に愛される男。HAREを好む。

(画像は悪魔です)

早い段階でチームメンバー3人が決まりました。

・かい君(広島):調整相手
 広島県屈指の強プレイヤー。新幹線さえ通っていれば全国津々浦々強くなるためにcs遠征する魔人。

(画像はイメージです)

・カワグチ(広島):調整相手
 家庭を持ちながらも遊戯王を続ける魔人。広い視野と知識を兼ね備えつつ、サイコパスが稀に垣間見える奥の深いプレイヤー。

(イメージは悪魔です)

・よしだ(広島):調整相手 <@Ysd_56>
 天皇。陛下。イケメン。顔。生まれたときから優勝している男。三度の飯より女。かっこいい。広島のエース。ティアラメンツを使用してcs4連続優勝と実力も札付き。2022年日本選手権準優勝。

(イケメンです)

1.新規テーマと新規カードの参入

1-1.DARKWING BLASTの発売

 物語は2022年7月16日(土)まで遡ります。
 デッキ構築を変える要素となったテーマを大く収録したDARKWING BLASTの発売日。

 岡山県で開催された非公認大会:鬼ヶ島csから始まります。チームメンバーはいるか・ひょっとこ・よしだの3名で出場し、見事優勝を決めました。

 翌日、連戦にあたる7/17(日)、私自身も運営に携わった非公認大会:吉備乃國csが開催。
 前日に優勝したチームメンバーから筆者のいるかがout。カワグチinで連日の優勝。

 以前から同じグループで構築やプレイングの内容は共有していた4人で実質2連優勝を飾ることができました。

 この当時から大会で上位入賞するデッキには【ティアラメンツ】【スプライト】の2テーマが多数を占めており、決勝に関しては3面【ティアラメンツ】ミラーだったりと、中四国地方では【ティアラメンツ】を好んで使うプレイヤーが多い所感です。
 環境に存在するテーマの中でも【現世と冥界の逆転】ギミックを搭載した、いわゆる【イシズティアラメンツ】は<古尖兵ケルベク><古衛兵アギド>の墓地肥やし+盤面への干渉を兼ね備えており、他のテーマには真似できないほど莫大なアドバンテージを瞬時に産むことができます。
 また、同時に相手のデッキからカードを墓地に落とす、いわゆる”デッキ破壊”をすることでギミックを否定し、デッキの回転を壊したりデッキ切れ勝利を狙うこともできます。
 比較して【スプライト】は明確なメタカードが存在しないものの、ティアラメンツのポテンシャルと比較したときにどうしても見劣りする点、サイドデッキから<ディメンション・アトラクター>や<次元の裂け目>といったメタカードを搭載して【ティアラメンツ】対面をようやく五分に持ち込める印象もあり、メイン戦での先後の選択権がマッチ単位の勝利に直結しやすい部分から長い回戦を戦う上で不安定であると考えました。
 以上の観点から、デッキ選択は自然に【イシズティアラメンツ】の構築と練度を突き詰める方向へ。

 以前から上位に台頭していたデッキではありましたが、その中でも構築は様々でした。

  • 【神巫軸】<宣告者の神巫>を搭載。EXに<フルール・ド・バロネス><旧神ヌトス>を採用した構築。次元障壁を重く見てexから多岐にわたる攻めができる。

  • 【沼地軸】<沼地の魔神王><融合>のセットを搭載。EXに<ガーディアン・キマイラ>を採用した構築。後手からの盤面への干渉と融合の柔軟性が高い。

  • 【シャドール軸】シャドール下級モンスターのセットを搭載。EXに<エルシャドール・ミドラーシュ>を採用、盤面の制圧力に加えて、墓地落としのバリューが高め。

  • 【壊獣軸】壊獣ギミックを複数採用。<海亀壊獣ガメシエル><妨げられた壊獣の眠り>で相手の盤面のシステムモンスターへの干渉を強く意識した構築。

  • 【宝玉軸】<おろかな副葬>などを絡めて墓地に落とした<救いの架け橋>を起点にする構築。1枚から<壱世壊-ペルレイノ>+★4が並ぶのが強み。

 網羅できているかわかりませんが、大きくわけて上記のような構築に分類していました。
 また、構築の方向性とは少し異なりますが、【深淵の獣】や<クシャトリラ・フェンリル>の採用有無が介入し始めたこともあり、個人的には良い意味で環境に影響を与えたパックの発売だったのではないかと捉えています。
 【ティアラメンツ】においては、<ティアラメンツ・ルルカロス><スプライト・スプリンド>の参戦に伴い、ゲーム性と構築がさらに難しくなったような印象です。
 次章からは新規カードがゲームに及ぼした影響について少しずつまとめはじめます。ティアラメンツデッキで採用されているカードや基礎的な知識といった、既に先駆者たちが世に放った別のnoteでご確認できると思います。
 あくまでこのnoteの役割は、はっちcsに持参した構築の成り立ちと解説をするものです。もしかすると共通効果や各カードの採用枚数、効果の把握ができていないと読み進めるのが難しいかもしれません。
 また、一度紹介したカードは以降略称を用いて運用します。なるべく読みやすいように推敲してはいますが、一部分かりづらい表現をしている場合がございます。ご了承ください。

1-2.ティアラメンツ・ルルカロス

 まず、最も構築に影響を及ぼしたのは間違いなくルルカロスの登場です。融合素材に<ティアラメンツ・キトカロス>を指定するため、沼地の魔神王の代用効果がより生きるようになりました。
 ミラー戦(※同じデッキカテゴリー同士のマッチを、鏡に映った己と対峙することに例えて)において、3回目の融合無効妨害をメインギミックで構えることができます。詳しく解説します。
 最もアドバンテージを生む墓地融合効果は原則止められた方が負けに繋がりやすい。逆を返せば止める手段を多く持つプレイヤーがゲームを制しやすくなります。
 しかし、新規カード参戦前は

  • (A)<剣神官ムドラ>と<宿神像ケルドウ>で墓地から融合する効果を発動したティアラメンツを戻す

  • (B)墓地に<現世と冥界の逆転>を構えた状態の<墓守の罠>を維持

  • (C)<深淵に潜む者>

 この妨害が一般的でした。(B・C)は少し準備や展開の要求値が高まるのが懸念。+@で妨害を構えてやっと安心できるくらい。
 一度に3種の墓地融合を使用してもムドラ・ケルドウで戻されるだけでアドバンテージが取れないといった相手への墓地干渉がミラーにおいては重要でした。
 ここで一度、ミラーにおいて重要な妨害の基礎について確認を挟みます。
 ムドラ・ケルドウを躱すための多段階に分けたティアラメンツの墓地効果起動です。

メイルゥ効果後のチェーン処理

 画像下側のプレイヤーをA、もう一方をBとしましょう。
 Bは墓地に落ちたティアラメンツ2種のうち、両方発動しても残りのデッキ内に残っている枚数が少ないカードから起動するのがセオリーです。
 Aはケルドウを除外して起動した<ティアラメンツ・シェイレーン>をデッキに戻す効果を発動して妨害。

アギド効果後のチェーン処理

 チェーン処理が解決。さらにケルベクが落ちたことにより、追加でデッキからカードを墓地に送る効果を発動することができます。Aはムドラを除外して起動した<ティアラメンツ・ハゥフニス>をデッキに戻す効果を発動して妨害。

ケルベク効果後のチェーン

 チェーン処理が解決。本来のミラーだと、ここで起動した3種目のティアラメンツの融合効果を止める手段は<墓穴の指名者><D.D.クロウ><朱光の宣告者>といったメインギミック外のカードを要求されていました。
 先攻展開でほぼルルカロスが成立するため、理論上では計3回の墓地効果を止めることが可能となりました。
 上記のパターンは一連の処理の途中で段階的に発動することができるあくまで一例です。 ケルベク、アギドの効果を使わずとも召喚権・シェイレーンなどを絡めれば躱して融合効果を通したり、深淵に潜む者の効果を適用しておいたり、事前に相手の妨害を減らしておくことでこれは容易に突破することもできます。
 ※ルルカロスが発動を無効にしたカードを「破壊する」処理が行えなかった場合、その後に「ティアラメンツカードを墓地に送る」処理は行われません。<竜星の九支>と同じ裁定。

1-3.【深淵の獣】

 ティアラメンツの先攻展開に対してDARKWING BLAST同梱の【深淵の獣】が妨害の役割を担います。特に<深淵の獣マグナムート>はティアラメンツの融合効果を妨害するだけでなく、場に出た後に後続の確保もできます。ティアラメンツの墓地で発動する融合効果が起動するタイミングは、基本的に起動したプレイヤーの場にモンスターがいることが多いため、誘発即時効果として扱うことが可能です。

1-4.クシャトリラ・フェンリル

 令和のパンクラと呼ばれるほど単体スペック最高クラスのモンスター。
 ・比較的緩い条件下での自己ss効果
 ・同名含む後続を手札に加えるサーチ効果
 ・優秀な除去能力
 ・恵まれたステータスとレベル
 いつ規制がかけられてもおかしくないほど完結した性能を持っています。有利不利を覆すパワーを秘めているカードです。

1-5.壱世壊を劈く弦声

 落とすカードでもあり、落とされても強いカードとして複数枚入れた構築が主流となりました。単体では機能しないものの、ティアラメンツと併せて使うことでハゥフニスやうららの介入を躱す、ペルレイノで融合召喚したカレイドハートを破壊し、自己蘇生効果でこのカードを落とすことで罠へのアクセスができるといった柔軟性に富んだカードです。何より攻撃力500デバフがターンへの干渉となる部分もワンキルのハードルが上がります。

1-6.スプライト・スプリンド

 <暗影の闇霊使いダルク><崔嵬の地霊使いアウス>で相手の妨害を踏んだあとにデッキからメイルゥを落とすことができるモンスター。
 エルフ+スプリンド+エクシーズモンスターを並べると、相手ターンに墓地から蘇生したGや朱光を手札に戻すこともできるオシャレポイントの高いモンスター。

 これらのカードがティアラメンツの構築を大きく変えるきっかけとなりました。

2.陛下の快進撃

 新規カードの情報が出てから発売を迎えるまでの構築は、増殖するGに対する受けが良いため、フェンリルをメインに採用した構築を軸にデッキを考えていました。
 しかし、前述の"構築軸"でどれが解答にあたるのか答えに辿り着くことはできていませんでした。7/16(土)・7/17(日)の連戦で優勝した構築それぞれを比較すると分かりやすいと思います。
 何より、2022年8月ではサイドデッキはおろかメインデッキにすら搭載が主流の【深淵の獣】を優勝者は誰一人採用していませんでした。

 時は流れて7/30(土) 。筆者のいるかは過去10回主催したcsで優勝したプレイヤー及びチームメンバーを無料で招待する遊泳杯という大会を広島県で開催しました。
 翌日7/31(日)は同じく広島県で酒都csが開催。
 我らが広島のエース、よしださんの快進撃は留まるところを知りません。

 神巫を搭載したティアラメンツに強いこだわりを持っていた陛下が沼地・巫女不採用の構築で圧倒的勝率を引っさげ連日の優勝。鬼ヶ島csから通算4cs連続優勝という偉業を達成した彼の横顔は既に次の戦いを見据えているようでした。
 連戦を終え帰路の途中で連戦を振り返る中、陛下の口から衝撃の台詞が飛び出します。

 「ミラーは2本目以降アギドケルベク全抜きしてました。」

 目から鱗とはこのことか。
 確かにサイドチェンジでアギドやケルベクの枚数をいじることはあっても全て抜くという発想に新弾発売後2週間で到達した者が世界を見渡してもそういないでしょう。
 ケルベクアギドの墓地効果起動は性質上ミラーにおいて相手にのみアドバンテージを与えてしまう可能性もある、それこそ博打に近いカードです。その枠を深淵の獣に割き、天使を減らすことで抜く要素となる朱光も同時に抜け、深淵・キトカロスといったミラーでテンポの差が開くカードへ無難に強いメタを投入するこのサイドチェンジはまさに芸術でした。顔かっこいい。

 7月終盤に差し掛かると調整環境下でも【深淵の獣】の性能が環境に対してかなり優位という認識が広まり、サイドボードからの採用やメインからの採用も見え始めました。
 

3.はっちcsに向けた本格的な調整

3-1.情報共有と意見交換

 少々脱線しました。本題に戻りましょう。紆余曲折あって、「よしださん日本選手権優勝おめでとう」チームはなんとかはっちcsの参加することが可能となりました。
 ここで一つ大きな障壁がありました。メンバーのひょっとこが同じ調整環境の場に集まれないこと。

 広島県と岡山県は隣接する県ですが、住まいはおよそ180kmほど離れています。手っ取り早く知識を共有するために、最も調整で対人する時間が多いいるかが負け方・勝ち方を事細かくまとめ、設けたLINEグループで逐一共有していました。 過去に出た疑問はここでは紹介しきれないほど多種多様でした。

  • 関東ではイシズ型の入賞率が落ち、スプライトの入賞率が上がっているが、それに向けた構築の変化が必要か?

  • 深淵の獣が重く、ティアラメンツが環境的に劣勢か?

  • イシズナチュルはどうか?

  • 烙印ビーステッドが対ティアラメンツとして有効か?

 素朴な疑問から込み入った疑問まで。特にカワグチは様々な視点から意見や疑問を投げかけてくれ、何度も立ち止まって構築や方針を見直すきっかけをくれました。
 前述の吉備乃國csで【沼地・神巫両採用軸】を一人で煮詰めて優勝に導くほど、特異な着眼点や豊富な知識を持つ彼のおかげで一つずつ選択肢を潰していくことができました。
 本当に子育てしながら遊戯王やっているのか疑問になるくらいすごい人です。感謝。
 ティアラメンツはデッキの性質上、メタがはっきりしてはいますがやはりデッキパワーが抜きん出ていることは確かでした。繰り返し現状のプールとはっちcsでのデッキ分布を考えた結果、メイン構築はミラーで勝率100%を取れるように、サイドで【スプライト】含む他のデッキを見るという方針が固まりつつありました。

3-2.【シャドール軸】

 7月末から8月にかけて最初に考えていた構築は【シャドール軸】。ミドラーシュ+弦声で制圧するのを目標とします。後手も盤面を深淵+アーゼウスで返した後、ミドラーシュで蓋をすることで封殺することができます。
 <シャドール・ドラゴン>の破壊効果で相手の<破壊剣-ドラゴンバスターブレード>に触ることができるため【スプライト】の後手にも抗う術がある、苦手対面の【エクソシスター】にもミドラーシュが強く刺さるなど広い対面で優位に立てることも強みでした。
 しかし、シャドールギミックの弱点である「手札にシャドールを引きすぎると弱い」を克服するに至りませんでした。沼地ギミックを入れるとさらに手札の要求値が上がること、結局先攻の深淵を突破する手段にはならないこと、落ちに依存するため不安定なこと。流行りの【深淵の獣】の打点がシャドールギミックでは解決に繋がっておらず、弦声にアクセスできていないと妨害が簡単に突破されやすいこと。
 以上の理由からシャドールギミックを採用するには至りませんでした。

3-2.【神巫軸】

 神巫の強みはデッキ内のイシズギミックに触れやすい点です。☆2であるため<スプライト・エルフ>との噛み合いも良く、☆4が横に並びやすいことからバロネスが成立しやすい性能も優秀です。天使族であるため朱光の相方にもなれます。
 しかし、サイドデッキに<溶岩魔獣ラヴァ・ゴーレム><ラーの翼神竜-球体形>の流行、召喚権のだぶつき、バロネス成立後のリソースの乏しさから優先順位が低下。神巫を採用するだけでその性能を担保するためにEXを割かないといけないことから不採用となりました。

3-3.【沼地軸】

 沼地が水族であること、キトカロスの代用となるため<浮幽さくら>でキトカロスを飛ばされても妨害が成立すること、融合スタートすることでさくらを打たれる前にキトカロス成立ができること、<暗黒界の龍神王グラファ><ミレニアムアイズ・サクリファイス>も併せて成立が狙えること。後手からのキマイラを使った盤面除去が起死回生のチャンスを狙えることから評価し、【沼地軸】をベースにデッキ構築を進めました。

4.新規ストラクチャーデッキの参入

 はっちcsまで残り1週間の8/6(土)にストラクチャーデッキR-デビルズゲート-が発売されました。
 こと【沼地軸】においては、王グラファがどの対面にも強い妨害として機能するため、是非とも採用枠を捻出したいカードでした。
 その当時の構築がこちら。

 メインデッキからミラーで足かせになりやすいカードが数を減らし、ケルドウのサーチ先で妨害となりうるケルベク1枚のみ。さらには【スプライト】にはエルフを、ミラーではキトカロスを飛ばすことで優位にゲームを進めることができることからさくらをメインから採用した構築を主体に考察していました。
 一方その頃、、、

 「ティアラメンツ飽きたんですよねー」

とよしださん。
 かっこいいドラゴンを並べるデッキをいるか含めた広島の調整相手に披露してくれていました。
 顔かっこいい。
 そんな彼が日本選手権で活躍するのはまた別の話。まだご存知ないあなたは今すぐKOMAMIのyoutubeチャンネルで配信された【遊戯王 日本選手権】動画をチェックだ!

5.手札誘発の厳選

誘発でキマるクシャノの図

 浮幽さくら。別名:麻薬。ドラッグ。闇属性のため+ティアラメンツとで<沼地のドロゴン>の融合素材になれる点も優秀。8月初旬からサイドデッキに多く確認され始めたことから、このカードの採用を考察。
 「後手の誘発として打った際のリターンが最もでかいのでは」という観点からメインデッキに投入して調整を繰り返しました。
 最善手を模索するため対戦中の巻き戻しは何度か繰り返すものの調整のミラーのマッチ戦で0勝7敗。。。対面のかい君が強すぎるのはさておき、このままはっちcsに行っても勝てそうにないことは明白でした。

 同じチームメンバーのクシャノ・ひょっとこと、ほぼ毎日構築を議論していました。さくらでキトカロスを飛ばした時の優越感はまさに麻薬そのもの。ただ、調整で負け続けた私が実践せずに机上で考察している他の二人に言語化して説明する能力が無い状態でした。
 少しチーム内での方針や意見が合わない瞬間が何度かあり、

「これはまずいな…」

 と、肌で感じてはいたものの、説得できるほどのエビデンスと根拠が準備できず、一人でもどかしい思いをしたことも。。。
 他のメンバーは「さくら最強!卍!」って騒いでいるが、私はひたすらさくら採用に疑問を持ってなんとか弱い証明をできないか模索、という疎外感を感じた苦しい時期でした。
 はっちcsが終わってからクシャノと当時の議論を振り返っていましたが、結果的にここで壁にぶつかったことで後述のさくらの評価に全員が納得できる域まで到達できた貴重な経験でした。
 かの有名なよしださんから頂いたありがたい構築案から、ケルベクアギドは不採用。それに伴って朱光は不採用になりました。
 他の手札誘発と比較して発動条件が重いことや、特に対ミラーを重視したメインデッキの方針・構築にそぐわないことから別の手札誘発(主にさくら)を採用した方が良い、と。
 融合は基本的に通してもらえない、サイドでメタを張られる可能性が高い。
 →こちら側は通らなった時に追う勝ち筋:最短でライフを切りに行く打点となるモンスターを並べる。これを基本方針とし、メインからフェンリル・ビーステッドを必要枚数採用した構築が一旦完成しました。

 そうこうするうちに8月10日の勤務を終えて盆休み突入。ちなみに筆者のいるかは転職を経て社会人初の盆休み。
 構築に疑問を持ちながらもやはり実践で試すのが一番か、と。なら早めに東京入りして試して意見を交わす場を設けるのが最善と判断。
 構築を眺めても、「コレジャナイ」感が拭えないまま…

 日付がかわって8月11日(木・祝)。朝5時起床。
 クシャノ&いるかは東京の葛西で開かれるサイヤcs出場に向けて支度。前日遅くまで調整していたいるか宅を出発。現在5時30分。
 先攻 改札を通るクシャノ。
 後攻 改札を通ろうとするいるか。

・・・ちょっとまて。俺の切符どこぞ?

 改札を通ろうとカバンを開けるも切符の姿が見当たらず滝汗。電車の時間まで残り2分。ここでまさかのいるか別行動で一時帰宅。
 何をやっているんだ社会人5年目よ。

 遠征早朝からADHD全開のいるか。プロフィール欄に付け加えるのを忘れておりました。せっかく一緒に準備したにも関わらず別行動。ようやく会ったのは6時間後の会場現地でした。。。
 一旦心をリセット。とりあえず今日試してプレイと構築考え直すかと1回戦を始めたいるか。
 【烙印深淵の獣】デッキ使うお相手に先攻を取られ、初手に来た打つ場所が無くて震えるさくらとともに手札誘発とミラジェイドで蹂躙被害。
 1本目畳もうとした次の瞬間、主催さんからお声かけ。ここに来てまさかのレシピ提出忘れ。
 「シングルロススタートからそのまま対戦を続けてください」
 2秒後 負け
 GG
 ADHD炸裂にも程がある。3勝1敗で予選9位オポ落ち。10日に東京入りして様子を見に来たかい君が呆れて笑っていたのが印象的でした。
 ちなみにほぼ同じ構築使ったクシャノは2連でペンデュラムデッキ踏んで2-2で二人仲良く予選落ち。幸先が不安すぎる1日でした。
 サイヤさんにはご迷惑をおかけしました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
 (サブトナメはミラー・スプライト・スプライトに勝って一応優勝。)
 その日使用した構築がこちら。

8/11(木) サイヤcs 3勝1敗 予選9位

6.サイヤcsを経て

 ここから構築の完成に向けて急加速します。
 サイヤcsを振り返り、ホテルに戻った我々は再びデッキの構築、それぞれのパーツの採用理由から改めて考察しました。
 やはり論点は”さくらは本当に強いのか”。打った試合で勝てるゲームもあれば勝てないゲームもありました。なぜなら、さくらで飛ばすのはあくまで潤滑油であるキトカロスが主で、妨害先であるルルカロスやカレイドハートは健在、さらには深淵やサリーク、ペルレイノといった妨害を消す役割を1枚で担えないこと。
 さらに、さくらを打つことでこちらの手札は-1されている。そこから展開を通していくにも相手側がビーステッドや先攻札である<三戦の才><墓穴の指名者>で妨害された場合にこちらの融合効果が通らなければ相手にさくらを打たれていることと遜色ないこと。打点が準備できないと押し負けてしまう点も気になりました。
 【沼地軸】で展開を強くする方針も、後手の手札-1されるさくらの性質上、残りの手札の要求値が上がってしまうことも懸念でした。かといってケルベクアギドを採用すると、相手にアドバンテージを与える隙を見せる。
 まさかまさかの判断でしたが、ここまで煮詰めた【沼地軸】とメインさくら採用を一旦全て捨てました。
 サイヤcsに出場した際の【沼地軸】構築はエクストラデッキに入れたいカードが多く、ヴァレルロード・ドラゴンの採用を切っていました。
 しかし、ペルレイノ・無限・ドルイドヴルムが無いと相手のお茶を濁しに来たバグースカを処理する回答がなく、その結果負けたゲームがあったため、その点も解消する必要がありました。
 そもそもさくらを打たれても勝てるのであれば不純物やムラができる<融合>ギミックは抜いても差し支えない。であれば三戦やおろかな埋葬といった先後関わらず安定する補助カードを優先した方が全体の勝率は上がりやすいことにも気づきました。また、増殖するG含め、広い対面に打つ機会がある<灰流うらら>に注目。

8/11(木) 夜時点

 まさかの一周回った神巫も沼地も採用しない構築にたどり着くとは思っていませんでした。ケルベクアギドを採用しないことで、多少のムラはできるもののほぼどこを切り取っても安定感のある手札が揃う構築にたどり着きつつありました。残るサイドの2枠をどうするか、悩みながらその日は就寝。まさか革新的な閃きが翌朝来るとは誰も予想していませんでした。

7.大調整会

 8/12(金)。この日は、広島・岡山のプレイヤーで集まって会議室を借り、昼から夜まで調整に重ねる調整。

 その日 朝起きたいるかは思い出した
 ヤツに支配されていた恐怖を・・・
 召喚回数の中でもがいていた屈辱を・・・

 環境からめっきり姿を消したニビル。一周回って評価できるのではないかと思いつきました。【スプライト】はスプリンドから<素早いアンコウ>につなげて盤面にモンスターの数を増やす動きが多く、警戒されていない中でも動きを通しやすいのでは。さらに+うらら、+無限の併せ持ちも<ギガンティック・スプライト>の効果に重ね打ちすることで最も破壊力を出すことができるのではないかと考えました。
 また、サイヤcsでクシャノがボコボコにされたペンデュラムテーマの動き、【エクソシスター】の<エクソシスター・マニフィカ>を成立させる動きなど。広い対面に対して打てる点も評価。
 先出ししたこちらの<ティアラメンツ・ハゥフニス>を巻き込みながら出せることでハゥフニスの墓地効果を狙うことができる点も相性の良い性質を持っています。
 サイドデッキの最後のパーツとして先攻展開を助長する<壱世壊の澄み渡る残響>といった罠カードばかり探していましたが、先攻で1枚指しておいても相手のG突っ張に対する返し札の役割を狙えたりと様々な局面で活躍できる、と予想しました。

8.最終調整

 調整会前にひょっとこと合流。ケルベクアギド入りのミラー構築と対戦してもメインのビーステッドが目まぐるしく活躍して負けなし。
 さくらを抜いても差し支えなく、むしろうららや無限泡影が広い対面で妨害を担ってくれました。
 最後の最後で今一度構築を改めて見直してひと工夫。気になったのは三戦・うららといったカードがダブる懸念をいかに解消するか。
①三戦で最も使うコントロール奪取が強いのであればその役割を担える精神操作が連打できて強いのではないか
②そもそもGの受けが良いデッキで返しの妨害としてはパワーが低いうららは3枚必要か
③6枚目のドローで奇跡を掴める可能性を含んだ無限泡影。デッキカテゴリーを誤認してケルベクアギドの起動を誘発できるのではないか
 この点を最終調整。サイドチェンジとの枚数の入れ替えまで綿密に打ち合わせて完成したデッキがこちらです。

 手札内のカードのダブりはさておき、どこを切り取っても妨害or初動まみれのこの構築に辿り着くことができました。

9.結果

 3人共優勝する自信はありました。構築に誰よりも自信はありました。結果は残念ながらベスト16で散りました。 

 力量さえ伴っていれば勝ててたゲームが何度かあったため、めちゃくちゃ悔しいです。
 当日の大会レポやチーム内でのやり取り、需要があれば追記で載せようと考えています。
 ひょっとこがトナメ1回戦で【スプライト】と対戦した動画卓の記録が残っています。構築の集大成と洗練されたプレイが記録されているので、もし時間があれば見てみて下さい。

 最後に各対面ごとで考えたサイドデッキの入れ替えを記録して締めます。最後のサイドチェンジの部分のみ有料としています。
 このnote、少しでも良いと思ってくださいましたら投げ銭してくれると大変喜び、次のnote作成のモチベーションに繋がります✨
 はっちcsは毎年開催してくれるみたいなので、来年は同じメンバーで優勝できるようにもっと強くなります。
 構築についての感想や質問など、みなさんの意見があれば、DMでご連絡いただけると幸いです。
 構築論や採用カードとは関係ない話も含めて長々とお付き合いいただきありがとうございました。
 

10.サイドチェンジ

ここから先は

2,324字 / 6画像

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?