粋なカッコよさ
先日行った居酒屋の話をしよう。
カウンターが10席弱、ママさんが一人で切り盛りしていらっしゃる小料理屋というか居酒屋。
知人がオススメしてくれたから入店したものの、もし何も知らない状態だったら絶対に入れない隠れ家的な店。
そこのおでんも、天ぷらも、おにぎりも絶品で、我々は料理と酒に舌鼓を打っていた。
がらりと扉が開いて、御婦人が一人。
常連さんではないようで、私と2つ隣の席に座られた。
メニューを一通り眺めた御婦人は、1杯目を注文した時
「ママさんにも」
と付け加えていた。
その御婦人と、御婦人が御馳走する一杯でママさんが乾杯する光景を横目で眺めていた私は、これが粋な飲み方というやつか、と感銘と憧れに近い感情を抱いた。
この光景、あまりカフェでは見かけたことはない。
けれども海外では、お客さんがレジで自分の1つ後ろに並んだ人に御馳走する、なんてこともあるらしい。
こういう方々がカッコよく見えるのは、決してその行動がカッコいいからではなく、「確固とした意思で御馳走する」という芯のようなものが見えるからカッコいいのかもしれない。
それが良いことであると、迷わないカッコよさ。
大人になれば粋なカッコよさを手に入れられるものだとばかり思っていた。
けれども、そうではなかったらしい。
未だに「粋」というものは板についていないし、「粋」がなんたるかも分からない。
もうしばらく時間がかかりそうだ。
だから今はまだ、粋な大人たちから学び真似ぼうと思う。
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