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エッセイ:お利口なスマホ

 スマホってすごいな、って話。

 つい先日のこと。私は、毎朝マイナスまで下がっているモチベーションを少しでも上げるため、出勤時は音楽を聴いている。
 体力もメンタルも限界に近い金曜日、一曲目に選んだのは、新しい学校のリーダーズ『青春を切り裂く波動』。
 思わず走り出したくなるような疾走感あるメロディがたまらない。走るのは嫌いだけど、この曲を聴きながらであれば、気持ちよく走れそうな気がする。

 私は基本的に音楽はシャッフル再生をしているので、二曲目以降は完全なランダムだ。そんななか、次に流れ始めたのは、レミオロメン『青春の光』。おお、青春繋がり…!
 こちらの青春は、疾走感!爽やか!というよりも、なんとなく若さゆえの重苦しさや息苦しさがあるような気がする。真冬に聴いても、真夏の暑さを感じさせるのがこの曲のすごいところ。

 こんなふうに、完全ランダムなシャッフル再生をしているのに、繋がりを感じさせるような曲が続くと嬉しくなってくる。
 レミオロメンの曲で、「これとこれは同じ世界線だろうな」と勝手に解釈しているものがいくつかあるのだが、それが続いて、しかも時系列順(私の妄想の時系列だが)だったりするとかなり感動する。
 私のスマホ、わかってんじゃん!と思う。

 それはYouTubeでも。
 M-1グランプリ2023決勝戦のネタが、ようやくYouTubeにアップされた。
 私はそれを知らなかったのだが、YouTubeアプリを開いたとき、オススメ動画のいちばん上に令和ロマンの動画がきていたのだ。この時点で、私のスマホ、有能。
 もちろん、観る。
 そして、関連動画。そのいちばん上にあったのは、ヤーレンズ。そうそう。令和ロマンを観たら、次はヤーレンズだよな。
 その次、いちばん上にあったのは、真空ジェシカ!これは、すごい!
 私のなかで、M-1の三位は真空ジェシカだったからだ(もちろん、エンゾも見せ算も面白かったし大好き)。私が観たいものが、私のスマホにはお見通し、というわけか。

 スマホってすごい。AIってすごい。AIが小説書いたり絵を描いたりするのは大嫌いだけど、こういうところは本当にすごい。

 次々に出てくる理想的な関連動画。
 吸い寄せられる親指。始まる動画。
 消えていく時間。



 こうして我々は、スマホに人生を乗っ取られていくのでしょう。





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