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電車であなたが涙したら/ 「自分の持っている創造的な感性と、どのようにしてつながるか」

【詞のことば】顕在の物かき より

電車であなたが涙したら

スイスの電車なら向かいのお兄ちゃんに心配されるだろうけれど
日本の電車なら大丈夫
みんな感覚を外界から閉じているから
あなたが涙を流していても
誰も気に留めやしない
存分に泣いたらいい
憤りとその下の恐怖や悲しみがあなたの心に上がってきたら
途中の駅に置いてきたらいい
冷たくも優しい無関心の武蔵の国
あなたは誰よりもあなた自身のために
涙して笑っていればいい

2S.O
20Feb2020


【理性のことば】

 "The Artist's Way" という本を友人の母に勧められて、持っている。人は誰でも創造的な感性を持っている。それに常識やらの観念が蓋をしているのが現代では常だけれど、それとつながることによって誰でも、クリエイティブな自分を生きることができる――という思想のもとに、その方法を数週間のステップに分けて、具体的に紹介している本である。

 「自分の持っている創造的な感性と、どのようにしてつながるか」

 第一のステップとして紹介されているのが、起きがけのフリーライティングだ。それだけは習慣として、やったりやらなかったりしながら、でもわたしの体に染みついている。

 朝のまどろみの中、想念が言語化されるままに、ペンを走らせる。それは夢の内容を描写してみたり、現実への不安や憤りだったり、空想の世界だったりと様々だ。おぼろげな意識の中、ペンを持つ手も危うい感じで書くので、後で読み返すと読めないことも多々あるが(笑)、それでいい。むしろ、半年は読み返さずに進めた方が良いと書いてあったように記憶している。

 フリーライティングをする媒体も、実際の紙の雑記帳から、iphoneのノート機能に移りつつある。必ず枕元にある、という点で、とても重宝している。

 わたしはそれに「潜在の物かき」とか、同音で「洗剤の物かき」と名前をつけている。むふふ。心の奥底、潜在意識を洗い出すような、洗剤みたいな物書き行為の産物だから。

 対して、「建材の物かき」もある。顕在意識の「顕在」からもちろん取っていて、これは昼間、完全に覚醒している時に書いたものだ。気の多いわたしの、文章という建物を建てる文の集まりという、建材。材木。わたしは材木屋だから。


 三十路も半ば、生来の感受性に輪をかけて感傷的になることも増えて参りましたが(笑)、やっぱり人の心は感情を感じるためにあるようですね。それを押し込めず、その場で消化してしまう、そのために都市圏の鉄道は絶好だなーと思った次第です。

 ちなみにスイス人の友人によると、あちらでは電車で眠りこけるなんてことはあり得ないとのこと。公共の場で無防備にも程がある、もしスリにでもあったらどうするんだ!と。確かに、治安の良しあしは電車で爆睡できるか、の国民性に大きく関わっていそうですね。それにしても、お互いをいい意味でも見ているから、もし泣き出したりしたらきっと心配されてしまうだろう。良くも悪くも。

 "The Artist's Way"は、『ずっとやりたかったことを、やりなさい』のタイトルで、邦訳も出ていたはず。興味のある方は、ぜひ。

 


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