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復権 ー自閉症だったわたしへ・さとみさん編ー

かつて現実は誰か別の人のそれを生きているようだった。

薄氷1枚を隔てて交わることのない私の世界と外のそれは、

私と言う身体が取る言葉も動きも社会が求めているであろうものが規定しているに過ぎなかった。


薄氷は砕かれ始めた。

2つの世界に通気口が開いた時、言葉は私の意思と初めて手を取り合い、2つの世界の媒介役に就任した…!

現実を本当に生きる言葉は、何と物語の主人公のようであることよ!

嘘偽りなく曇りなきその言葉、心を捕まえ、現実を射る。

射止めることなきとて、かまやしない。

私は意のまま、射続けることができる。

手枷は解けつつある…!

私の手足口はもはや誰のものでもない。
私の体はわたしの魂が御座する神聖な場所。


ゆめゆめもう、だれにとて明け渡してなるものか。


令和三年七月一日
さとみさん

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