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東臨70-000形 「リユース」の行方


70-000形の置き換え、もったいないの声

東臨70-000形

東京臨海高速鉄道70-000形。10連8本が1995年〜2002年に製造された、りんかい線用の車両で、JR東日本の209系ベースとなっている他、モケット交換・車内案内表示器のLCD化・ドアチャイム更新・機器更新など、他の209系とは異なり徹底的に内外装の整備が行われています。

経営計画プラン 東京臨海高速鉄道
(http://www.twr.co.jp/Portals/0/resources/plan/keieikaikaku_plan_H29.pdf)

しかし、70-000形の機器更新がまだ完了していなかった、2018年6月11日に公表された「経営改革プラン」にて、新型車両を設計し、2022年度中の導入を目指す計画があることが明らかになりました(結果的に導入時期は延期になります)

東京臨海高速鉄道 有価証券報告書(第33期)
(https://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/ednr/20230628/S100R8AT/20230628S100R8AT.pdf)

また、2023年6月に公開された有価証券報告書では、10連4本2026年3月までに導入することが明らかになっていました。

りんかい線に新型車両 71-000 形を導入します
(https://www.twr.co.jp/Portals/0/resources/info/2023/20231106_information.pdf)

そして、2023年11月6日。71-000形(10連8本)の導入による、70-000形の置き換えが発表されます。71-000形については、2025年度下期にデビューし、2027年度上期までに全8本を導入することも明かされました。

70-000形の内装
モケット更新やLCDへの換装など手が込んでいて状態が良い

車齢が若くて状態も良く、JR車ベースと好条件ながら、2025年〜2027年に撤退が決まった70-000形。かねてから鉄道ファンの間では「買い手が現れるのではないか」と予想されていましたが…。

「他社への譲渡」を含めた"リユース"

2023年6月13日。乗りものニュースから発表された記事に驚愕の文面が隠されていました。なんと、70-000形について「現時点では未定ですが『他社への譲渡』を含めて様々な可能性を検討していきます」と東臨の担当者が語ったと言うのです。

この記事を添付した乗りものニュース社の投稿や私の投稿がすぐさま拡散され、70-000形の譲渡先予想が数日間飛び交いました。


多くのファンの予想を裏切った「サステナ車両」

2022年3月期決算実績概況および
「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」の進捗
(https://ssl4.eir-parts.net/doc/9024/tdnet/2118922/00.pdf)

この当時「サステナ車両」こと自社ローカル線用の中古車両の導入を発表しており、JR東日本との包括連携強化を掲げていた、西武鉄道への譲渡が有力なのではないかとされていました。サステナ車両の条件について、当初(2022年5月)の資料では「無塗装車体(ステンレス)、VVVFインバータ制御車両等の他社からの譲受車両」とあり、どちらも合致することから間違いないと言い切るファンも居ました。

2023年度 鉄道事業設備投資計画 西武鉄道
(https://www.seiburailway.jp/file.jsp?newsroom/news/file/20230511_2023setsubitoushi.pdf)

2023年5月12日に公開された2023年度の設備投資計画では「無塗装車体(ステンレス)」の文面が外れていました。ですが「70-000形で確定ではないか」との声が大きかったことから、これに疑問を抱くファンはあまり見かけませんでした。

西武鉄道と東急電鉄・小田急電鉄「サステナ車両」を授受
各社連携して、SDGsへの貢献を加速してまいります
(https://www.seiburailway.jp/file.jsp?newsroom/news/file/20230926_sasutenatrain.pdf)

しかし、2023年9月26日。西武鉄道から明かされたサステナ車両の中身は、小田急8000形・東急9000系でした。小田急8000形は(リニューアル工事こそ受けているものの)経年40年越えかつ鋼製車ということもあり、大きな驚きをもって迎えられ、無塗装車体の文面が途中で外れたことを裏付けました。

ただ、一度は無塗装車体の車両で固めようとしていたことや、小田急8000形が6連7本の布陣だったことから「球団の例年のFA戦線の如く 70-000形(8本)の獲得に失敗したのではないか」「70-000形には先客が居たのではないか」とする意見が出ました。

70-000形は西武にとっても条件は合っていたはずで、西武を凌駕する会社が先客となっていた可能性もありそうです。では、それは一体どの会社なのでしょうか?


向かう先は「狭山湖」ではなく「玄界灘」!?

103系1500番台(画像はWikipediaコモンズより)

実は「JR九州に譲渡され、筑肥線(筑前前原〜西唐津)に導入し、103系1500番台を置き換える」との噂が、以前から掲示板やX上で数多く流れています。

103系1500番台は1982年に製造され、現在は3連5本が筑肥線(筑前前原〜西唐津)で活躍しています。しかし、103系は老朽化を理由に置き換えが日本全国でまもなく終わりつつあり、残された少数派の車両の1つとなっています。

また、JR九州の新型車両の導入状況を見ても、近年は(幹線用の)821系の減産(3連28本→ 3連10本)が行われており、苦しい経営状況であることが垣間見えます。そんな中で筑肥線の末端区間用の少数派の直流専用車両など製造している余裕は無いように見受けられる一方で、何としても老朽車かつ少数派の103系は置き換えたいところでしょう。

ですから、経年22〜29年と若い上に徹底的に内外装の整備が行われている、70-000形を「サステナ車両」として筑肥線に迎え入れるという可能性は、JR九州の経営状況や車両運用を見るととても理に適ったものだということがわかります。

103系車両を国鉄色で運行!
唐津車両センターでお披露目会を開催します!
(https://t.co/hAYqOWHhLF)

近年は国鉄時代の塗装を復刻するなど「終わりが近いこと」を匂わせる103系1500番台。もし譲渡が実現すればとんでもない騒ぎになりそうですが果たして…。


その他にも譲渡はある?

去年に両社のマスコット同士で交流があり、譲渡が有力ではないかとされている伊豆急行ですが、個人的には(更に譲渡を受けるのであれば)クロスシート・トイレを有する、209系2100番台の放出を待って引き続き譲受すると考えます。

一方で、仮に中間車も先頭車化改造する場合、多くの若年車の放出が見込めそうです。20m車が入線できるような中小私鉄から打診が来ていてもおかしくはない気がします。

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